中小企業の代表者達の意見から考えるべきことというのは、大体次のようなことなんじゃないか、と思う。
①民間との金利差:政策金融は借入利率が低いので経営的に助かる
②民間銀行(特に都銀)は少額(1千万円以下)借入には消極的:個人・家族経営等の零細などには貸してくれない
③担保・保証能力の審査基準:民間は厳しいが政府系は緩やかで、経営基盤の弱い企業には民間が貸さない
④借り手は「顧客」などではなく、貸し手が優位な市場:「現場を知れ!跡田」というようなご意見
⑤コンサルティング機能が弱い:創生期とか不況期の経営基盤の弱い企業に対する融資姿勢
最近は地方などでは、地銀や信金・信組などによる地域再生としての中小企業への支援も若干増えてきているが、金融機関体力等によって地域差がある(不良債権残高がまだ多く残っているとリスクのある融資を避ける傾向がある、市場実態をよく知らない業種とかにも貸せなかったりする)。例えば、温泉旅館に融資して生き返らせようと思っても、以前にその業種への融資実績がなければ将来の経営見通し(業績予測)が立たないので、金融機関も怖くて貸せない、というようなことだろう。
基本的に中小企業の大きな問題は、「企業再生」とかコンサルティングなどの支援が不足するということだと思う。ここがしっかりしてない為に、経営難に陥った企業は民間金融機関からの資金が途絶え、破綻への道を進んで行ってしまう。適切な経営再建と資金提供があれば、蘇れる企業もあるかもしれない。アリックス(参考記事:話題シリーズ13(追加あり))のような専業の民間企業がやればよい、という面もあるかもしれないが、全部のカバーは困難だろうし、零細については手が回らないんじゃないか、とも思う。なので、金融機関とか商工業団体などが一体となって、強化に努めるべき分野だろうと思う。ただ、これは政府系金融機関ではなくとも可能な業務であり、存在理由とはなり得ないだろう。
次に保証の問題ですが、これは金融庁の方針もあるから一概には言えない。というか、私には判らない。通常の銀行の方針としては、貸出する際の担保は不足しないように積んでおかなければ、金融庁検査でとんでもなく怒られることになるんじゃないか、と思う。「これは破綻懸念先債権ですね!!」とかって、基準通りに厳しい選別がされると思う。リスクの問題は、素人の私には判らないし。ここで求められるのは、中小企業のような資本というか経営基盤の弱い企業の機動的資金需要に対応するのは、どのような方法があるか、収益的に不安があるような企業への貸出基準をどのように設定していくか、といったことだろうと思う。住宅ローンの保証協会的な仕組みとか、何か政策的に考えなければならないなら、専門家の知恵が必要だろうと思う。
大手銀行などを中心に、「担保を積み増ししろ」とか、「担保差し入れが出来ないならば、資金は引き上げます」、といった厳しい状況などもあったようですから、中小企業の「恨み節」は分るな。民間銀行の所業は、それは凄まじかったと思うぞ。そういう時に、ある種の「駆け込み寺」的金融機関としては、政府系金融機関しか残されていなかったんだろうな、と。国金や中金などがそういう中小企業の融資受け皿となっていた背景はあるだろう。その思いが、代表者達の「残して欲しい」という意見に繋がっているんだろうな、と思う。「金融システムの安定化」「金融不安の払拭」という大義名分の陰で、多くの中小企業は破綻していったかもしれない。大企業ならば銀行の債権放棄や特別な救済措置が受けられることもあるが、弱小企業や個人企業では即「逝ってよし」(ネットの表現を覚えました、笑)ということになり、身ぐるみ剥がされ連帯保証が経営者個人へとついて回り、破滅する。大企業の経営者は倒産しても、特に破滅したりはしない(中にはそうでないこともありますが)。そういう状況を目の当たりにしてきた人々が、民間銀行を「簡単には信じることは出来ない」と思ったとしても、止むを得ないのではないか、と思う。
中小企業の自己資本の弱さは、主に株式とか社債などの資金調達が出来ないから、仕方なく銀行融資という間接金融に頼らざるを得ないことも要因なんじゃないかと思う。跡田先生のような人は借金を頼んだことがない為に、金融機関と借入主との関係が分らないんだろうと思う。借り手優位という状況を作る為には、よっぽどの政策的な変更がなければ不可能だろうと思う。因みに、跡田先生のような人が新規事業の為の融資を申し込みに来た場合、銀行員は迷うことなく断るかもしれないな(笑)。
随分昔、笑い話で聞いたことがあるが、実話らしい。
かつて大企業の部長とかの偉い地位の人がいた。大手銀行との取引もあって、ちょくちょく銀行員は部長に融資とか何とかのお願いに行っていたそうだ。「今回の件、ウチの方でご融資させて頂けませんか。部長、宜しくお願いします」とか何とか言って。偉い部長だったらしいから、そりゃ銀行員とか支店長とかにも「顔が利いた」ということだ。で、退職して自分の会社を立ち上げることになったらしく、部長は以前に取引のあった支店長の元を訪れた。
「支店長、宜しく頼む。融資の方。判ってるよね」と以前と変わらず高圧的な態度だったらしく、今度自分のちっぽけな会社をやるって時になっても未だに過去の栄光である「部長」をぶら下げていたんだろう。
すると、支店長はこう言った。
「勿論ですとも○○部長。あっ、部長ではなく、今度は社長でしたな。ははは・・。ウチの方で事業計画をしっかり検討させて頂きますので。では、後日」
元部長は仕方なく帰ったが、銀行から融資するという連絡はなかった。しびれを切らした元部長は再び支店長を訪ねた。すると、若い行員が「支店長は今来客中でして・・・。わたくしが代わりに承ります。・・・ご融資の件ですね、それでしたら、行内審査が通らなかったそうです。支店長も残念がっておりましたが、お力になれず、申し訳ございません、とのことです」と答えた。元部長は、「私を誰だと思っているんだ!××株式会社の部長だった男だぞ!どういうことだ」
・・・・
このようにして、融資はあっさり断られました。
それまでいつも威張っていた元部長への、支店長や行員達の仕返しだったのか?
いいえ、違うのです。
支店長は「多分、あの態度では、新会社でやっても顧客は逃げるだろう。事業失敗は目に見えている」と、将来性を見極めたのでした。
大企業の元部長は、借入がどのような意味を持つのか、また、事業家としての姿勢も知らなかったのです。このような人物に金を貸してくれるほど銀行の審査は甘くはないのです・・・。たとえ元部長であったとしても・・・。
真偽の程は判りません。しかし、一応実話として聞きました。まさに、これが当てはまりそう、ということですね。
かなり横道に逸れましたが、④と⑤については、色々考えるべきことがありそうです。
①に挙げた、金利の面では制度整備によって賄えそうですね。これは、政策金融特別のものではなくとも、既に制度融資のシステムがありますので、それを円滑運用できるにはどういう制度設計が必要か考えれば済みそうですね。金利水準は、担保・保証面とも密接に繋がっているでしょうから、一括で考えることも必要でしょうか。商工系無担保ローンでは、取立てや根抵当とか連帯保証などの面で問題があったので、民間金融機関の暴利的営業に任せられるか、心配ではありますね。
②と③についても、民間金融機関がきちんとカバー出来ていれば誰も困らないのですが、民間が貸さない為に、政府系に頼るというのをどのような解決方法を見出すか、検討が必要ですね。
昔のような駄菓子屋、小さなタバコ屋とか酒屋などがかなり減少して、所謂コンビニになりましたが、メリットはかなりあったと思います。商品開発、物流とか仕入れなどもそうですけれども、経営アドバイス的な部分での支援が最も大きいですね。本部から専門の人員がやってきて、事業として成功するようにフランチャイズオーナーに指導したりしますから、昔のような経営者の個人的な能力に頼る必要がない訳です。零細企業や家族経営の店などは、そのオーナーの能力にかなり依存しますから、失敗も多く出やすいかもしれません。しかし、専門の本部人員がやってきて経営的な指導をすることで、安定的な経営が出来る店舗が増えるし、そのお陰で個人商店時代に比べると破綻する店が少なくなっているかもしれません(これはあくまで推測です。現実にはかなりの数が閉店している可能性もあります)。従って、中小企業、特に零細企業においては、このような「経営エキスパート」によるシステム的な経営の方が、失敗が少なく出来るんじゃないか、と思います。それをどういった政策で実現できるかというのは難しいです。或いは同業者組合のようなものでもいいんですが、そこがしっかりとした経営手法を伝授するとか、何か方策があるかもしれません。実現可能かどうかは、不明なのですけれども。
仮にクリーニング店があるとして、零細で担保もないので借入が難しい、という環境であるとしたら、同業者組合で一括債務保証保険を完備しておく、というようなことです(上限は3百万円とかで)。倒産して貸し倒れになるかもしれない、というリスクがあるので銀行が貸したがらない、ということであれば、倒産しても貸し倒れになりませんよ、という保険制度があれば銀行は貸してくれるのです。全国の何処かのクリーニング店が不幸にして倒産したとすると、同業者組合保証によって銀行に債務が支払われます。この保険に加入するには、一定以上の経営状況であることが確認できることと(新規であれば運転資金等の資産状況とか色々)、必ず本部の経営指導を受けなければならないこと、という条件を付しておけば、この縛りによっていい加減な経営は排除されるし、個々の能力に依存していた部分がいくらかカバーされるかもしれないですし。このような制度は政策的に存在しているかもしれませんが、一般にあまり利用されていないんじゃないかと思いますね。もしも、このような仕組みがあれば、金融機関が貸すにしても経営への信頼度は若干増す(本部の指導を既に受けているし、経営状況のある程度の確認もできている)だろうし、貸し倒れリスクがないとすれば金利も優遇してくれるかもしれません。ただし、全国的に倒れる店が多い場合には、保険が底をつく可能性があります。これは本部の根本的な経営指導に問題があるか、構造的な赤字業種である可能性もあります。あと、参加数が少ない場合には、一店舗当たりで重い負担となってしまう可能性がありますね。
良い方法は直ぐには思いつきませんが、詳しい方なら色々な方法が出されるかもしれません。政府系金融機関を無くす、無くさない、いくつに、といった議論も必要ですが、「どのような制度設計によって問題点をカバーするか、可能な制度・政策はどのようなものか」というようなデザインをする為の議論だ、ということです。ヒアリングはその為に行われるものだということです。
①民間との金利差:政策金融は借入利率が低いので経営的に助かる
②民間銀行(特に都銀)は少額(1千万円以下)借入には消極的:個人・家族経営等の零細などには貸してくれない
③担保・保証能力の審査基準:民間は厳しいが政府系は緩やかで、経営基盤の弱い企業には民間が貸さない
④借り手は「顧客」などではなく、貸し手が優位な市場:「現場を知れ!跡田」というようなご意見
⑤コンサルティング機能が弱い:創生期とか不況期の経営基盤の弱い企業に対する融資姿勢
最近は地方などでは、地銀や信金・信組などによる地域再生としての中小企業への支援も若干増えてきているが、金融機関体力等によって地域差がある(不良債権残高がまだ多く残っているとリスクのある融資を避ける傾向がある、市場実態をよく知らない業種とかにも貸せなかったりする)。例えば、温泉旅館に融資して生き返らせようと思っても、以前にその業種への融資実績がなければ将来の経営見通し(業績予測)が立たないので、金融機関も怖くて貸せない、というようなことだろう。
基本的に中小企業の大きな問題は、「企業再生」とかコンサルティングなどの支援が不足するということだと思う。ここがしっかりしてない為に、経営難に陥った企業は民間金融機関からの資金が途絶え、破綻への道を進んで行ってしまう。適切な経営再建と資金提供があれば、蘇れる企業もあるかもしれない。アリックス(参考記事:話題シリーズ13(追加あり))のような専業の民間企業がやればよい、という面もあるかもしれないが、全部のカバーは困難だろうし、零細については手が回らないんじゃないか、とも思う。なので、金融機関とか商工業団体などが一体となって、強化に努めるべき分野だろうと思う。ただ、これは政府系金融機関ではなくとも可能な業務であり、存在理由とはなり得ないだろう。
次に保証の問題ですが、これは金融庁の方針もあるから一概には言えない。というか、私には判らない。通常の銀行の方針としては、貸出する際の担保は不足しないように積んでおかなければ、金融庁検査でとんでもなく怒られることになるんじゃないか、と思う。「これは破綻懸念先債権ですね!!」とかって、基準通りに厳しい選別がされると思う。リスクの問題は、素人の私には判らないし。ここで求められるのは、中小企業のような資本というか経営基盤の弱い企業の機動的資金需要に対応するのは、どのような方法があるか、収益的に不安があるような企業への貸出基準をどのように設定していくか、といったことだろうと思う。住宅ローンの保証協会的な仕組みとか、何か政策的に考えなければならないなら、専門家の知恵が必要だろうと思う。
大手銀行などを中心に、「担保を積み増ししろ」とか、「担保差し入れが出来ないならば、資金は引き上げます」、といった厳しい状況などもあったようですから、中小企業の「恨み節」は分るな。民間銀行の所業は、それは凄まじかったと思うぞ。そういう時に、ある種の「駆け込み寺」的金融機関としては、政府系金融機関しか残されていなかったんだろうな、と。国金や中金などがそういう中小企業の融資受け皿となっていた背景はあるだろう。その思いが、代表者達の「残して欲しい」という意見に繋がっているんだろうな、と思う。「金融システムの安定化」「金融不安の払拭」という大義名分の陰で、多くの中小企業は破綻していったかもしれない。大企業ならば銀行の債権放棄や特別な救済措置が受けられることもあるが、弱小企業や個人企業では即「逝ってよし」(ネットの表現を覚えました、笑)ということになり、身ぐるみ剥がされ連帯保証が経営者個人へとついて回り、破滅する。大企業の経営者は倒産しても、特に破滅したりはしない(中にはそうでないこともありますが)。そういう状況を目の当たりにしてきた人々が、民間銀行を「簡単には信じることは出来ない」と思ったとしても、止むを得ないのではないか、と思う。
中小企業の自己資本の弱さは、主に株式とか社債などの資金調達が出来ないから、仕方なく銀行融資という間接金融に頼らざるを得ないことも要因なんじゃないかと思う。跡田先生のような人は借金を頼んだことがない為に、金融機関と借入主との関係が分らないんだろうと思う。借り手優位という状況を作る為には、よっぽどの政策的な変更がなければ不可能だろうと思う。因みに、跡田先生のような人が新規事業の為の融資を申し込みに来た場合、銀行員は迷うことなく断るかもしれないな(笑)。
随分昔、笑い話で聞いたことがあるが、実話らしい。
かつて大企業の部長とかの偉い地位の人がいた。大手銀行との取引もあって、ちょくちょく銀行員は部長に融資とか何とかのお願いに行っていたそうだ。「今回の件、ウチの方でご融資させて頂けませんか。部長、宜しくお願いします」とか何とか言って。偉い部長だったらしいから、そりゃ銀行員とか支店長とかにも「顔が利いた」ということだ。で、退職して自分の会社を立ち上げることになったらしく、部長は以前に取引のあった支店長の元を訪れた。
「支店長、宜しく頼む。融資の方。判ってるよね」と以前と変わらず高圧的な態度だったらしく、今度自分のちっぽけな会社をやるって時になっても未だに過去の栄光である「部長」をぶら下げていたんだろう。
すると、支店長はこう言った。
「勿論ですとも○○部長。あっ、部長ではなく、今度は社長でしたな。ははは・・。ウチの方で事業計画をしっかり検討させて頂きますので。では、後日」
元部長は仕方なく帰ったが、銀行から融資するという連絡はなかった。しびれを切らした元部長は再び支店長を訪ねた。すると、若い行員が「支店長は今来客中でして・・・。わたくしが代わりに承ります。・・・ご融資の件ですね、それでしたら、行内審査が通らなかったそうです。支店長も残念がっておりましたが、お力になれず、申し訳ございません、とのことです」と答えた。元部長は、「私を誰だと思っているんだ!××株式会社の部長だった男だぞ!どういうことだ」
・・・・
このようにして、融資はあっさり断られました。
それまでいつも威張っていた元部長への、支店長や行員達の仕返しだったのか?
いいえ、違うのです。
支店長は「多分、あの態度では、新会社でやっても顧客は逃げるだろう。事業失敗は目に見えている」と、将来性を見極めたのでした。
大企業の元部長は、借入がどのような意味を持つのか、また、事業家としての姿勢も知らなかったのです。このような人物に金を貸してくれるほど銀行の審査は甘くはないのです・・・。たとえ元部長であったとしても・・・。
真偽の程は判りません。しかし、一応実話として聞きました。まさに、これが当てはまりそう、ということですね。
かなり横道に逸れましたが、④と⑤については、色々考えるべきことがありそうです。
①に挙げた、金利の面では制度整備によって賄えそうですね。これは、政策金融特別のものではなくとも、既に制度融資のシステムがありますので、それを円滑運用できるにはどういう制度設計が必要か考えれば済みそうですね。金利水準は、担保・保証面とも密接に繋がっているでしょうから、一括で考えることも必要でしょうか。商工系無担保ローンでは、取立てや根抵当とか連帯保証などの面で問題があったので、民間金融機関の暴利的営業に任せられるか、心配ではありますね。
②と③についても、民間金融機関がきちんとカバー出来ていれば誰も困らないのですが、民間が貸さない為に、政府系に頼るというのをどのような解決方法を見出すか、検討が必要ですね。
昔のような駄菓子屋、小さなタバコ屋とか酒屋などがかなり減少して、所謂コンビニになりましたが、メリットはかなりあったと思います。商品開発、物流とか仕入れなどもそうですけれども、経営アドバイス的な部分での支援が最も大きいですね。本部から専門の人員がやってきて、事業として成功するようにフランチャイズオーナーに指導したりしますから、昔のような経営者の個人的な能力に頼る必要がない訳です。零細企業や家族経営の店などは、そのオーナーの能力にかなり依存しますから、失敗も多く出やすいかもしれません。しかし、専門の本部人員がやってきて経営的な指導をすることで、安定的な経営が出来る店舗が増えるし、そのお陰で個人商店時代に比べると破綻する店が少なくなっているかもしれません(これはあくまで推測です。現実にはかなりの数が閉店している可能性もあります)。従って、中小企業、特に零細企業においては、このような「経営エキスパート」によるシステム的な経営の方が、失敗が少なく出来るんじゃないか、と思います。それをどういった政策で実現できるかというのは難しいです。或いは同業者組合のようなものでもいいんですが、そこがしっかりとした経営手法を伝授するとか、何か方策があるかもしれません。実現可能かどうかは、不明なのですけれども。
仮にクリーニング店があるとして、零細で担保もないので借入が難しい、という環境であるとしたら、同業者組合で一括債務保証保険を完備しておく、というようなことです(上限は3百万円とかで)。倒産して貸し倒れになるかもしれない、というリスクがあるので銀行が貸したがらない、ということであれば、倒産しても貸し倒れになりませんよ、という保険制度があれば銀行は貸してくれるのです。全国の何処かのクリーニング店が不幸にして倒産したとすると、同業者組合保証によって銀行に債務が支払われます。この保険に加入するには、一定以上の経営状況であることが確認できることと(新規であれば運転資金等の資産状況とか色々)、必ず本部の経営指導を受けなければならないこと、という条件を付しておけば、この縛りによっていい加減な経営は排除されるし、個々の能力に依存していた部分がいくらかカバーされるかもしれないですし。このような制度は政策的に存在しているかもしれませんが、一般にあまり利用されていないんじゃないかと思いますね。もしも、このような仕組みがあれば、金融機関が貸すにしても経営への信頼度は若干増す(本部の指導を既に受けているし、経営状況のある程度の確認もできている)だろうし、貸し倒れリスクがないとすれば金利も優遇してくれるかもしれません。ただし、全国的に倒れる店が多い場合には、保険が底をつく可能性があります。これは本部の根本的な経営指導に問題があるか、構造的な赤字業種である可能性もあります。あと、参加数が少ない場合には、一店舗当たりで重い負担となってしまう可能性がありますね。
良い方法は直ぐには思いつきませんが、詳しい方なら色々な方法が出されるかもしれません。政府系金融機関を無くす、無くさない、いくつに、といった議論も必要ですが、「どのような制度設計によって問題点をカバーするか、可能な制度・政策はどのようなものか」というようなデザインをする為の議論だ、ということです。ヒアリングはその為に行われるものだということです。