1955年から1979年までの小学校高学年の読書調査によると、偉人の伝記といわゆる世界名作とよばれている児童文学作品が上位を占めています。
ところが、2011年の同様の調査ではそれはすっかり様変わりしています。
伝記は相変わらず強いのですが、男子のリストにはゲームの影響(三国志や戦国時代の武将など)が色濃く感じられます。
また、世界名作に代わっていわゆるエンターテインメント作品(昔ながらのルパンやホームズに交じってハリー・ポッターや日本のエンターテインメント作品)が現れています。
この変化の理由としては、日本でのエンターテインメント作品の確立(那須正幹「ズッコケ三人組(1978年から2004年)や原ゆたか「かいけつゾロリ」(1987年から)などが代表作です)、児童文庫のエンターテインメント化(世界名作の岩波少年文庫(1950年から)から、現代児童文学のフォア文庫(1979年から)、現代児童文学とエンターテインメントのポプラ文庫を経て、書き下ろしエンターテインメントの講談社青い鳥文庫(1980年から)、角川つばさ文庫、集英社みらい文庫などに主流が移っています)などがあげられます。
そして、その背景として、小学生が読書に求めるものが勉強的なもの(いわゆるゆる教養主義)から娯楽に変化していることがあげられると思います。
それに伴い、児童文庫も漫画的なイラストやアニメ的なセリフや擬音の多用などが目立っています。
これらを子どもに買い与えている媒介者(両親など)も、「漫画よりはまし」といった見方で児童文庫を捉えているとともに、ライトノベルやラブコメなど、ヤングアダルトや一般向けのエンターテインメントとのボーダーレス化も進んでいて、親世代も一緒に読んでいるようです。
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