(原題:BLUE MIRACLE)2021年5月よりNetflixで配信。素晴らしく映像の美しい映画である。サンティアゴ・ベネット・マリのカメラによる、カリフォルニア半島南端に位置するロスカボスの町の風景と、透き通るような太平洋の美景が、全体的に青みがかった色調で鮮明に描き出されている。このヴィジュアルだけで、本作の存在価値は十分にあると言える。
2014年、メキシコのロスカボスにある孤児院は不況により支援者が減り、経営危機に陥っていた。このままでは閉鎖になり、入所している子供たちは、また路上生活を強いられる。かつては自分もストリートチルドレンだった院長のオマールは、銀行の取り立てに追われる毎日だ。そんな中、当地では世界有数の釣り大会である“ビスビーズ・トーナメント”が今年も開催されようとしていた。優勝者には数百万ドルが与えられる。
アメリカ人のプロの釣り師ウェイドはかつて大会で2度優勝した実績を持っていたが、今は落ちぶれて船もポンコツ同然だ。オマールと懇意にしていた大会主催者は、ウェイドに孤児院のチームと組んで大会に出るように提案する。しぶしぶ承諾したウェイドだったが、オマールには釣りの経験がない。それでも彼は子供たちのために参加を決める。実話を基にした作品だ。
半ば人生を捨てていたウェイドが、オマールや子供たちとの交流を通じて自分を取り戻してゆく展開は予想通りだが、悪くない出来だ。それよりも、メキシコの地方都市の厳しい実状が紹介されるのが興味深い。治安も景気も悪く、オマールも知人から麻薬取引を持ちかけられる始末だ。ストリートチルドレンたちは辛酸を嘗め、オマールの孤児院のような施設に入れるのは幸運な方だが、それでも運営面では先が見えない。それが風光明媚な自然とのコントラストを成すあたり、何とも玄妙だ。
大会は3日間にわたって行われ、一番重量のあるカジキを吊り上げたチームが優勝するのだが、ウェイドたちは最初の2日間はやることが全て裏目に出る。それが3日目には怒濤のチャージを見せるのは、定石ながら見せきっている。フリオ・キンタナの演出は特段才気走った点は無いが、堅実にドラマを進めている。
キャストではウェイド役のデニス・クエイドが印象的で、年は取ったが良い感じの渋みを醸し出していて絶品だ。オマールに扮するジミー・ゴンザレスや、子供たちもそれぞれ個性的で好演。エンドクレジットで紹介される、オマールたちのその後の活躍も頼もしい。
2014年、メキシコのロスカボスにある孤児院は不況により支援者が減り、経営危機に陥っていた。このままでは閉鎖になり、入所している子供たちは、また路上生活を強いられる。かつては自分もストリートチルドレンだった院長のオマールは、銀行の取り立てに追われる毎日だ。そんな中、当地では世界有数の釣り大会である“ビスビーズ・トーナメント”が今年も開催されようとしていた。優勝者には数百万ドルが与えられる。
アメリカ人のプロの釣り師ウェイドはかつて大会で2度優勝した実績を持っていたが、今は落ちぶれて船もポンコツ同然だ。オマールと懇意にしていた大会主催者は、ウェイドに孤児院のチームと組んで大会に出るように提案する。しぶしぶ承諾したウェイドだったが、オマールには釣りの経験がない。それでも彼は子供たちのために参加を決める。実話を基にした作品だ。
半ば人生を捨てていたウェイドが、オマールや子供たちとの交流を通じて自分を取り戻してゆく展開は予想通りだが、悪くない出来だ。それよりも、メキシコの地方都市の厳しい実状が紹介されるのが興味深い。治安も景気も悪く、オマールも知人から麻薬取引を持ちかけられる始末だ。ストリートチルドレンたちは辛酸を嘗め、オマールの孤児院のような施設に入れるのは幸運な方だが、それでも運営面では先が見えない。それが風光明媚な自然とのコントラストを成すあたり、何とも玄妙だ。
大会は3日間にわたって行われ、一番重量のあるカジキを吊り上げたチームが優勝するのだが、ウェイドたちは最初の2日間はやることが全て裏目に出る。それが3日目には怒濤のチャージを見せるのは、定石ながら見せきっている。フリオ・キンタナの演出は特段才気走った点は無いが、堅実にドラマを進めている。
キャストではウェイド役のデニス・クエイドが印象的で、年は取ったが良い感じの渋みを醸し出していて絶品だ。オマールに扮するジミー・ゴンザレスや、子供たちもそれぞれ個性的で好演。エンドクレジットで紹介される、オマールたちのその後の活躍も頼もしい。