頑張れ、バウワー

2006年03月03日 | 風の旅人日乗
ボルボ・オーシャンレースで、ホーン岬を回航直前だった『ムヴィスター』に事故が発生した。
この写真を送ってきたすぐ後に、『ムビスター』の船内に大量の海水が浸水した。

浸水が起きるとすぐに、『ムビスター』のクルーたちはすべてのセールを降ろした。
そして、クルーの一人が海水で一杯になったメイン・キャビンの床下に潜水し、排水ポンプのスイッチをバッテリーに繋ぐことに成功した。

その結果、排水量が浸水量を上回って、小康状態を保っている。
しかし、浸水の原因そのものが取り除かれたわけではない。
入ってくる海水よりも、くみ出している海水のほうが多いから、浮かんでいる状態だ。

浸水場所は、カンティング・キールの機構全体をキャビンから独立させている水密ボックスからだろう、とクルーたちは見ている。
水密ボックスは、もしカンティング・キール周囲の船底構造に亀裂が入っても、そこからの浸水がキャビンに流れ込まないようにするための、バックアップ構造だ。

つまり、『ムビスター』は外板かキール基部に亀裂が入り、そこから水密ボックス内に浸水。さらに、水密ボックスと外板との接着がはがれ、そこからキャビン内に海水が浸水してきた、と考えられている。

ここのところ6隻のボルボ・オーシャンレース参加艇群は、30~35ノットの風の中を、平均20ノット以上のスピードで走り続けている。重量5トンもの重りを風上側に振り上げて、そんな荒海を走り続けていれば、いかにカーボンファイバーの鎧を着けたボルボ・オープン70クラスといえども、ダメージを受けてもおかしくない。

『ムビスター』は現在、ホーン岬近くの港を目指している。
艇長のバウワーは、「状況は今のところ大丈夫だ」とレース・コミッティーに報告してきている。
ステュー、ジョナサンも無事のようだ。
みんな、命を懸けて闘っている。

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