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幻の日経平均2万円

2005年11月21日 20時44分21秒 | 社会全般
本日の毎日新聞の社説は、今の日経平均はバブルをマスクしているのではないか、というような社説だったようです。毎日は一貫して「日銀支持派」でしたから(笑)、当座預金残高の30兆円以下の目標額に賛成していたと思う(誤解だったらゴメンナサイ)。なので、量的緩和政策を終わらせようと、「既に資産インフレじゃね?」ということを強調したいのかな?「株のミニバブルなんじゃね?」ってことを言いたいの?


毎日新聞の説によれば、ITバブル期だった2000年4月に日経平均の銘柄入れ替えを行わなかったと仮定した場合には、今の日経平均株価水準が「控えめに見積もっても2万円を超えている!」というものです。う~む、微妙な判断だと思うけど、本当なの?そんなに儲かってるの、みんな?ITバブルの前は、「絶対にIT・通信関連は買わない」と決めていたので、どんなにドコモが暴騰しても、ソフトバンクが暴騰しても、手出ししなかった。なので、そういうIT関連とは縁遠く、バブルをあまり味わっていない(89年頃のは、学生だったから無関係)。それはまあいいけど、今の株価水準が「2000年頃よりも高い」てのは信じられないな。大体そういう相場の時には、証券会社が「本格販売攻勢」をかけてくるから。今の所、広告費がそこまでアップしてるとも思えないけどな。新聞広告で新規投信販売の大々的な広告とか、新たな「かっぱぎ商品」(判る人はいるかな?「かっぱぎ」。笑)として、募集広告が出てるはずですね。


例を挙げると、ITバブルの時に多くの素人を罠に陥れていたであろう、EB(参考記事:日本の自律的景気回復は何故起こったのか?)とか。ソニー、ドコモやアドバンテストみたいな値がさ株の株価と連動した特殊な債券で、利回りは高いが一定水準まで値段が下がると株式で償還されてしまう、というシロモノ(大雑把に言えばだいたいそんな商品だったよね?)。100万円分の債券を買ったつもりが、株価がタッチラインを下回ると、100万円で戻されることはなく、最初に100万円で買った分の株式で帰ってくる。例えば、株価1万円で設定だとすると100万円分ですから100株分買えますね。この株価が予め設定された下限水準の9000円(これはあくまで例です)を一度でも超えて下がると、最後には株式100株で戻されるのです。その時点では運が良ければ10000円以下になっていないかもしれないが、まず下落していることが多かっただろう。だって、既に設定された値下がり水準を越えて下がってるのですから。これは株を買ったのと同じようなもんです。なので、償還時に株価が大幅下落した株式を返されても、マイナスは取り返せないでしょうね、多分。これを長期投資と思って売らずに放置しておくと、更に被害が拡大しているでしょう。証券会社の企みは大体そういうようなものですから。恐らく無知な素人はこういうので、まんまとやられるんですよ。


そういう訳で、バブル時にはこういった怪しい業界活動が活発になってくるので、大体雰囲気で判る(と言っても、ITバブルの一度しか見てないけど)。バブルを演出する「煽り」がかなり必要なんですよ、やっぱり。素人個人投資家を引っ張り込むには、それなりの「エサ」が必要なんですね。そういう積極的な広告活動などが、まだまだ足りない感じですね。本格的なバブル状態が近づくと、右肩上がりのグラフとか、幾ら上がったという直截的な数字がテレビや新聞に踊ることになります。それに釣られた個人が参加することで、更なる資金流入=バブル加速となるんだろうな、と。


感触だけでは判断できないでしょうから、日経平均がどうなんだろうか、ということをちょっと考えてみることにします。

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過去を見ると、96年6月に日経平均が22000円くらいで高値を付けた後13000~14000円くらいまで下落し、99年春頃から00年のITバブルが始まりました。この時には00年3月頃が高値で20000円ちょっとくらいです。銘柄入れ替えがどういう影響だったかは不明ですが、この後急速に下落していきました。あっさりとバブルが崩壊してしまったのです。01年1月頃には14600円くらいまで落ちてしまいました。その後も下落し、03年4月の8000円割れまでいきました。約1年弱で終了でしたな、ITバブルは。


通常日経平均以外の指標としてはTOPIXが用いられます。

Yahoo!ファイナンス - 998405.t

この指標の組成は正確には知りませんが(詳しい説明は他で調べてみて下さい)、多少の乖離はあるものの概ね日経平均と似た動きとなります。ただ、日経平均は225種しか採用されていませんが、東証株価指数というだけあってTOPIXは東証一部企業全ての価格ということになるようです。欠陥も指摘されてますが、一応同じ時期で見ると、96年高値の頃とITバブル高値が大体同じ位で、1700ポイント前後です。現在は1500ちょっとくらいですから、約88%程度まで上昇してきていることになります。96年頃のままの銘柄であるとして大雑把に推測すると、約19360円くらいとなります。でも、(銘柄入れ替え前の)00年3月までの時点と同じ程度であるとしたら、約17600円くらいということになります。結構な開きがありますね。


東証上場全企業の時価総額で見ると、ITバブル崩壊後で日経平均が今と同じくらいの水準の14600円くらいだった01年1月頃では約380兆円、10000円を割れのどん底に落ちこんで年金資金で株を買ったらどうかという検討がなされていた02年秋頃(日経平均では9000円程度)では約250兆円、現在は約480兆円(日経ナビ2007:業界別ニュース)ということです。ほぼ同じ銘柄に入れ替わった00年以後であっても、01年と今とでは日経平均がほぼ同じなのに時価総額は今の方が100兆円くらい多い、ということになります。02年の9000円から15000円という価格上昇だけを考えたとすると、約67%上昇なので時価総額は420兆円弱程度となりそうなんですが、違うようです。日経平均の変動に大きなインパクトを持つ銘柄群(ソニー、ソフトバンク、ドコモなど・・・かな?)の低迷というのは確かにあるかもしれません。


今の日経平均株価が低い要因というのは、
①ITバブル期に暴騰していた値がさ株の低迷(正しい水準訂正、とも言える)
②日経平均採用銘柄以外への投資が相対的に昔より増えた
③発行株式数が多く株価の低い大型株(所謂オールド企業?)への投資が多い?

というようなことがあるでしょうか。TOPIXの回復具合をみれば、約8割強は戻っていますから、低めに見ても昔の16000円程度はあっても良さそうなんですがね。また時価総額が予想より随分と多いので、オールドエコノミー企業の復活は多少関係していると思いますが、それが毎日新聞の主張のような消えた30銘柄のせいで2万円に届かないんだ、というのは違うように思うが。


素材関連とか繊維関連銘柄がそんなにインパクトあるかな?カネボウはあの有様だし。例えば代表的な鉄鋼株の新日鉄は89年のバブル期に最高値984円を付けましたが、96年頃でも380円程度(ITバブル期の高値は250円前後)と今年(400円ちょっと)と似たような水準でしかありません。時価総額全体ではバブル期の8割ということですので、こうした大型株の企業への投資が復活しているのは確かにあると思う。他方、日経平均の値動きにインパクトの大きい値がさ株への資金流入はITバブル期みたいに多くない為、01年と今とを比較しても同じくらいの日経平均水準なのに、時価総額は今の方が大きい、ということなんだろうと思います。


他の要因としては、経済規模というのはどうなんでしょう?バブル期のGDPは450兆円くらいでしたが、今は500兆円超ですので、そういう経済成長の影響というのはあるのかな?よくわからんけど。96~97年頃ではGDPが520兆円くらいでした。実体経済と株価で見れば、今の方がはるかにまともな気がする。GDP比をTOPIXに当てはめれば、今のTOPIXは1630ポイントくらいになる計算になります。96年と比較しても今の方が割安なのかな?


仮に昔の30銘柄がそのまま残されていたとしても、大体17500~20000円というのがMAXではないかな?20000円を超えてはいないと思うけど。毎日新聞の社説では「かなり抑制的に試算しても2万円をかなり超える値が出てきた」と述べられていて、本当なの?と思ったりする。先日のベルグソンについて書かれてしまった石原都知事の発言風に言えば、「それさー、論拠を示せよ、論拠を」ってな感じですかね。


毎日新聞としては、日経に対して何かあるの?そういう訳ではないんだろうけど、急に「日経平均を一気に入れ替えんなよ」と昔のことを突付いてみるのは何故なんでしょう?日銀批判(NET EYE プロの視点)に対抗とか?