いやー、やっぱりネットってのは本当に有り難いものでございます。できるだけ多くの地方自治体の方で、情報公開を進めて頂ければ幸いでございます。
大阪府の政務調査費問題に関して、コメントを頂いておりましたが、大変貴重な情報をお寄せ下さり有難うございました。
参考記事:
知事の能力を疑う~政務調査費の返還請求について
続・知事の能力を疑う~政務調査費の返還請求について
調べましたら、監査報告が公開(
大阪府/報道発表資料)されておりまして、太田知事会見の要旨も見ることができました。
本当に凄いです、太田知事。強烈。
記者諸君はよく食い下がって頑張ったと思うよ。ナイス。
これでこそ、権力の監視、ジャーナリスト魂だ!
この前は、テレビだったので詳しくは覚えていなかったのですが、記者会見の模様が出ておりましたので、問題の部分を取り上げてみたいと思います。会見の前半は、別な話題ですので、政務調査費に関する記者からの質疑部分を見てみます。
知事記者会見
(以下に一部引用)
【質疑応答】
《記者》 先週の金曜日に監査委員が議会の政務調査費について監査報告を出して、3億4,000万円の返還を勧告せよということですが、まずは、この報告書をお読みになって、府民の税金を預かる者として議会の政調費の使い方についてどういう感想をお持ちになったのかからお伺いしたいんですが。
〈知事〉 これは後の質問で出てくるかもしれないですけど、今回、私は、これは少し異例だったなと思いますのは、政務調査費の使途基準が必ずしも明確でない中でこの監査結果が出されたということです。ですから、外部監査人という制度で監査をしていただいたわけですけれども、この外部監査人も、結局は、過去の判例などを参考にして、一定の考え方のもとで判断せざるを得なかったということで判断されたと私は受け取っております。
《記者》 我々府民の感覚としては、こんないいかげんな使い方をしていたのかと思ったんですが、知事はそうお思いになられませんでした?
〈知事〉 今申し上げたように、基準があいまいなもとで運用されてきました。基準はもっと早くつくるべきではなかったかと思いますし、今、あり方協議会が動き始めておりますから、それに期待をしているんですね。まず一番大事なことはやっぱり府民に対する透明性、今おっしゃったようなご意見があるのは承知していますけれども、そういうことに対して透明性の向上を含めて、このあり方協議会がしっかりした基準・枠組みというものをつくるということが、今、議会に求められている一番大切なことだと思いますので、私としては、それを期待しつつ見守りたいと思っています。
《記者》 今の知事の「判例などをもとにつくらざるを得なかった」というお言葉を聞いていると、今回の監査結果には一定の限界があったと知事自身見ておられるようですが、今回の監査結果自体は、知事に対して返還請求してくださいと要請しているものでありまして、知事の判断が監査結果を受けて問われるところだと思うんですが、その辺、知事はどうお考えなんでしょうか。
〈知事〉 この際、皆さんにぜひ知っておいていただきたいんですが、三権分立、民主主義の基本ですよね。確かに、皆さんのおっしゃる意味はわかります。一般的には、私は、公金がどのように使われるかということに対して、府民に対して責任を負う立場にあります。しかし、この政務調査費というのは非常に議会の独立性の高い制度でして、私にはこれがどのように使われているかということの調査権限もないんです。まず、そういう三権分立のもとで設けられている制度だということを前提にしないと。皆さんが私に対していろんなことを要求されるのはよくわかりますが、そういう制度になっていない。ですから、私にはやれることに限界があるということもわかっていただきたい。その上で、今、一番ちゃんとやらなくてはならないのは議会のあり方協議会だとお思いになりませんか。やっぱりそこがきちんとやるということが、まず、府民に対する責任を果たすということにつながるんじゃないでしょうか。
《記者》 それはそれとして、あり方協議会がきちっと議論するというのは当然必要なことで、一方で、知事の、今までどういうふうに使われてきたかということの調査権限あるなし、あるいは監視・チェックということを言っているわけじゃなくて、そもそもこの監査結果自体が、知事に向けて……。
〈知事〉 それもさっき最初に申し上げたんですけど、私もいろいろ考えてみたんです。この監査制度自体も、政務調査費の使途基準がはっきりしたもとでこれを返しなさいというのが前提になっていると思うんです。つまり、今回のような、もともと基準があいまいで、しかも、外部監査人にそれを考えてくださいということを前提にした監査ということが本当に考えられていたものなのかなというのが私の今考えていることでして、私に調査権限もない、それから、その審査基準を今から後追いでつくるという状況というのが前提とされている制度じゃないと私は思うんですよ。別に外部監査人がやってこられたことが不適当だとかそういうことを言っているんじゃないんです。非常に難しいケースである、それをよく考えてやらないといけないだろうなと思っている。決して議会の味方をしているわけじゃありません。議会に今求められているのは、さっきから申し上げているように、そういう異例のケースの中で行われている監査請求であるということをしっかり受けて、府民に対する透明性の向上を含めてしっかりした基準をつくる、これがまず第一。その後で私もしっかり考えますから、そういう制度であるということを皆さんにはご理解いただきたい。これも違うご理解の方はいらっしゃると思いますが、私は、一生懸命考えた結果、そういう理解をしておかないと、さっきのほかのこととも関連しますけれども、スタートのところを間違えるかなと思っています。
《記者》 議会のほうは、自分たちで基準をつくって、それに従って返還するということを昨日協議会でお決めになりましたけれども、その場合、当然、3億4,000万円より大幅に下がると予想されますけれども、そのときに知事がどうなさるのかというのが焦点になってくると思うんですが、そのとき、どうなさいますか。
〈知事〉 結論から言うと、まだそういうことに言及する時期ではない。さっき申し上げたように、異例の状況で行われている監査、そして対応です。それから、今、あり方協議会が動いております。まずは、その基準が府民にわかりやすい形でできるということが大事であり、その先のことはそれを見てから考えるのが私の責任だと思っております。
《記者》 三権分立のご説明はそのとおりだと思いますけれども、ただ、今、全国の都道府県で政務調査費について全面公開しているのは4県あるんですけれども、岩手、宮城、長野、鳥取ですけれども、いずれも知事が情報公開に熱心なところなんですね。そういう意味で、知事がしっかりと議会に対して情報公開しなさいという意思を今示していただきたいと思うんですけど。
〈知事〉 情報公開は、さっき透明性の向上ということで申し上げました。情報公開の責任を負っているのは私だけじゃない、議会も負っております。ですから、三権分立のもとで、私だけではなく、情報公開の必要性というものを大阪府議会議員の一人一人がしっかりと感じ取られて、それに基づいて今回の基準をつくられるということがこの時代にふさわしいやり方だと思います。知事が請求をしてやるというのも一つの方式かもしれませんけれども、これだけ三権分立がきちっとできている世の中においては、それぞれが、行政も議会も車の両輪として、透明性の向上、情報公開ということをしっかりやっていくというのが本来じゃないんでしょうか。
《記者》 もう一つ、「使途基準はもっと早くつくるべきではなかったかとは思っている」というご発言、今、言われていましたけれども、それについては各会派の幹事長も「ほかの県で使途基準がある中で、使途基準づくりが遅れたことは認める。それについては府民におわびする」というご発言がありました。そういう点を突いたのが今回の監査結果だったという観点からいいますと、やはり監査結果、使途基準を作ってこなかった、そして、あいまいな使い方をしてきたということを指摘しているわけで、それに知事自身は則って判断されるべきではないでしょうか。
〈知事〉 最初のコメントでも出しましたように、基本として監査結果を尊重するという立場はずっと堅持しております。その上で、議会も今対応を一生懸命考えておられるわけですから、そういう対応についても私は見守るという立場も崩すわけにはいきません。今、非常に難しい時点にあるということはしっかり認識しながら、今後の議会のしっかりした対応を望みたいと思います。
《記者》 監査報告書で、「措置に当たってはまず一定の期間を定め、自主的な修正と返還を促すよう配慮されたい」となっていますので、大体目処はいつぐらいまでに議会にきちんとせよとお考えになっていますか。
〈知事〉 9月30日までに返還についての結論を出してほしいということになっております。
《記者》 それとは別の条文で入っている。返還の期限は9月末ですけれども、それまでの間に一定の期間を定め、自主的に修正と返還を促すよう配慮されたいと。
【担当者】 検討中です。返還請求をするのが9月30日までと。
〈知事〉 デッドラインというか、最後が9月30日。その中でどうするかというのはまだ決めていないんですね。
《記者》 議会の動きを見てからと。
〈知事〉 あり方協議会は動いているわけですからね。これが26日ですから、それを見て決めます。
《記者》 ほかのところの判例も含めて、政務調査費、今までなかなかメスが入ってこなかった議会のお金の使い方に対する一般府民・国民の視線は大変厳しいと思うんですけれども、そこに知事が一定の裁量を加えられるようなことになると、知事のご判断も問われるということになると思うんですけれども。
〈知事〉 さっきから申し上げているんですけども、この時代、私だけが透明性を向上させ、府民のほうに向くという時代じゃないと思う。今、いい機会なんですよ。議会の先生方にも、本当に府民の代表として責任を持ってあり方を考え、基準をつくる、そして、それに則ってきちっとした政務調査費を府民に示していく。皆さんは、私が議会を動かして、正当な政務調査費の使い方をつくるということを期待していらっしゃるんでしょうが、それは本来の民主主義の姿であるとは思わない。議会も私も府民のほうを向いてしっかり対応していくというのが本来の姿じゃありませんか。それを変なふうに、私には「あれがない」「これがない」と言われるのは、私は本意じゃないです。議会も府民のほうを向く、私も府民のほうを向く、そうしていい制度をつくっていく。そうじゃないと本物はできません。一方が一方の尻をたたいてどうこうするという時代ではない。
《記者》 今の時点で尻をたたいてくれと言っているわけではないんですが、今の議会の議論の方向性を見ていますと、監査結果にそのまま従う、それを尊重するという結果になっていないようなので、知事は議会に対してどう向き合われるか、これは執行機関側の代表としてどう向き合われるかということはきっと問われてくると思う。
〈知事〉 そういう時は来るでしょう。その時点で申し上げます。
《記者》 確認なんですけれども、監査で出た、3億4,000万円返還せよというのは、今後のあり方協議会の基準次第では全額を求めない可能性があるということ?
〈知事〉 そういうことではありません。まだその結論が出ていない状況では何も言えないということです。
《記者》 一部返還を求めない可能性は……。
〈知事〉 そういうことは一切、私、今申し上げれる段階ではない。基準がまだ出てきていないんだから。
《記者》 基準を見てそれを判断する?
〈知事〉 基準を見て、それに則って個々人が対応されるわけですよね。それを見て判断します。
《記者》 今の政調費のお話で、使途基準が明確でないということは知事自身もわかっていらしたわけですよね。
〈知事〉 そうですね。
《記者》 認識されていた中で、公金がどのように使われるべきか、責任を負うべきというふうにご自身で理解されているのに、そんなあいまいな使い方のままでいいのかということで、議会に対して何らボールを投げてこれらなかったというのがいまいち腑に落ちない面があるんですが。
〈知事〉 議会にボールを投げるにはまず調査しなきゃいけませんね。本当に基準がないのか、あるいは基準どおりに使われているのか。さっきも申し上げたように、私にはその調査権限がありません。権限があるのは議長さんです。私がさっきから申し上げているように、三権分立というのは何も形の上だけであるわけではなくて、それぞれが府民に対して責任を負っているんです。したがって、私が言わなければ動かないということ自体がおかしいわけで、こちらが自主的に動く、議会が自主的に動いていくということが前提にあって三権分立というのは成り立っているわけですから、私は、皆さん方が私の責任を追及されること自体がおかしいと思います。議会に対してしっかり正論を向けていくのが皆さん方の今やるべきことなんじゃないですか。
《記者》 ただ、今のご説明もわかりますけど、府民からすれば、選挙で応援してもらっている議員さんには知事は何も物を言わない……。
〈知事〉 そんなことないですよ。
《記者》 そういうふうにとられませんか。
〈知事〉 そんなことないですよ。さっきも言っているじゃないですか、基準をつくるのが遅過ぎたと。それは陰に陽に伝わっているはずです。
《記者》 一般論として、電気製品を一括して購入されたりとか、みんなで連れ立ってハワイに行ったりとか、落語家を呼んでそれにお金を払ったりしているんですけども、一般論で結構です……。
〈知事〉 一般論といったって答えられないです。
《記者》 いや、だから、知事としては、今のところ、まだあいまいな基準のままだったから……。
〈知事〉 何か言わせたいんだ。
《記者》 それはそうでしょう。でも、府民として感情が……。
〈知事〉 だから、さっきも言ったとおり。府民のほうを向いて、府民の代表としてしっかりした基準をつくってほしいというのが私の願い。
《記者》 それはわかります。じゃ、これまでの使い方として、それが適切だったかどうかということについてはどうお考えですか。
〈知事〉 私、調査権限がないので、今、この時点では何も申し上げられません。ただ、もう大人なんですから、議員も。きちっとやるべきです。
《記者》 では、きちっとしていない部分があったというのは……。
〈知事〉 そんなこと言ってない。民主主義の根本というのをあなたたちももう少し考えてください。
《記者》 知事、そうおっしゃいますけど、府民……。
〈知事〉 住民が選んだんだよ、議員を。
《記者》 そうですが、知事だってその府民の代表という立場でしたら、調査権限がないということで逃げられるのはちょっといかがなものかと。
〈知事〉 逃げていないじゃないですか。結果を見て考えると言ったんです。あり方委員会の基準が出た時点で何らかは申し上げます。基準と違うことをやった人が出てきたときにどうするかということをその時点で申し上げますと言っているだけで、何も逃げているわけでもね……。ここは真剣勝負の場なんだからね。
《記者》 だから、今までの使い方が不適正だとは、知事ご自身、調査権限云々ではなく、率直に思われません。
〈知事〉 そのことについて言及は今できません。
《記者》 どうしてですか。私は別に知事の責任を追及しているつもりは全くなくて、ただ、知事がどうしてあの報告書を見て、こんなおかしい使い方をしているのかとおっしゃらないことのほうが不思議でなりませんけど。
〈知事〉 さっきから申し上げているように、それぞれの立場があって。ほかの場だったらいろんなことを申し上げますよ。だけど、これは公式の発言になるんですから。車の両輪、パートナー、それぞれ独立した機関として、あの報告書に対して今対応を検討しておられるわけだから、その時点で私が、こんな不適切な使い方をして何なんだということが言えると思いますか。そういうこともちょっと考えていただきたい。今、対応を検討しておられるんですから。それでイエスと出たら、あのときの批判は何だったんだということになります。
《記者》 対応の話であって、監査結果はもう出ているわけですよ、こういう使い方をしていたという。その事実に対する知事の考えをお聞きしただけなんですけど。
〈知事〉 監査結果というのは、基準があいまいなもとで判断されたものですし、あのようないろいろな使われ方が出てきたんだろうな、そういうふうに思っています。
《記者》 その基準のあいまいさに対して、議員個々に甘えがあったとか、そういうことはお考えはないですか。
〈知事〉 それぞれ今一生懸命対応されていますから、まずはそっちを頑張ってもらいたいですね。
長いのでウンザリ、という方々もおられたかもしれませんね。知事は発言中で、記者諸君に再三「民主主義の根本原則」だの「三権分立」だのと偉そうに解説をしているわけですが、勘違いも甚だしいのは太田府知事の方でありましょう。しかも、会見途中からはあたかも「自分が政務調査費(の目的外使途)について責められている」と錯覚でもしていたのではないかと思われます(笑)。もう、○○かと。記者諸君たちの意図は、今のところ「議員側がすんなり返還するとは言っていない」という状況のようなので、もし(部分的にでも)返還しないという事態が生じたら知事責任としてどう対応する積もりなのでしょう、と太田知事の見解を聞いたものでありましょう。これは、当たり前の質問ですよね。
普通ならば、
『政務調査費は元々議員や議会の運営に係る自律性の高い予算でありますので、監査委員からの勧告に従いまして、議会側の自主的返還あるいは対応を待っているところでございます。既に基準作りにも着手されたようです。その結果を見てから、監査結果及び勧告等を踏まえ、返還請求するべきものが残されるということであれば、知事の責任として返還を求めていくのは当然であると考えております。』
くらいに答えておけば何らの問題もないでしょう。
ここで、記者諸君から「もし返還されない部分があったら、請求しますか?」と聞かれたら、太田知事が答弁してたみたいな「だから、今は判らない、言えないと何遍も言ってるだろうが、それが判らんのかボケ」(完全なる創作意訳です)みたいな答えではなく、「監査結果及び勧告を尊重し、請求すべきものは請求致します」とか言えばいいだけなのですよね。知事がそう答えていれば、記者諸君だってこれほどしつこく質問をしなくても済んだんですよね。たったこれだけの質疑で終わるものが、こんな有様ですから(爆)。
(続く)