95年作品。動機不明の連続殺人事件は、76年、南アルプス・北岳に登った5人の大学生が犯した殺人が引き金となっていた。直木賞受賞の高村薫の原作を崔洋一が監督。
この監督にしては、まあマシな部類ではある。犯人を追う刑事たち(中井貴一、萩原流行ら)の露骨な縄張り意識や、暴力シーンの強烈さ、モノトーンに近い寒々とした映像など、ただごとでない雰囲気は伝わる。しかし、それがミステリー映画のプロットとして機能せず、ハッタリめいた“見せ場のための見せ場”に終始してしまうのは、あの長い原作を2時間あまりにまとめようとした無理があるからだ。
刑事たちはなぜ不毛なセクトの争いに終始するのか。76年の事件の被害者はなぜ危ないことを承知で山に登ったのか。容疑者の一人(小林稔侍)はなぜ犯人(萩原聖人)の息の根を止めないのか。犯人を慕う看護婦(名取裕子)はどうして彼に惹かれたのか。そして何より、犯人はどうして殺人を重ねるのか(精神障害者という設定だが、それなりの理由も語られない)。大事なことは全く描かれていない。これでサスペンス映画といえるのか。
謎解きの顛末をセリフで滔々と述べろとは言わない(それやるとシラける可能性大)。ただ、観客にインスピレーションをもたらすような暗示なり含みは絶対必要だ。原作が長いからそれが出来ないというのであれば、最初から映画化なんて考えないことだ。
・・・・と、観た当初はこう思ったのだが、その後原作を読んでみたら、非常に薄い内容でガッカリした。映画版の方が観客側に話を分からせようといる点では上であろう(暗然)。
この監督にしては、まあマシな部類ではある。犯人を追う刑事たち(中井貴一、萩原流行ら)の露骨な縄張り意識や、暴力シーンの強烈さ、モノトーンに近い寒々とした映像など、ただごとでない雰囲気は伝わる。しかし、それがミステリー映画のプロットとして機能せず、ハッタリめいた“見せ場のための見せ場”に終始してしまうのは、あの長い原作を2時間あまりにまとめようとした無理があるからだ。
刑事たちはなぜ不毛なセクトの争いに終始するのか。76年の事件の被害者はなぜ危ないことを承知で山に登ったのか。容疑者の一人(小林稔侍)はなぜ犯人(萩原聖人)の息の根を止めないのか。犯人を慕う看護婦(名取裕子)はどうして彼に惹かれたのか。そして何より、犯人はどうして殺人を重ねるのか(精神障害者という設定だが、それなりの理由も語られない)。大事なことは全く描かれていない。これでサスペンス映画といえるのか。
謎解きの顛末をセリフで滔々と述べろとは言わない(それやるとシラける可能性大)。ただ、観客にインスピレーションをもたらすような暗示なり含みは絶対必要だ。原作が長いからそれが出来ないというのであれば、最初から映画化なんて考えないことだ。
・・・・と、観た当初はこう思ったのだが、その後原作を読んでみたら、非常に薄い内容でガッカリした。映画版の方が観客側に話を分からせようといる点では上であろう(暗然)。


