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金融調節の雑感

2005年11月26日 19時42分40秒 | 俺のそれ
今後の金融政策に関しては、日銀の姿勢に対して不信感が高まりつつある(少なくとも私の中では)。経済の調節というのか、舵取りというのは非常に難しいんだろうな、と素人考えながら思うのですが、それにしても、現状で最も効果が得られるという知見・理論を元に判断するべきですね。勿論未だ解明されていない法則とか、不思議な現象といったものもたくさん存在するのだろうが、それは経済学の課題として解明を待つしかないですね。


経済物理学とか、そういった周辺領域については全く知らないのですけれども、いつもの単なる感覚で書いてみます。生物学も同じくあんまり知らないんですけれども。


何となくですが、お金の流れというのは、生物でいうと血流みたいな感じがしますね。「じゃあ、心臓って何処よ?」と突っ込まれそうですが。そりゃ判りませんけれども、例えば「日本」と「その他(海外全部)」みたいな、2コンパートメント・モデルというようなのにも似てます。そこのやり取りは為替レートという基準があったり、輸出入や投資といった移動があったり、というような印象です(あくまで感覚ですので、現実に当てはまるかどうかは判りません)。薬物の代謝や分布などの研究などに用いられているようですが、何となくそういうイメージがあります。調節因子は為替レート以外にも幾つか存在するのだろうと思います(金利とか経済規模・成長率とか・・・何だかよくわからんけど)。


海外と国内という区分ではなくて、国内だけを見てみると、やはりそこでも家計・企業・政府というコンパートメントがあって、そこでのやり取りというか資金循環というか、そういうイメージがありますね。日銀はどこの部分に当たるのかよく判らないんですけれども。ああ、日銀というコンパートメントと国内経済全体というコンパートメントでしょうかね?で、国内経済全体が3つに分かれてるんだろか?資金分布もそうですけれども、循環速度ということも重要な因子であると思いますが、何に該当してるかよく判りません。


通常、人間の血圧には幾つかの変動要因がありますが、心臓から送り出される血液量(心拍出量)、末梢の血管の太さ(血管抵抗)とか、循環血液量とか、そういったものですね。日銀の量的緩和策は言ってみれば「循環血液量」の増量みたいなもんです。よく量的緩和を金で「じゃぶじゃぶ」とかって表現をされるのですけれども、イメージとしてはこれに当たりますね。例えば失血した時には、循環血液量が減る為、心臓に何の病気がなくても(ポンプ機能には異常がなくても)血圧は低下して行きます。そういう場合には、「量を増やす」というのは最も有効となるでしょう。なので、輸血をしたり、点滴で大量の輸液をしたりして、循環血液量を維持するようにします。もしも失血量が一定以上多くて、循環血液量が維持出来ない場合には、心臓が如何に「バクバク」して血液を送り出しても間に合わないので、出血性ショックに陥って不可逆的変化となれば死亡してしまいます。


循環血液量を増やそうとする時には、薬剤を投与するということも有り得るだろうと思いますが、副作用が少なく比較的マイルドなコントロール方法は「輸液」というボリュームを増加させる方法となります。しかし、これも万能ではありません。病状の軽い状態(例えば軽い脱水症状、血管反応性の軽いショックとか)には十分有効ですけれども、徐脈(心臓の拍動が一定以下の少ない回数となってしまい、心拍出量が減少する)とか、末梢血管に大きな問題があれば、十分な効果が得られるとも言えませんね。ですから、量的緩和政策をこれほど長く行っても効果が不十分であるということは、何か別な調節を考える必要があるということになるでしょう。副作用という点では、現在までの景気回復とか経済状況を見るとそれ程重篤な副作用は観察されていないので、マイルドなコントロールでは不十分ということだろうと思います。


では、何処に問題があるのか?心臓から送り出す血液量が一定以上に保たれていないとか、末梢にうっ血してしまっているとかですかね。心臓ポンプを強化するような薬剤を投与する(心臓の一回拍出量を増やすか、拍動回数を増やすか)とか、末梢血管抵抗を変える薬剤を使うとかですね。しかしながら、これらの薬剤には副作用があって、余計な部分にも影響を及ぼしてしまうことも多いですね。病気の状態によっては、逆に悪化してしまう場合も有り得ます。例えば心筋虚血のある患者に、心拍数を上げる薬を投与すると心負荷が大きくなり(動脈圧を上げるよりも、心拍増加の方が心筋の運動負荷が大きく虚血になり易い)心筋梗塞を誘発してしまったりするかもしれません。


心拍出量の減少というのは、日銀の各種オペの不備と似てるとみていいのかもしれません。循環血液量=ボリュームを増やす(当座預金残高の大幅引き上げ)という手段ではダメなので、国債買い切りオペのような更なる心拍出量を増やす方法を取るというようなことでしょうか。ただ、診立てがそれで正しいのかどうかは私には判りませんが。

家計・企業などの末梢組織に金が停滞しているというのは、金だけ持っていて、タンス預金みたいに動いていない状態に似ています。設備投資などのような投資に金が向かわないのですね。心不全患者で末梢組織に(血管外に移行した)水分がうっ滞して浮腫となってしまうのと似ています。また、病気の組織には血液が向かわず、健康部位にばかり血液が流れるような状況(=勝ち組が勝ち続ける)にも似てました。例えば不況で弱っている中小企業からの銀行資金引き上げといった「貸しはがし」がこれに似ています。銀行の不良債権処理加速というのは、結果的にそのような状況を作り出したのですから、薬剤投与の誤りがあった可能性は否定出来ませんね。脳梗塞ような虚血部位がある場合に、病的部位への血流を確保する為に血管を拡張させる(局所の血流が増加する)薬剤を投与しても、スティール現象が起こってしまい、傷害部位である虚血部位には血流が減少して健常部位にばかり血液が取られてしまうのと似ています。


通常の人体では各臓器の自己調節能があって、血流を一定に保てるような調節が働きますが、全体的には神経性の調節(自律神経系などですね)やホルモン・オータコイドなどの調節物質の作用などによって調節されています。勿論フィードバック機能もあって、圧受容体反射など、いくつかのセンサーから受けた情報を元に一定範囲内に保とうとする機能もあります。その調節範囲というのは、最初から大体決まったレンジとなっています。自己調節能がうまく機能しなくなっていれば、当然病的状態を回復する為に、薬剤投与などが必要なのですね。


心筋梗塞のある人が胃ガン切除手術をするような場合には、ガンも治す必要がありますが、手術を受ける時に心筋梗塞が悪化しないようにしないと、術中にたくさん出血したからといって心筋梗塞悪化の為に心臓死ということであれば、何の為の手術か判りませんね。なので、そういう場合には、心臓血管系をコントロールする為に複数薬剤の組み合わせによって、全体のバランスを保つような工夫がなされます。大まかに言うと(全くの当てずっぽうです)、心筋虚血を防ぐ為に冠動脈拡張薬を使うと、他の組織の血管拡張も起こってしまい血圧が下がりすぎるので、臓器血流量を増やす薬剤を投与しつつ、血圧が下がると結果的に心拍数が上がる為(心拍出量を一定量に保とうとする反応の為)心筋負荷を軽減する為に心拍数を抑制する薬剤を投与し、といったことを行う訳ですね。複合的な薬剤投与を行うというのが、循環系のコントロールを可能にする方法だろうと考えられているようです。


つまり、全身的な循環不全があるという病的状態の場合に、一つの方法・薬剤だけでコントロールしようとする方が困難な場合が多く、「デフレ」という病状に対しても同じで、一つの方法のみで回復させようという方が、かえって困難となってしまうことも多いのではないか、と感じます。日銀の行った方法は、前述したように「輸液」だけしておいて、あとは放置ですから。その一方で、政府はスティール現象を惹起するような治療薬を選択したり、臓器血流量を下げるような手段(=緊縮財政、予算カット)を取ったりする訳ですね。なので、病的部位は益々広がり、一時的に重篤な機能低下が起こったが、アップアップの状態ながらもどうにか自然に機能が代償されて回復したような感じですね。現在の末梢循環が多少回復しつつあるという時に、日銀は「血圧が少し上がってきたから、もう点滴を外す」(=金融緩和政策解除)と言い出した訳です。こりゃ、危ないんじゃないか、って誰しも思う訳です。末梢循環は少し回復してきたけれども、とてもじゃないがstableな状態とも判断出来ないのですね。瀕死の状況からようやく回復の兆しが見えてきただけなのです。


長きに渡る停滞の影響で、自己調節能を司るセンサーなどが狂ってしまっているかもしれません。レギュレーションの移動が勝手に起こってしまったかもしれません。そういう影響も見ながら手段を考慮するべきですし、狂ったレギュレーションは何度も時間をかけて、キャリブレーションしなおさないとダメかもしれません。デフレが長かったということは、そういうことでもあると思いますね。なので、03年にも04年にもCPI がゼロ近傍に近づいても、中々プラスに転じていかなかったということと関係してるかもしれません。


家計や企業の期待形成というのは、ある種のレセプターとそれに結合するリガンドみたいな関係に思えます。インフレ期待というのは、インフレというレセプターにくっつくリガンドの数(具体的には個人の数かな?)が多ければそういう効果が発現するし、デフレというレセプターにくっつくのが多ければそういう期待形成がなされる、ということです。そして、一定閾値を越えてしまうと、他の調節因子では中々回復出来ない(つまり、点滴だけしておいた=量的緩和、というくらいでは回復出来ない)、ということなんだろうと思います。「デフレレセプター」との親和性が異常に亢進したような状況ということです。今までのようなデフレ期間が長かったことによって、この親和性は強化されており、まるで痛み刺激と似てるようです。例えば、針を刺すという刺激を加えて初めに感じていた痛みの程度は、何度も同じく針を刺し続けると繰り返し起こる痛み刺激によって(持続することによって)、全く同じ刺激なのにより強い痛みを感じるようになり、疼痛を感じる範囲も拡大していくのです。これは痛み刺激が繰り返し起こることで、伝達物質の放出量が増加したり、レセプターの数が増えたり、親和性が強化されていくといったような神経可塑性によるのです。ですから、デフレというレセプターとの親和性はかなり強化されているだろうと思いますね。「痛みに耐えて」という改革が推進されてきたことも、妙に符合しているように思えます(笑)。


なので、こうした「デフレレセプター」をブロックするとか、親和性を低下させるという方法を取らないと、中々回復出来ないんだろうと思います。言うなれば、アセチルコリンレセプターに対する、ベラドンナ薬のような薬剤投与も必要な場合もあり得る、ということですね。それは現実にはどんなことか?「インフレレセプター」への親和性を強くする、ということでもいいです。狂ってしまったフィードバック機能のレギュレーションを戻してあげる、でもいいです。絶対にインフレにします、って宣言するのもその一つですね。インフレターゲットを設定し、そもそもの調節能の閾値を設定するというのは、血圧調節の仕組みと似たようなものですね。一般に健康状態では、血圧はそれで恒常性が保たれています。物価であっても、そういう調節が効きそうに思いますけれどね。自然界の仕組みは、大体うまく出来てるもんだし。調節方法が1系統しかない、というのは、人体ではあんまりないのではないかと思いますね。殆どがいくつかの調節方法があって、一つが不十分でも他の調節機能が働くことが多いかもしれませんね(病的状態でなければ)。なので、日銀も、幾つかの調節方法を持つ、というのは当たり前なのかもしれません。


変なことを書いてしまいましたが、そういった感触ですね。それが何か意味があるか、というのは判りません。何れも専門外ですし。読んで頂けただけでも感謝致します。有難うございました。



ブログ言論の危機?

2005年11月26日 13時12分03秒 | おかしいぞ
経済産業研究所はドーア氏の記事のリンク先を消しやがった。速攻で。記事書いてすぐだ。今日無くなってることに気付いた。きっと何処からか横槍が入れられたんだろう。一体何故だ?余りにもタイミングが良すぎじゃないのか?まさか、○銀の陰謀か?違うとは思うけど。私はいけないことをしてしまったのですか?

消されたのはこの記事のリンク先。
経済学は難しい11


いいじゃないか、一般国民が経済産業研究所の成果を読んだって。
客員研究員であるロナルド・ドーア氏の論説を公表しておいて何が悪いのですか?経済産業研究所。

何がダメなの?私のブログでのリンクが?引用が?
それとも経済産業省は徹底マークでもしてるのですか?私のブログを(笑)。
中小企業基盤整備機構を批判したから?経産省の裏金事件(経産官僚の株取引禁止となってしまったそうです)を批判したから?「電源特会」とか「石油・エネルギー~特会」をあれこれ嗅ぎ回ったから?私が悪かったのですか?


もしも、こんなしょぼくれたブログでペーパーを引用したくらいで、行政府がいちいち情報源を隠匿するというのなら、大問題だろ?何で消したか理由を公表しろよ。急にディスカッションペーパーを消した理由だよ。自分達にとって都合の悪い論説は、見つかったら消すのか?


山口二郎北大教授も、ロナルド・ドーア氏の業績には一目置いていて、大学にドーア文庫だかを作ったとか出てたぞ。finalventさんだって夏の選挙の頃に極東ブログに取り上げてたぞ。田中秀臣先生も書評を書いてたぞ。そういう評価を受けている客員研究員のペーパーを、何でいきなり消す必要があるんだ?もしも、理由を公表しないか、リンク先を復活させない場合には、研究所は何処からか「消せ」という指令が来たら、客員研究員のディスカッションペーパーをいきなり消去するような「fairでない研究所」なんだと解釈することにする。


総務省か、内閣府か判らんけど、経済産業省に言ってやってくれ。「ちゃんとペーパーを元に戻しなさい」って。勝手に消すな、って。国民の目に触れないように秘匿すんな、って。


マスメディアも、こういうのはオカシイと思いませんか?例えば経済財政諮問会議のHPにある「5分でわかる経済」コーナーのように、先日出た「GDPギャップ」の話とかを急に消したりしたら、オカシイな、と思うでしょ?今まで公表してたのに、他から、「こういうのはマズイよ」という横槍を入れられたからって、権力行使によって消したとしたら問題あると思いませんか?行政側の都合の良い情報だけを国民に公表するのだとしたら、大問題ですよね?追及してみて下さいな、メディアの方々も。お願い致します、本当に。言論の封殺だよ、こういうのは。ロナルド・ドーア氏の言論という特定のものだけを封殺してるんですよ。


絶対にオカシイ!!


追記:22時頃

今見たら、リンク先が復活していた。何でだろう?疑問だ。よくわからん。今日の午前中は開けなかったよ。どうしてだろう?でも、今見られるから単なる偶然?かもしれないけれども。

一体全体、どうしてこうなったのだろう?不思議。

午前中には、googleの検索でも確かめてみたんだけど、見られなかったんですよ。本当です。でも、今はちゃんと同じ語句の検索でも引っかかる。トップに出てくる。どうして?一体何が行われたんだろう?オカシイ。

私は異常でしょうか?狂ってますか?
でも、本当なんだもん。
本当に見られなくなってましたよ。

他の人達は読めてましたか?どうなんでしょう?不安だ。普通に読めていたのなら、私が偶然開けなかっただけなんだろうけど。そんなことってあるかな?何度も確かめてみたのに・・・