春永は中学一年生の女の子です。
おとうさんとおかあさんと高校二年生のおねえさんである和花ちゃんと四人家族ですが、実は複雑な家族です。
おとうさんとおかあさんは、夫婦でなく本当は兄妹です。
和花ちゃんはおかあさんの実の子だけど、春永はおとうさんともおかあさんとも血のつながりがありません。
おとうさんが結婚していた女の人の連れ子なのです。
春永の家は、おばあさんの代から祈祷所をやっています。
今はおかあさんが祈祷師です。
この作品では、祈祷師は占いをするのではなく、サワリと呼ばれるツキモノを払うのを仕事にしています。
また、いわゆる新興宗教のようなもうけ主義ではなく、家は貧乏で農業もやっていると描かれています。
前半は春永のクラスメートの久美ちゃんや初恋の相手である山中くんたちも描かれますが、祈祷所にやってきた山中くんに祈祷師を差別することをされて、久美ちゃんも春永を裏切って山中くんと付き合うようになってからは、二人は登場しなくなります。
春永は祈祷師の娘としておかあさんの後を継ぎたくて、おとうさんと水行をやったりしますが、祈祷師の能力は春永でなく和花ちゃんの方に引き継がれていきます(血がつながっているので当たり前のように思えますが)。
祈祷所に居場所がなくなったように感じた春永は、家出して実の母親を訪ねていきますが、すでに亡くなってしまっていました。
春永は和花ちゃんのような能力はないものの、今の家族と祈祷師の娘として生きていこうと思います。
どこまでが作者の実体験で、どこからが取材によるものかわわかりませんが、ツキモノ(この作品ではサワリと呼ばれている)やお祓いや予知能力やこっくりさんなどが実在する物として、リアリズムの手法で描かれているのでかなりめんくらいました。
私は作中の山中くんと同じようなリアリストなので、このような超常現象をまるで信じていないからです。
神秘的な部分を除けば、この作品は登場人物の描き方もしっかりとしているし、風景描写や心理描写も巧みで、作品の完成度も高いと思います。
奥付けを見ると作者は一般文学でかなり著作があるようなので、筆力のある方なのでしょう。
また、血のつながりのない家族が結びあっていくというラストも、春永のおかあさんが死んでいたのはややご都合主義な感じがするものの、新しい家族のあり方を示していて興味深かったです。
しかし、こういう超常現象を無批判に肯定的に描かれることには、やはり抵抗があります。
若い女性読者は、パワースポットや占い(この作品では否定的ですが)やコックリさんや予知能力などのようなスピリチュアルなものが大好きなので、こういった作品は非常にうけるでしょうが、内容を無批判に信じてしまわないかと、老婆心ながら心配してしまいます。
おとうさんとおかあさんと高校二年生のおねえさんである和花ちゃんと四人家族ですが、実は複雑な家族です。
おとうさんとおかあさんは、夫婦でなく本当は兄妹です。
和花ちゃんはおかあさんの実の子だけど、春永はおとうさんともおかあさんとも血のつながりがありません。
おとうさんが結婚していた女の人の連れ子なのです。
春永の家は、おばあさんの代から祈祷所をやっています。
今はおかあさんが祈祷師です。
この作品では、祈祷師は占いをするのではなく、サワリと呼ばれるツキモノを払うのを仕事にしています。
また、いわゆる新興宗教のようなもうけ主義ではなく、家は貧乏で農業もやっていると描かれています。
前半は春永のクラスメートの久美ちゃんや初恋の相手である山中くんたちも描かれますが、祈祷所にやってきた山中くんに祈祷師を差別することをされて、久美ちゃんも春永を裏切って山中くんと付き合うようになってからは、二人は登場しなくなります。
春永は祈祷師の娘としておかあさんの後を継ぎたくて、おとうさんと水行をやったりしますが、祈祷師の能力は春永でなく和花ちゃんの方に引き継がれていきます(血がつながっているので当たり前のように思えますが)。
祈祷所に居場所がなくなったように感じた春永は、家出して実の母親を訪ねていきますが、すでに亡くなってしまっていました。
春永は和花ちゃんのような能力はないものの、今の家族と祈祷師の娘として生きていこうと思います。
どこまでが作者の実体験で、どこからが取材によるものかわわかりませんが、ツキモノ(この作品ではサワリと呼ばれている)やお祓いや予知能力やこっくりさんなどが実在する物として、リアリズムの手法で描かれているのでかなりめんくらいました。
私は作中の山中くんと同じようなリアリストなので、このような超常現象をまるで信じていないからです。
神秘的な部分を除けば、この作品は登場人物の描き方もしっかりとしているし、風景描写や心理描写も巧みで、作品の完成度も高いと思います。
奥付けを見ると作者は一般文学でかなり著作があるようなので、筆力のある方なのでしょう。
また、血のつながりのない家族が結びあっていくというラストも、春永のおかあさんが死んでいたのはややご都合主義な感じがするものの、新しい家族のあり方を示していて興味深かったです。
しかし、こういう超常現象を無批判に肯定的に描かれることには、やはり抵抗があります。
若い女性読者は、パワースポットや占い(この作品では否定的ですが)やコックリさんや予知能力などのようなスピリチュアルなものが大好きなので、こういった作品は非常にうけるでしょうが、内容を無批判に信じてしまわないかと、老婆心ながら心配してしまいます。
祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ) | |
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