横溝正史賞大賞受賞作ということで期待したけど、何とも腑抜けた出来で落胆した。
通常の人間と異なる染色体を持つ“新しい種”である“犯人”が自己保全と“増殖”のために周りの者を殺しまくるという、ただそれだけの話を、勿体ぶった語り口で並べているだけ。しかも、早熟な天才であるはずの“犯人”が犯行のディテールに凝る割には、一番大事な“目的達成”の困難性に気付いていないというお目出度さには脱力してしまった。
事件に対峙するヒロインの造型にもあまり魅力がなく、さらに彼女が活躍するのはやっと中盤過ぎてからという構成の拙さにも閉口する。ラスト近くのB級ハリウッド製活劇のような展開も取って付けたようだ。
対して過剰なのが、医者でもある筆者の、遺伝子工学についての長々としたウンチクの披露。この分野が好きな読者には面白いのかもしれないが、我々シロートにとっては、単なる専門知識の羅列としか思えない。
全体的に、いかにも理系の人が書いた自己満足のシロモノといった感じだ。文庫の帯に載っていた“賞賛の声”もむなしい。
通常の人間と異なる染色体を持つ“新しい種”である“犯人”が自己保全と“増殖”のために周りの者を殺しまくるという、ただそれだけの話を、勿体ぶった語り口で並べているだけ。しかも、早熟な天才であるはずの“犯人”が犯行のディテールに凝る割には、一番大事な“目的達成”の困難性に気付いていないというお目出度さには脱力してしまった。
事件に対峙するヒロインの造型にもあまり魅力がなく、さらに彼女が活躍するのはやっと中盤過ぎてからという構成の拙さにも閉口する。ラスト近くのB級ハリウッド製活劇のような展開も取って付けたようだ。
対して過剰なのが、医者でもある筆者の、遺伝子工学についての長々としたウンチクの披露。この分野が好きな読者には面白いのかもしれないが、我々シロートにとっては、単なる専門知識の羅列としか思えない。
全体的に、いかにも理系の人が書いた自己満足のシロモノといった感じだ。文庫の帯に載っていた“賞賛の声”もむなしい。

