タイトルは「おしどりうたがっせん」と読む(説明するまでもないが ^^;)。昭和14年製作の、マキノ正博監督による時代劇ミュージカル。世評通りの、無類の楽しさを持つ映画だ。
飄々とした片岡千恵蔵の素浪人を始め、志村けんのバカ殿様も真っ青のディック・ミネのアホ殿様、骨董マニアの脳天気なオヤジに扮する志村喬、それに市川春代や深水藤子、服部富子といった華やかな女優陣が何の衒いもなく伸びやかに歌声や踊りを披露しているのを見ていると、こちらも嬉々とした気分になってくる。
宮川一夫による流れるようなカメラワーク、角井嘉一郎と長谷川繁吉による完成度の高い舞台セット(特に画面一杯に広がるカラフルな唐傘は絶品)、そして大久保徳二郎の手によるウキウキするような音楽。昨今のインド製娯楽映画などメじゃない、全盛期のMGMミュージカルに匹敵するヴォルテージの高い作品を生み出していた時期が日本映画にもあったのだ。
それにしても、このような映画を“戦争直前の暗い世相に対する現実逃避としての明朗快活さ”と断じる評論があるのは小賢しい限りである。戦前は我々が思っているほど「暗く」はなかったはずだし、世相がどうだろうと、明るく楽しい映画は支持されて残っていくのだ。それが娯楽というものなのだ。
飄々とした片岡千恵蔵の素浪人を始め、志村けんのバカ殿様も真っ青のディック・ミネのアホ殿様、骨董マニアの脳天気なオヤジに扮する志村喬、それに市川春代や深水藤子、服部富子といった華やかな女優陣が何の衒いもなく伸びやかに歌声や踊りを披露しているのを見ていると、こちらも嬉々とした気分になってくる。
宮川一夫による流れるようなカメラワーク、角井嘉一郎と長谷川繁吉による完成度の高い舞台セット(特に画面一杯に広がるカラフルな唐傘は絶品)、そして大久保徳二郎の手によるウキウキするような音楽。昨今のインド製娯楽映画などメじゃない、全盛期のMGMミュージカルに匹敵するヴォルテージの高い作品を生み出していた時期が日本映画にもあったのだ。
それにしても、このような映画を“戦争直前の暗い世相に対する現実逃避としての明朗快活さ”と断じる評論があるのは小賢しい限りである。戦前は我々が思っているほど「暗く」はなかったはずだし、世相がどうだろうと、明るく楽しい映画は支持されて残っていくのだ。それが娯楽というものなのだ。



