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庶民を欺く為替報道(追加後)

2005年11月18日 22時11分02秒 | 社会全般
昨夜チャンネルをWBSのCM中にチラッと変えて観たとき、偶然筑紫さんのニュース23で為替変動についての報道があった。この話題は記事にちょっと書きましたが、小泉総理の量的緩和政策への発言を契機に海外市場で円安がちょっと進み、その後日本市場でも円安となったのですが、この責任を「小泉総理の発言のせいだ」、という恣意的なニュースが流されていました。しかも、円安による影響を解説したのは、元財務官のミスター円こと榊原英資氏であった。確かにコメントをとる専門家としては、一応名前が通っているし、問題とも言えないが、表現は視聴者への「誤解」を敢えて意図したかのような構成だった。これは問題なのではないか?と思った。だって、一般国民は「為替」に対する特段の理解や関心が高い訳でもないし、ましてや「小泉発言のせい」と言わんばかりの報道は問題でしょ?


海外市場での円安反応は確かに小泉発言を受けてのものだったと思うけれども、日本市場に戻っての影響はそれとは別だろ?報道で見る限り、小泉発言の影響よりもむしろバーナンキ氏が受けた指名公聴会の発言(グリーンスパン路線継承、インフレ目標はFRB内での検討必要)の影響で、日米金利差に着目されたのが材料だったし、ユーロ円取引の影響も受けての円安だったので、小泉発言がそれ程の大きなインパクトを市場に与えたのとは全く違うだろう。だが、ニュースでの取り上げ方としては、「小泉発言」を持ってきて、次に円安となった事実を並べ、最後に榊原氏の「口先介入」(笑、本当は解説でした。それは後ほど)と旅行業界の「円安によるデメリット」を一連の流れとして、いかにも関連性の高い事実として報道していた。これはオカシイだろ?


因果関係を明確に示せないものを、いかにも原因―結果という関係性を持つかの如く流せば、普通は「小泉総理の発言がキッカケとなって円安が進んでしまい、そのせいで海外旅行先での出費が増えるし、旅行業界は客がへるかもしれないし、輸入品は値段が高くなるし、灯油・ガソリン等の石油製品も値上がりして、家計を直撃する」という解釈をするだろう。これはある種の誘導だろ?


しかも、榊原氏は「(小泉総理の)発言によって、1円くらいポーンと円安になっちゃって。これは、(輸出産業などの)いい部分もあるんですよ、そりゃね。ですがね、一気に円安になって困るという人も出てくる。それに輸入品は高くなりますし、(もっと困るのは)逆の方向に動いた時に、ドーンとハジケちゃう。円高という方向へね、105円くらいにドカーンとなった時に、困るわけです」というような解説をしていた(正確には覚えていませんが、概ねこのような要旨でした)。その後の映像では更に口だけ動いていたが(もっと激しく、長い解説をしていたのでしょう、笑)、ブチッと切られてしまい映像は別なVTRに切り替わってしまいましたが。この方は、何を言いたかったのでしょう?一般庶民に誤解をさせることを意図したかのような、コメントなのではありませんか?


まず、小泉総理の発言も材料視されて海外市場で数年ぶりに119円目前に迫っただけだろ?発言そのものよりも、米国債の10年債も30年債も大幅金利上昇だったことが大きいだろ?10年債は4.6%超までいっただろ?調べてないから正確に分らんけど。日本市場での影響の大きなものは、ユーロにつられて円売りだったのだろ?タダの「つれ安」(と表現するのが適当なのか不明ですが)なんじゃないか?ドルに対してユーロ安になれば、ドル円では円売りドル買いとなってしまうんじゃないのか?報道で見る限り、そういう影響が大きかったんだろうと思うけど。それに、輸入品が高くなるデメリットよりも、日本企業の輸出の方が影響が大きいだろ?基幹産業の多くは輸出産業だろが。日本は輸出超過だろ?


円安になったって、円高になったって、そりゃどっちに動いても喜ぶ人もいれば困る人もいるのは当たり前。決まってるだろ、そんなこと。小泉発言後に限らず、変動があれば常に困ることもあれば、いいこともあるだろ。ちょこっと円安が進んだくらいで、何をそんなに騒ぐ必要があるんだ?むしろ有難いじゃないか。今までにも、景気の腰折れを円高が演出した時が何度もあっただろ?あれほど、円高に苦しめられてきたんじゃなかったのか?オイ。逆に、「円安にしてくれて本当に有難う」だろ?


それにバーナンキ発言後は、日米金利差拡大の思惑からドル買いだっただろ?円安からドカーンと円高になる時は、どんな時だって困ることが多かっただろ?そんなこと、小泉発言で円安となったことと関係ないだろ?よくもまあ、こんな適当なことを言いますね。105円になったのは、昨年末から今年前半は概ね105円前後だっただろ。既に105円程度になってただろが。そん時に、そんな「ドーンとハジケた」か?つい最近の出来事じゃねーか。変な煽りは止めるべき。庶民を脅かしてそんなに楽しいのか?元大蔵官僚というが、こんなレベルの解説しか、できんのかね?


ちょっと途中ですが、また後で。


一応参考として、以前書いた為替に関連する記事を挙げておきたいと思います。

中国の米企業買収意欲と為替のこと(追記あり)
「円高シンドローム」に初めて触れる
改革競争時代


上の記事にも書いたのですけれども、LTCM危機の時には半端な円高ではなかったでしょ?30円だよ、たった2日で(もっと昔は数時間で数十円も変動したらしい・・・よく知らんけど。誰かが書いていたように記憶している)。ミスター円ならば、当然そういう急騰も知っている訳で、小泉発言でちょっぴりの円安要因になったとて、経済全体の大勢には何ら影響がないでしょうが。「ドカーンと105円になる」という出来事があるとしても、それは小泉発言と何ら関係がないことでしょ?それをいかにも「小泉総理の発言で円安になったから、逆に円高に動けば落差が大きくなるんだ」というような誤解を視聴者に植えつけようとしているんじゃないのか?こじつけが過ぎるんじゃないのか?


原油価格が上がっているから、市販価格も高くなるに決まっており、これは小泉発言のせいでもないし、発言前に既に1ドル118円程度だったのだから、ガソリン価格等の上昇が小泉さんのせいではないだろ。なのに、VTR編集は灯油やガソリン価格の上昇で家計圧迫という悪影響心理、という誘導をしていた。こりゃ、マジでおいおい、だろ?よくもこんなVTRを作ったもんだね。こうして、一般庶民は過った認識を植えつけられていくんだね。


テレビって本当に便利だね。いかようにも事実というフリをしたり、因果関係のない事項を関連付けてたり出来るんだもの(笑)。ミスター円の解説も、今後絶対に信用しないことにする。針小棒大とはこのことだな。