いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

危険な誘惑?

2005年11月20日 18時31分48秒 | 俺のそれ
金曜日のWBSでは大投資時代ということで、さまざまな投資プランの紹介があった。一般の投資意識の高まりを反映しているかもしれない。それに退職金獲得大作戦、というか、団塊世代の大量退職に伴う退職金の争奪戦となるだろう。今後公務員人件費の削減圧力が高まるので、従来のような「満額回答」的大量の退職金を貰える最後の世代となるかもしれないしね。数十兆円(?)だったかの規模で退職者達が持つ退職金の行方は、業界にとっては確かに気になるのだろう。


今人気があるのが、毎月(若しくは四半期ごと)分配型の投資信託みたい。年寄は基金みたいに数千万円を預けて、そこからちょびっとづつ貰うのが好きみたい。お小遣い的というか年金的なのがいいということのようです。そういうのは大抵外国債券への投資ファンドが多いように思います。1万口当たり(基準価格が最初1万円として)50円前後の分配金が出ますから、月0.5%程度を受け取ることが出来ますね。年6%(源泉は20%でしょうか?それとも投信配当なので10%とお得なのかな?)となって、かなりの高利回りと言えます。1000万円あれば、毎月4万円(20%源泉されたとしても)ずつ受け取れるということになり、年金的な使い方が人気なのかもしれませんね。それと、もしもこの水準で受取り続けたとすると、10年で480万円と約半分が回収できるのでちょっと安心だし、その時点で基準価格が半分という風になっていなければ、残された投信価格分が得しますしね。なるほど、成績の良いものを選べば、十分得ですね。遺産として残しても悪くないかもしれませんね。でも、落とし穴もちょっとあるかも。


それは為替リスク。大抵為替ヘッジしてないタイプが多いと思う(もしヘッジありだとすると、成績が少し悪くなるんじゃないかな?)ので、どの程度の水準か不明ですけれども、基準価格が大幅に低下してしまったり、分配金が減額されたりするかもしれないですね。仮に、毎月4万円貰えていたのが3万円に落ちたとすると、ちょっと悲しいだろうな、と思う。そこで受け取るのが円だから仕方ないんですけど。これがなければ、結構イイ線いってる商品かもしれないね。今みたいに円安局面になっている時に買ってしまうと、基準価格が相対的に高値になってしまい、ちょっと損かも。なので、退職金を大量に手にした後は、まず為替を見ておくことが大切かも。

例えば現在基準価格が12000円の上のような投信があるとして、運用はドル建てだとしよう。レートを簡単に1ドル120円とします。すると、大雑把に言って、運用成績が一定であればレートに影響されるので、1ドル100円になってしまうと基準価格が10000円に落ちてしまう、ということになるかな。120円の時に2400万円分買うと、2千万口買えますから、分配金が毎月50円なら税引き後受取額は1千万口当たり4万円でしたので、年96万円受取となります。
一方、2年後にある日突然1ドル120円だったのが100円になったとします(普通は有り得ませんけれど)。すると基準価格が10000円となります。2年前に買っていたら、この間に受け取っていたであろう年96万円のお小遣いを取り崩していたとして、2年分ですから192万円減っていることになります。なので、元々あった元金2400万円は2208万円に減ってしまっています。けれども、投信の基準価格が10000円に落ちていますので、同じ投信をこの時点で買うとするなら2208万口買えることになります。2年前では2000万口でしたので、208万口も得することになります。しかもこの時点から受け取る分配金が一口当たりでは同じですので、仮に円高で減額されて月35円になるとしますと、2年前に買った人は月7万円(20%源泉後5万6千円)ですが、後から買った人は7280円多く貰えます(20%源泉後5824円)。このような差は今後もずーっと続きますし、分配金が増えれば増えるほどその差額が大きくなっていきます。なので、買うタイミングは重要ということになります。だけど、普通に退職した人達は営業トークに乗せられて、一気に買ってしまうかもしれません。すると、後々損をすることにもなりかねないのです。


近い将来(3年以内くらいかな?)の時点で、相当程度の円高を予想しているならば(上の例で見たような、1ドル100円と120円くらいの変動ということですね)、その時点で買わないか(予想に自信があるなら)、幾つかに分割して買うべきですね。多分円高が進んでいく過程では分配金が減額されていくだろうから(1ドル120円の時は50円だったのが、レートが110円になれば40円という具合に)、一度に買っていたら受け取っていたであろう分配金の額も少なくなるはずです。なので、慌てて買うことがいいとは限らないのです。でも、結構な円高水準だろう、と思えばドカーンと買ってしまってもよいと思います。待つ時間が長ければ、取り崩し額が大きくなるので損する可能性があるのと、予想が外れてずーっと円安水準が続かないとも限りません。なので、適度な妥協も必要ですので、良さそうという水準に達していれば買ってしまってもいいと思います。例えば、現在の1ドル119円では買わないことにして、その後107円まで待って買ったら、その後100円まで下がってしまった・・・その時まで待てば良かった、というような、そこまで損した気分にならなくてもいいのではないのかな、と。でも大きなお金であれば、少なくとも数百万円単位に分けて購入する方が無難であろうと思います。


株式投資に関しては、コメンテーターの伊藤元重先生が「やっぱり長期投資がいいですね」と述べていたけれども、それも本当にあてはまるかどうか疑問だと思った。バブル以前と以後では、投資方法は変えるべきなんではないかと思いましたね。特に今の日銀のような「インフレを絶対阻止」という政策をされたら、ゲンナマが一番じゃないか。ただ待っていても資産価格が下落していくだけなので、うまく波に乗っていかないと、「持ってるだけで儲かる」なんていう時代じゃないと思うけど。仮にバブル期にNTT株に投資をして一度も売却せずにずーっと持っていたとしても、300万円以上で買ってしまった人達は何の得にもならないだろう。配当金を受けても、挽回できる水準なんかじゃないと思う。長期投資と言っても、ある程度の目標が必要だと思うけど。

「投機じゃダメなんですよね」って小谷さんも言ってましたが、その方向に誘い込んでいるのは証券業界なんですよ。一般素人投資家には危険が一杯なんですから。「投機はダメ、長期投資をしろ」なんて説教を言っておきながら、証券業界の奴らは無知な個人にワラントとか売ったり勧めたりしてるんだよ?まさに「射幸心を煽る」というもの以外の何ものでもなさそうな危険な投機商品を一般人に売りつけてるのさ。そうやってバブル期には、有り金を失った人々がたくさんいたんですよ。パチンコとかのギャンブルならば「煽り」機能の規制が厳しいけど、金融商品では「煽り」機能はバッチリ残されてるんですよ。

「上がるか、下がるかだけで判断してる」なんて素人投資家を批判しておきながら、「ブルベアファンドはどうですか?」とかやってるんじゃないのか?そんな商品を開発して売ったりしなきゃいいだろ?それが本当に良心的な投資家保護だろ?なのに、上がるか下がるかに賭ける、上昇も下落も2倍とかっていう過激な商品を売ってやがるんだよ、彼らは。上がるか下がるかしか考えないETFなんていう商品を、証券業界をあげてさんざん運動して導入させたんだろ?こいつらは何をいってやがるんだ、と思うぞ。ならば、一般投資家の売買禁止を嘆願してみろよ、そういう投機商品全てを。そういう商品で商売しなきゃいいだろ?


良心的な投資を勧めてるんじゃないんですよ、あの業界は。参入してきてくれる素人を、てぐすね引いて待っているんですよ。金をしょってきてくれるから。「カモねぎ」が味噌と鍋まで用意して、自ら飛び込んできてくれるのを待っているの。プロの連中は、まんまと罠に陥る素人の持ってる金を狙って待っているんですよ、きっと。だって、本当に一般投資家には危険だから、と思うならば、そんな商品作る必要がないんだもの。自分達だけで勝手にやってりゃいいんだもの。でもね、同じ土俵に載せたがるの。プロの連中はプロ同士だけなら勝負がキツイけど、ド素人が混ざるとプロ側が勝ちを拾いやすくなるんですよ。通算していけば、概ねプロが勝つことになるだろう。だから、「素人投資家がきてくれないかな~?」って、いつも期待して待っているんでしょうよ。

『哭きの竜』(昔あった麻雀漫画)でも、プロに全財産をむしり取られる素人というのがよく出てたような気がするけれども、あれに近いように思う。ド素人でも、ビギナーズラックというか、ツキだけで勝つこともあるけれども、何度か対戦すると実力差が出てくるんもんです。初めは「勝たせて」やるんですよ、ワザと。少しだけいい思いをさせてやる。そしてカモがグバッと食いついて(=大金を投入して)きたら、むしり取るんですよ、本物のプロは。ですから、入り口には見目麗しきものだけ並べておき、中に深く入っていくと非常に危険な怪しげな誘いをしてるというのが、「上がった下がったの投機はヤメロ」と説教たれる連中がやってる商売の姿なのですよ。


なので、そういう不可解なものには決して手を出さないことも一つの防御方法ですね。普通の株式投資で欲も程ほどならば大怪我はしないと思います。投資は、自分に合ったスタイル、うまくできる方法を見つけることが一番じゃないかと思います。