一つ前の記事中で、磯崎氏の記事について触れたのですが、早速ご丁寧なお返事を頂戴しました。私の理解不足の所も結構あったのですが、勉強になりました。有難うございます。磯崎氏の案は、現金には課税せず預金にだけ課税するということのようでした。そーか、ナルホド。企業にも課税されないのだそうです。ちょっと、不安な幾つかの点について書いてみます。
まず、預金にだけ課税されるということで、銀行預金が悪者になりそうです。預貯金でざっと700兆円以上あるから、2%課税(やはりやるならドカっとこれくらいはとるべきではないかと思いますが、根拠はないです)としても14兆円以上のオイシイ税収ということになるようです。普通の投資家の行動で考えてみましょう。銀行預金(郵貯はなくなって銀行になるから、この際銀行とします)だけに課税されるので、銀行預金を引き出して別な投資先に移し変えます。無難な線で個人向け国債ということにしましょう。個人金融資産1400兆円のうち、預貯金の預け先(郵貯や銀行等の金融機関)が300兆円分を国債投資に預金者達のお金を回しています(法人分も含むので、私の推測額は個人資産分としては240兆円でした、参考記事:国債償還と借り換え(2))。今後、この国債保有者が個人の直接投資という形で置き換わることになるのでしょう。
全ての預金者が一般的な最適行動をとると仮定すると、銀行預金は大量に引き出されて他の投資先へ移しかえられます。銀行残高を保つのは、ごく少量の決済用資金だけですね。手元に現金として残す場合も多いでしょう。あとは、課税される時期がいつかにもよりますね。毎月決算日や期間平均残高などに例えば0.15%ずつ課税、みたいにしないと、年1回だけならば特定期間だけ引き出しが相次ぎ、銀行は倒産しますね。定期性預金は国債投資や外貨性商品、株式、投資信託などに振り向けられます。流動資金は、いわゆるタンス預金となるでしょう。今だって、銀行金利は異常に低いくせに、時間外手数料とかのATM利用料などがかかることの方が腹立たしいし、口座維持手数料を取られる場合も有り得ます。利息が年100円以下にしかならないのに、手数料で年3000円払う、というのが今の銀行取引の基本となっています(笑)。なので、現状でも銀行に入れずに、金庫とかタンスにしまっている人は少なくないでしょう。情報感度の低い人々は、よく知らないで消費者ローンやクレジットカード会社にべら棒な手数料を払い、ごく稀に預金があっても(バイト代などが振込まれるのかな?)コンビニで深夜などにATMを利用してしまい、そこでも手数料をぼったくられる、という現象が見られるのだろうと予想されます。そのように考えると毎月0.15%程度の課税なら我慢するよ、という人々が多いのかもしれませんけれども(笑)。
日銀の資金循環統計によれば、個人金融資産1400兆円超のうち、追跡不可能(というか、どのような形になっているのか不明というお金)の資金が100兆円以上あるというのも以前に書きましたが、このお金が何処にあるのか・・・暴力団の金庫の中、自分のお財布の中、寂れた商店のレジの中、自販機の中、色々考えられそうですが結局不明ですね。このように、追跡不明資金は預金課税によって倍加しそうな気がします。大金持ちは手元に多くの現金を持つ必要性もないので、流動性の高い投資先へどんどん投資し、巨額資産家向けのラップ口座などで保護されて、預金課税額も当然金融機関が払ってくれたりするかもしれません(決済程度の500万円上限とかで。残りの巨額資産を自分のところに持ってきてくれる方が嬉しいだろうし)。金持ちと貧乏人の格差は拡大しそうな感じが・・・
私は銀行預金というものに魅力を全く感じないので、常に株式とか別な投資しか選ばなかったですけれども。
少額の資産しか持たない人々は、投資先も大してないのでやはり税金に持っていかれる可能性もありますね。銀行引き落としなどのサービスは非常に嫌なものとなってしまうかもしれません。常に「現金払い」でお願いします、ってなるかな。あと、法人預金には課税されないとのことでしたが、個人事業主のような非法人は事業資金を現金で全て持つ訳にいかないので、やはり不利なような気がします。従業員給与支払いの為に銀行に置くだけで、課税されてしまう。これも、悲しいのでは?
結局、預金の半分近くが退蔵資産となり300兆円くらいはどっかに行ってしまいそうな予感。不明資金は現状で100兆円以上だから、控えめに見ても400兆円くらいが退蔵資産となってしまうかも。残りは、国債投資などに300兆円(現在の国債保有者が銀行から個人に置き換わるだけ)、後は色々・・・ってな具合なんじゃないのかな、と。株式市場に200兆円とか流入するというのは、少ないと思うけれども。個人預金が300兆円引き出されると、半分以上の金融機関が潰れそうな気がします。メガバンクだけがいくつか残る。
金融資産の分布の正確な数値は判りませんが、総務省統計局の家計分析などから見た資産分布を参考に考えてみます。
野村證券などの推計値では、1億円以上の金融資産保有は約80万世帯、5千万円以上では約324万世帯だそうです。全国世帯数は大体4800万世帯程度だと思われますので、これら高額資産家は全体の約8.5%に該当します。この人々がどれ位金を持っているか不明ですが、7500万円平均で324万世帯、3億円平均で80万世帯と仮定すると、それぞれ248兆円と240兆円の資産保有(!)となります。1400兆円のうち、既に488兆円(約35%)は持たれてしまっている、ということになります(power law に従えば、2割の人が富の8割くらいを持つということになるので、どうなるか見てみます)。4000万円超の世帯割合は11.1%くらいですので、4~5千万円を持つ人々は推計で124万世帯となります(単身世帯を含むと比率は変わると思いますが、資料がなかったので・・・)。彼らは約55.8兆円を持ちます。同様に見ていくと、次の通り。
3000~4000万円 288万世帯 100.8兆円
2500~3000万円 230万世帯 62.2兆円
2000~2500万円 302万世帯 66.5兆円
1000~2000万円 1060万世帯 148兆円
概ねこのような結果となります。金融資産2500万円超の上位約22%は1046万世帯、保有資産は約707兆円で半分を占めています(8割ではありませんでしたね)。1千万円以上の世帯は約2410万世帯(ほぼ半分です)、保有資産は921兆円となります。残りの半分の人々が500兆円くらい持つことになりますが、確か2割は金融資産がない層でしたので、これ以外の3割の人が500兆円を持つということになります。1440万世帯の平均で347万円くらいとなって、だいたいよさそうな線ではないでしょうか(というかかなり不正確と思って頂いた方がよいかと思います)。
これらのうち預金は多分資産上位層に集中していると思いますので、1千万円以上の世帯が持つ金融資産の半分が預金であるとすれば約460兆円、それ以外の人々が約300兆円程度の預金を持つことになりますが、それぞれの人達の額が小さいので全額タンス預金でも可であるというのは有り得そうですね。この300兆円を引き出された時に、銀行は果たして耐えられるのか、というのはどうでしょうね。家に10万円以上置くのは心配?というような人には、税金を払ってもらうしかないですけど。
ああそうか、証券会社のMRFに逃げられますね、きっと。となれば、銀行潰して、証券に儲けさせる方法ということになるかな(笑)。証券は郵貯ATMからも出し入れ出来るし、決済性資金には向いている。昔、独身の時に、「まず百万円貯めるぞ」と思って、定期預金なんぞには置かずに、証券口座を開いて短期公社債投信とかに10万円とか20万円とかを追加していったな(定期預金なんぞは目じゃないほどの利回りだった。投資資金を作るにはまず一定のタネ銭が必要)。10万円とか貯まるまでは、普通に家の引き出し(学生時代からのただの勉強机だけど)にお金を封筒に入れておいた。ボロ屋だったが、誰も盗みにはこなかった。いかにも貧乏そうな部屋だったからに違いない(笑)。このように、タンスや机から証券にお金を移す人もいるかも。
まず、預金にだけ課税されるということで、銀行預金が悪者になりそうです。預貯金でざっと700兆円以上あるから、2%課税(やはりやるならドカっとこれくらいはとるべきではないかと思いますが、根拠はないです)としても14兆円以上のオイシイ税収ということになるようです。普通の投資家の行動で考えてみましょう。銀行預金(郵貯はなくなって銀行になるから、この際銀行とします)だけに課税されるので、銀行預金を引き出して別な投資先に移し変えます。無難な線で個人向け国債ということにしましょう。個人金融資産1400兆円のうち、預貯金の預け先(郵貯や銀行等の金融機関)が300兆円分を国債投資に預金者達のお金を回しています(法人分も含むので、私の推測額は個人資産分としては240兆円でした、参考記事:国債償還と借り換え(2))。今後、この国債保有者が個人の直接投資という形で置き換わることになるのでしょう。
全ての預金者が一般的な最適行動をとると仮定すると、銀行預金は大量に引き出されて他の投資先へ移しかえられます。銀行残高を保つのは、ごく少量の決済用資金だけですね。手元に現金として残す場合も多いでしょう。あとは、課税される時期がいつかにもよりますね。毎月決算日や期間平均残高などに例えば0.15%ずつ課税、みたいにしないと、年1回だけならば特定期間だけ引き出しが相次ぎ、銀行は倒産しますね。定期性預金は国債投資や外貨性商品、株式、投資信託などに振り向けられます。流動資金は、いわゆるタンス預金となるでしょう。今だって、銀行金利は異常に低いくせに、時間外手数料とかのATM利用料などがかかることの方が腹立たしいし、口座維持手数料を取られる場合も有り得ます。利息が年100円以下にしかならないのに、手数料で年3000円払う、というのが今の銀行取引の基本となっています(笑)。なので、現状でも銀行に入れずに、金庫とかタンスにしまっている人は少なくないでしょう。情報感度の低い人々は、よく知らないで消費者ローンやクレジットカード会社にべら棒な手数料を払い、ごく稀に預金があっても(バイト代などが振込まれるのかな?)コンビニで深夜などにATMを利用してしまい、そこでも手数料をぼったくられる、という現象が見られるのだろうと予想されます。そのように考えると毎月0.15%程度の課税なら我慢するよ、という人々が多いのかもしれませんけれども(笑)。
日銀の資金循環統計によれば、個人金融資産1400兆円超のうち、追跡不可能(というか、どのような形になっているのか不明というお金)の資金が100兆円以上あるというのも以前に書きましたが、このお金が何処にあるのか・・・暴力団の金庫の中、自分のお財布の中、寂れた商店のレジの中、自販機の中、色々考えられそうですが結局不明ですね。このように、追跡不明資金は預金課税によって倍加しそうな気がします。大金持ちは手元に多くの現金を持つ必要性もないので、流動性の高い投資先へどんどん投資し、巨額資産家向けのラップ口座などで保護されて、預金課税額も当然金融機関が払ってくれたりするかもしれません(決済程度の500万円上限とかで。残りの巨額資産を自分のところに持ってきてくれる方が嬉しいだろうし)。金持ちと貧乏人の格差は拡大しそうな感じが・・・
私は銀行預金というものに魅力を全く感じないので、常に株式とか別な投資しか選ばなかったですけれども。
少額の資産しか持たない人々は、投資先も大してないのでやはり税金に持っていかれる可能性もありますね。銀行引き落としなどのサービスは非常に嫌なものとなってしまうかもしれません。常に「現金払い」でお願いします、ってなるかな。あと、法人預金には課税されないとのことでしたが、個人事業主のような非法人は事業資金を現金で全て持つ訳にいかないので、やはり不利なような気がします。従業員給与支払いの為に銀行に置くだけで、課税されてしまう。これも、悲しいのでは?
結局、預金の半分近くが退蔵資産となり300兆円くらいはどっかに行ってしまいそうな予感。不明資金は現状で100兆円以上だから、控えめに見ても400兆円くらいが退蔵資産となってしまうかも。残りは、国債投資などに300兆円(現在の国債保有者が銀行から個人に置き換わるだけ)、後は色々・・・ってな具合なんじゃないのかな、と。株式市場に200兆円とか流入するというのは、少ないと思うけれども。個人預金が300兆円引き出されると、半分以上の金融機関が潰れそうな気がします。メガバンクだけがいくつか残る。
金融資産の分布の正確な数値は判りませんが、総務省統計局の家計分析などから見た資産分布を参考に考えてみます。
野村證券などの推計値では、1億円以上の金融資産保有は約80万世帯、5千万円以上では約324万世帯だそうです。全国世帯数は大体4800万世帯程度だと思われますので、これら高額資産家は全体の約8.5%に該当します。この人々がどれ位金を持っているか不明ですが、7500万円平均で324万世帯、3億円平均で80万世帯と仮定すると、それぞれ248兆円と240兆円の資産保有(!)となります。1400兆円のうち、既に488兆円(約35%)は持たれてしまっている、ということになります(power law に従えば、2割の人が富の8割くらいを持つということになるので、どうなるか見てみます)。4000万円超の世帯割合は11.1%くらいですので、4~5千万円を持つ人々は推計で124万世帯となります(単身世帯を含むと比率は変わると思いますが、資料がなかったので・・・)。彼らは約55.8兆円を持ちます。同様に見ていくと、次の通り。
3000~4000万円 288万世帯 100.8兆円
2500~3000万円 230万世帯 62.2兆円
2000~2500万円 302万世帯 66.5兆円
1000~2000万円 1060万世帯 148兆円
概ねこのような結果となります。金融資産2500万円超の上位約22%は1046万世帯、保有資産は約707兆円で半分を占めています(8割ではありませんでしたね)。1千万円以上の世帯は約2410万世帯(ほぼ半分です)、保有資産は921兆円となります。残りの半分の人々が500兆円くらい持つことになりますが、確か2割は金融資産がない層でしたので、これ以外の3割の人が500兆円を持つということになります。1440万世帯の平均で347万円くらいとなって、だいたいよさそうな線ではないでしょうか(というかかなり不正確と思って頂いた方がよいかと思います)。
これらのうち預金は多分資産上位層に集中していると思いますので、1千万円以上の世帯が持つ金融資産の半分が預金であるとすれば約460兆円、それ以外の人々が約300兆円程度の預金を持つことになりますが、それぞれの人達の額が小さいので全額タンス預金でも可であるというのは有り得そうですね。この300兆円を引き出された時に、銀行は果たして耐えられるのか、というのはどうでしょうね。家に10万円以上置くのは心配?というような人には、税金を払ってもらうしかないですけど。
ああそうか、証券会社のMRFに逃げられますね、きっと。となれば、銀行潰して、証券に儲けさせる方法ということになるかな(笑)。証券は郵貯ATMからも出し入れ出来るし、決済性資金には向いている。昔、独身の時に、「まず百万円貯めるぞ」と思って、定期預金なんぞには置かずに、証券口座を開いて短期公社債投信とかに10万円とか20万円とかを追加していったな(定期預金なんぞは目じゃないほどの利回りだった。投資資金を作るにはまず一定のタネ銭が必要)。10万円とか貯まるまでは、普通に家の引き出し(学生時代からのただの勉強机だけど)にお金を封筒に入れておいた。ボロ屋だったが、誰も盗みにはこなかった。いかにも貧乏そうな部屋だったからに違いない(笑)。このように、タンスや机から証券にお金を移す人もいるかも。