いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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税を誰が負担するか、という問題

2007年06月10日 15時59分17秒 | 社会全般
時々国会質疑においても取り上げられる朝日新聞の「声欄」だが(参考までに私は生まれてこのかた一度も読んだことがない)、怒りの声が投書されていたらしい(笑)。

<ちょっと寄り道:
朝日新聞の投書欄がなぜ国会質疑で取り上げられるのか、これは謎である。他愛のない例示、ということなのかもしれないが、信憑性の確かめようのないものであるし、何より「ある一つの具体例」をもってあたかも「国民の声」を代表させるのは問題があるのではないかと思う。そのことを判った上で取り上げるというのはそれでも構わないが、印象操作と思えなくもなく、取扱いは慎重に願いたい。>

たまたま発見したのが、コレ>
愉快痛快奇奇怪怪 - 税負担は変わらない、という名の振り込め詐欺

こちらの記事には、次のように紹介されていた。

6月に入り「地方税納入通知書」が郵送されてきた。公的年金収入のみの私は、今年の市・県民税は合わせて25万円だった。一昨年7万円、昨年14万円だったから、まさに「倍々ゲーム」のような増え方である。一方、年金の所得税減税の方はどうか。昨年12月に比べて今年2月と4月の手取り額は、7千円増えただけだ。1年6回支給だから、年額でも4万2千円にしかならない。

税源移譲は、一般的常識として、地方自治体の財政力を強化するためで、移譲の前後で「住民税+所得税」の納税者の税負担は変わらないとされ、現に、通知書添付の説明も、同様の字句が並んでいる。まるで、振り込め詐欺にでもかかったような思いである。どこにこの怒りをぶるければいいのだろうか。まずは目前の参院選で投じる一票に込めることぐらいしか、思いつかない。




うーん、言いたいことはよく判りますが、何故これほど税金額が増えたのかといえば、「所得が多いから」であります。単純な理由ですな。所得額が少ない人ほど「定率減税廃止」とか、以前には存在していた年金収入に係る各種控除が廃止された影響を受け難いに決まっているのです。つまり、所得がそれなりにあったにも関わらず、控除の恩恵をタップリと受けてきて、それが廃止されればその恩恵効果が失われて、増税感が強まるということはあるでしょう。なので、所得額がある程度ある人は負担額が増える、一般庶民が常々希望しているところの「金を持ってる人、金持ちから税金を取れ!!」ということが実行されたに過ぎないのですよ(笑)。

声欄の「市県民税が年額25万円」というところから、およその年金額を推定してみましょう。あくまで、ざっくりとした概算ですので(言葉がかぶってるな)。

条件
・収入は公的年金のみ
・年額25万円の住民税額

仮定として65歳以上の独居男性、としましょう。住民税は均等割・所得割があり、中身は市町村民税と道府県民税になっていますが(東京都は区ごとなので別な計算?)、面倒なので一括して計算するものとします。国民健康保険・介護保険料等の社会保険料を年額180000円を払っているものとしましょう。


均等割:これは簡単で、年4000円です。

所得割:やや面倒。
控除(65歳以上)の規定は次のようになっています。

①330万円未満   120万円
②330万円以上410万円未満  収入金額×25%+375,000円
③410万円以上770万円未満  収入金額×15%+785,000円
④770万円以上の場合     収入金額×5%+1,555,000円

で、税率は最低だと市民税だけの3%ですが、課税状況から多分違うでしょう。すると、10%か、所得額が多ければ13%ですが、一応10%であるものとして計算してみます。

①の場合
年金額が年額で300万円(25万円/月)であるとします。すると、300-120=180(万円)が雑所得となります。ここから基礎控除330000円+保険料180000を差し引くと129万円が課税所得金額となります。住民税額は129万円×10%=129000円です。25万円には全然届きません。

②の場合
年金額が400万円だとします。計算式は400万円×25%+375000=1375000です。これが控除額となりますので、
4000000-1375000=2625000が雑所得。基礎控除+社会保険料の51万円を引くと、2115000が課税所得金額となり、この10%ですから住民税額は211500円です。まだ届きません。

③の場合
年金額をXとして、住民税25万円のうち、均等割4000円ですから残りは246000円、この税額から上記計算と同様の手順で計算してみます。(年金額-控除③-基礎控除・社会保険料)の10%=246000円なので、

{X-(0.15X+785000)-510000}×10%=246000

これを解くと、X=4417647円となります。月平均では約37万円近くもらっていることになります。単身者でこれだけの年金収入があるのであれば、税金を納めるのも当然と考える人たちはかなり多いでしょう。配偶者がいるのであれば、もう少し控除額が増えるので税額は抑制され、高齢夫婦世帯であるなら恐らく年金額は500万円くらいにはなるであろうと思われます。

この方の住民税額が増加した主な理由としては、年金収入に係る控除廃止(老齢控除みたいなものとか妻の控除が減ったとか)、定率減税の段階的廃止、今年は所得税・住民税の配分が変更になったこと、などが一連の中で出てきたためであると思います。それにしても、増加具合がちょっと多い気もしますが、ひょっとすると配偶者の死亡などによって控除額が減少したとか、そういった別な要因があるのかもしれません。

こういうのを「振り込め詐欺」呼ばわりされるのは考え方の根本から間違っているようにしか思えず、これまでの「負担逃れ」から「負担して下さいね」に変わっただけなんですよね。自分だけが「重い」税金を払っている気になっているのかもしれませんが、まるで権利意識の強い消費者みたいなもので、「タダでサービスを提供しろ」と求めているようなものではないでしょうか。(公的部門が)そんなにタダのサービスを提供できるわけないじゃありませんか。


先にも述べましたが、そもそも「収入が多い」人ほど、これら控除廃止の影響を受けているはずであり、年金額が少ない人の場合には(例えば高齢夫婦世帯の月15万円で年額180万円とか)、これまでの減額効果が小さい(割合は同じでも、100万円の1%と300万円の1%では当然後者の方が数字は大きい)ので、増加する実額というのはそんなに多額にはなりません(それに緩和措置も取られている。一人当たり月10万円以下の年金額しかない場合は3分の1ずつの増額にしかならない)。税負担は収入が多い人ほど多く払うことになるので、年収200万円の人と年収400万円の人が同じ3万円の税を課せられるよりも、前者に2万円、後者に4万円を課す方がいいのですよ。各種控除廃止とか定率減税廃止とかは、収入が多い人ほど「増税効果が期待できる」ということです。これまでにも書いたと思いますが(コメント欄?だったかも)、よく「控除廃止は労働者イジメだ」とか「低所得者を死に追いやる政策だ」みたいに言う人や政党とかありますけれども、実際にはそうじゃないですよ。

月給10万円や15万円でボーナスもなく死ぬほど働いている若者から税や保険料を徴収し、悠々自適の年金暮らしをしている人から負担を回避するというのは、むしろ酷い話だと思いませんか?

参考までに、夫婦と子ども2人のサラリーマン世帯で年収530万円だと(4人で生活せねばならないのです)、住民税は約93000円くらいだそうです。年金額500万円の老夫婦世帯(勿論2人暮らしだ)が、以前にはこのサラリーマン世帯よりも「少ない住民税で済んでいた」ということの方が、疑問だと思えませんか?サラリーマン世帯の所得の伸びがほぼゼロ(ちょっと前までは連続でマイナスだった)なのに、「年額42000もベースアップ」している高齢世帯の方がはるかに恵まれているのではありませんか?労働組合は1000円とか1500円のベースアップを勝ち取るのに大変な苦労とかコストをかけているのですが、それと比べてどうですか?自分たちがなんにもしなくても、月7000円も収入が増えたのだから、「大変有り難いこと」なのではありませんか?物価上昇率は年率でたったの0.3%程度なんだし。月40万円の消費支出があっても、1%物価上昇率で4000円分だ(0.3%上昇なら1200円分に過ぎない)。7000円も増額されたのなら、物価上昇よりもはるかにお得じゃないか。それで何が不満だと?(笑)

独身の若年者で300万円未満の年収しかない人たちが所得税、住民税や各種社会保険料を払わねばならないことを考えますと、いかに公的年金収入しかない高齢者であっても、ある程度の負担をしてもらわねばならないことは止むを得ないのではないかと思います。


朝日新聞の声欄には、こういった印象付けを行うものが実は存在しているのであり、単に「7万円→14万円→25万円」という数字だけ見せて、「庶民を苦しめる増税」は許せない、みたいな論調を引き出そうとしているのです。細かい仕組みを「一般の人々の多くは知らない」ということにつけ込んだ、世論操作の一種の可能性すらあります。石原都知事が選挙直前にぶちあげた例の「一種の福祉」と言ったヤツ、すなわち「住民税増税で苦しむ人たちを助けたい」というプロパガンダ的減税案(参考記事)みたいなもんだ。

マスメディアに期待されるのは、「間違った先入観」を植えつけることではなく、正しく理解できるように「易しく、判りやすく」伝えることです。国民が正しく判断できるように「材料、道具」をきちんと提供することです。



昨日の「喰いタン」は良かった

2007年06月10日 15時52分11秒 | 俺のそれ
いつも家族で楽しく観ている(笑)。上流階級ではない、平凡な一家なので。
昨日のは特に良かったですよ。

ベタに典型的な筋立てにしてあって、低年齢層(小学生くらい?)に対するアプローチが感じ取れた。

個人的に特に良かったのは、「越後屋」さんと「そちも悪よの~ウワーハッッハッハ」みたいなのとか(笑、ひょっとして私だけ?)。

イジメを題材としていたのも好感が持てた。

このシリーズは、所謂「教訓」ぽいというか、説話的というか、そういうのを含むところが中々良いと思う。昨夜のは、いつにも増してそれが色濃く出ていたな。

香港(上海だったか?)ロケの特別編とかでも、そういうのを意図的に折り込ませてあったからね。最近は、こんなの流行らないんだよー、とか、余計なお世話なんだよー、とか、言われてしまうかもしれないけれど、個人的には好きなタイプの筋書きだな。まあ、嫌いな人は観ないんだし。