面白く読めた。どうして人類は住む大陸ごとに異なる歴史を刻んだのか。なぜ先進国と途上国という“格差”が発生したのか。そういう根源的な問いを、生物学や言語学などの観点から考察する。ピュリッツァー賞受賞作で、識者が選ぶ朝日新聞“ゼロ年代の50冊”において第1位に選ばれた話題作だ。
作者は“環境”こそが、各民族の歴史を決定した最重要な事柄であると結論付ける。まあ、これだけ聞くと“まあ、そうだろうなあ。環境が大きくモノを言うのだろうな”と誰でも漠然と思うのだが、本書では地形や動植物相を含めた多角的なアプローチで、論理的かつ分かりやすく綴られている。ユーラシア大陸は東西方向に広く、アメリカ大陸やアフリカ大陸は南北方向に長い。この形状の違いがまず大きな要素だ。
そしてユーラシア大陸には家畜になるような動物が少なからず存在し、また栽培出来る植物にも恵まれていた。対してアメリカ大陸やアフリカ大陸には、それらが乏しかった。この環境的な相違が、人類間の“格差”に繋がり、現在においても尾を引いているというのが、本書の主なロジックだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/93/706799a3d5a9b566c2ba0f6106ae09b5.jpg)
特に面白かったのが、扱いは少ないが、中国に関する記述である。中国がどうして4千年もの間、普通選挙すら行われず全体主義的な傾向を保ったまま時を重ねてきたのか、その理由が明確に語られている。それはまた、日本がなぜ中国に追随せずに独自の文化を生み出すに至ったのか、その背景をも暗示させる。まさに読んでいて目から鱗が落ちる思いだ。
ただし、万全の出来かといえば、そうでもない。必要以上にくどい場面が散見されるし、作者が個人的な関わったニューギニアの話とか、インカ文明滅亡のくだりなんか、半分ぐらい削っても良かった。さらに言えば、メソポタミア文明や黄河文明には数多く言及しているのに対し、他の文明についてはさほど興味は無いようだ。特にインダス文明に対する記述なんか、ほとんどない。
ただ、これらの瑕疵を差し引いても、読む価値はあると断言したい。何のかんの言っても、他民族とのコミュニケーションの困難性を“奴らとは、生物学的な差異があるに違いない”という、身も蓋も無い決め付けに走りがちである我々にとって、絶好の“処方箋”になってくれる。
・・・・とはいえ、どう考えても“あいつら、生物学的に劣等種ではないのか”と思われても仕方が無い者達が多数存在する国が日本の隣にあるのも事実(激爆)。この背景についても誰か“理論的な”考察をやっていただきたいものだ。
作者は“環境”こそが、各民族の歴史を決定した最重要な事柄であると結論付ける。まあ、これだけ聞くと“まあ、そうだろうなあ。環境が大きくモノを言うのだろうな”と誰でも漠然と思うのだが、本書では地形や動植物相を含めた多角的なアプローチで、論理的かつ分かりやすく綴られている。ユーラシア大陸は東西方向に広く、アメリカ大陸やアフリカ大陸は南北方向に長い。この形状の違いがまず大きな要素だ。
そしてユーラシア大陸には家畜になるような動物が少なからず存在し、また栽培出来る植物にも恵まれていた。対してアメリカ大陸やアフリカ大陸には、それらが乏しかった。この環境的な相違が、人類間の“格差”に繋がり、現在においても尾を引いているというのが、本書の主なロジックだ。
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特に面白かったのが、扱いは少ないが、中国に関する記述である。中国がどうして4千年もの間、普通選挙すら行われず全体主義的な傾向を保ったまま時を重ねてきたのか、その理由が明確に語られている。それはまた、日本がなぜ中国に追随せずに独自の文化を生み出すに至ったのか、その背景をも暗示させる。まさに読んでいて目から鱗が落ちる思いだ。
ただし、万全の出来かといえば、そうでもない。必要以上にくどい場面が散見されるし、作者が個人的な関わったニューギニアの話とか、インカ文明滅亡のくだりなんか、半分ぐらい削っても良かった。さらに言えば、メソポタミア文明や黄河文明には数多く言及しているのに対し、他の文明についてはさほど興味は無いようだ。特にインダス文明に対する記述なんか、ほとんどない。
ただ、これらの瑕疵を差し引いても、読む価値はあると断言したい。何のかんの言っても、他民族とのコミュニケーションの困難性を“奴らとは、生物学的な差異があるに違いない”という、身も蓋も無い決め付けに走りがちである我々にとって、絶好の“処方箋”になってくれる。
・・・・とはいえ、どう考えても“あいつら、生物学的に劣等種ではないのか”と思われても仕方が無い者達が多数存在する国が日本の隣にあるのも事実(激爆)。この背景についても誰か“理論的な”考察をやっていただきたいものだ。