日経さんの記事は、記名記事になっていないことが極めて残念です(ネット記事だけかもしれませんが)。同一性をトレースされると何か不都合な点でもあるのでしょうか?(笑)
日本振興銀行の定期預金残高が1千億円超えた(どういうニュースバリューがあるものなのか私には判りませんが)とかいう、提灯か何かでしょうけど、そういう記事を書いている記者氏が誰なのかとても気になりますしね(笑、冗談です)。これは関係ないので、どうでもいいですけど。
問題の記事はコレ。
NIKKEI NET(日経ネット) 消費者金融大手、不良債権の比率上昇・審査厳格化で返済滞る
消費者金融大手の不良債権比率が上昇している。アイフルと武富士は20%を超え、アコムとプロミスも10%近くと、いずれも5年前の2倍以上になった。各社が過払い利息の返還請求や、上限金利を引き下げる貸金業法改正に向けた融資審査の強化に追われ、不良債権が増えてきた。ノンバンク事業に力を入れる大手銀行の収益見通しを狂わせる可能性がある。
不良債権比率は3カ月以上返済が滞ったり、金利を減免したりした債権が貸出残高に占める割合。大手4社のうちアイフルの同比率は2002年度末に約6.8%だったが、07年12月末には21.6%に急上昇した。武富士も同じ期間に10.1%から20.3%と2倍に拡大した。(10:13)
=====
へえ~審査厳格化で返済が滞るんですか。なるほどねえ、経済紙だけにとても勉強になるわけです(笑)。
一体、何を言いたいのですかね?
日本のトップ経済紙の看板でこういう記事を通すのは、問題があるんじゃありませんか?書いた記者もそうだし、掲載許可みたいなものはどこかでチェックがかかるのではないかと思うのですが、それも機能しないのであればマズいのではないかと思えます。
仮に、これがサブプライム向け住宅ローンであった場合にも、「審査厳格化で返済滞る」と言いますでしょうか?(笑)
実際にサブプライムローンの延滞率は上昇していましたし、審査厳格化は早くから行われだしたのではありませんか?審査を厳しくすると延滞率が上昇するんですか?全然違いますよね?記者が適当に作った原因の断定を書くのは止めてもらいたいですね。日経に限らず、新聞記事ではよくある、大変便利な見出しのようですね、『で』というのは(参考記事)。
データを見て記事を書いた方がいい、とブログに書いた途端にこれですか(笑)。まあ偶然に過ぎないわけですが。
で、不良債権比率が5年で2倍に増加している、と言いたいのですね、記者氏は。なるほど。記者氏には、これがどういったストーリーなのか、恐らく推測は出来ていないのでしょう。自分の主張であったとしても、どういった可能性が考えられるのか、それが自分の中ですら理解できない、ということなんでしょうね。どうしてそう思うかって?記事中に、最低限必要になることが書かれていないからですよ。記者氏の主張を納得させる為に決定的なことが欠けているからです。
まず、記者氏の主張どおりであった場合、どうなんだろうか、ということを考えてみますか。
貸出審査厳格化があるのですから、貸倒リスクの高い借り手には貸さなくなっている、ということが予想されますよね?となると、それでもなお不良債権が増加するとなると、いくつか理由が思い浮かぶでしょう。私が思いつく程度の例で書いてみます。
①貸出審査が機能していない、実際には厳格化になっていない=リスクの高い借り手にジャンジャン貸してしまう結果となり、不良債権比率が増加したのかも
→じゃあ、スコアリングを変えたとか、信用情報機関を変更したとか、審査機能を大幅に変化させたようなことがあったか調べてみよう
②審査厳格化で実は優良顧客をも大量排除した結果、貸出残高が大幅に減少し、相対的に不良債権比率が上昇したのではないか→貸出残高はどのくらい減ったか比率でなく実額で見てみよう、貸出を断った割合がどのくらい増えてるか見てみよう
こんな風に考えたりするもんじゃないですか。けど、そういうのも全くないんですよ、この記事の中身というのは。審査厳格化の他にも、よく言われてた「失業増加」とか「収入減少」とか、いくつも考える理由があるじゃないですか。なのに、何故かこの記者は、「審査厳格化『で』返済滞る」と断定しとるんですね。その意図が判らないし、仮にその説であるとして、記者氏が考える「審査厳格化でどうして不良債権が増加するのか」ということが全くないわけです。
記事の前段を読むと、過払返還請求や法改正への対応(審査含む)に追われたので不良債権が増加してきた、みたいに受け取れるのですけどね。つまり、回収までには手が回らず、返還や法改正に追われてるからだ、というようにしか読めないわけです。なのに、どうして「審査厳格化で返済滞る」が出てくるんでしょうか、って話です。不思議でしょうがないわけです。この記事から、どうしてそんな主張が出てくるんですかね、ってことです。
普通に考えると、①の可能性はまずないと思いますので、②であると有り得るかもしれない。数字で書くと(全くの例に過ぎません)、
・5年前 貸出残高1兆円、不良債権500億円
・今 貸出残高5000億円、不良債権500億円
これで不良債権比率は2倍になるのですから。
リスクのある借り手の変化があったのではなく、貸出残高の大幅減であれば有り得ますよね。もしそうなら、何故貸出が半減したかといえば「審査厳格化」を適用したためだ、という説明をつけられるじゃないですか。この記事にはそういうのが全くない、と言ってるんです。記者氏にはそういう「考えた形跡」みたいなものがないので、記事にもそれが出てこない、ということですよ。
因みに、私の推測はもっと全然違いますね。新銀行東京の記事で書いたとおりですよ。新銀行東京の場合は、大手貸金の上昇率どころではありませんって(笑)。
>新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)
破綻先債権は1年で3倍(8億→24億超)じゃないですか(笑)。リスク管理債権だって、僅か半年で約3倍(2.24%→6.22%)、1年だと4倍近い(8.47%)のではありませんか?別に、貸金だけに限ったことではないかもね。大手貸金の融資が新銀行東京ほど「ずさん融資」でなかったとしても、増加するにはそれなりの理由というものがあってもよさそうですけど。
基本的には、大手貸金といえども「最後の貸し手」になってきた、という傾向なんじゃないかな。これまで中小貸金が大手の後から貸してたことが多かったのだが、その貸し手が消えたからであろう。大手は3社以内に貸し出すことが多かったが、弱小になるに従いそれ以降の順番で貸し出していたからね。そういう貸し手が現れにくくなったんだよ。だから大手貸金や新銀行東京の債権に焦げ付きが目立ち始めても不思議じゃない。日本振興銀行の不良債権比率増加も同様。これまでは「別な貸金」が資金供給をして、借り手に自転車を漕がせてきたからさ。そういう貸し手が現れないと、貸出順の始めの方であっても焦げ付くだろう。
新銀行東京も大手貸金も、共通していることがある。それは、貸し手責任となってきた、ということだ。これまでは別な貸金からの資金を回すことで「延命」を継続してきたのだが、その延命装置が壊れたのさ。これまでは大手貸金まで貸し手責任はあまり及んでこなかったのだ。だが、これからはそうもいかないだろう。貸金に融資してきたり投資してきた銀行も責任を負うことはあって当然だろう。
そういうわけで、大手貸金の不良債権比率上昇の要因を推理するなら、
・中小貸金の撤退により「次の貸し手」が消えたこと
・貸出残高減少(過払金返還、貸出審査厳格化、等)
・これまでの「貸し込み」の成果?笑
(=おまとめ商品などで1件当たり残高が大きい?)
みたいなことなのではないかな。かなり適当。特に、最後付け足したのは、個人的な思い込みだけどw。
ま、データでは大手貸金1件当たり残高は年々増加してきていたので、そういうもんかもな、と。トコロテンみたいに破綻水準に押し出されてくるのが、これまでより少し早まったんじゃないですかね。多くはキリギリスへの貸し込みで債務残高を膨らませてきていたようなもんでしょうし。
参考:
貸金業の上限金利問題~その18
エコノミスト金子洋一氏の記事について~その1・お詫びと訂正など
ひょっとして、これまで「審査厳格化でヤミ金被害増加」や、「審査厳格化で倒産件数増加」とかに対してブログに批判を書いてきたから、今度は「審査厳格化で返済滞る」を編み出してきたんでしょうか?(笑)
粘り強いね。
対抗するネタが尽きてきたか?
何が言いたいのかはっきりさせて、それなりの記事を書いてくれ。「ああ、なるほどな、そうかもしれないな」と思わせるような内容を出してみてね。そうすれば、ああ、さすがは日経新聞だな、と思うだろう。けど、今ままでのところ、ほぼダメだったね。
「審査厳格化で~」シリーズでも組んだらどう?(笑)
日本振興銀行の定期預金残高が1千億円超えた(どういうニュースバリューがあるものなのか私には判りませんが)とかいう、提灯か何かでしょうけど、そういう記事を書いている記者氏が誰なのかとても気になりますしね(笑、冗談です)。これは関係ないので、どうでもいいですけど。
問題の記事はコレ。
NIKKEI NET(日経ネット) 消費者金融大手、不良債権の比率上昇・審査厳格化で返済滞る
消費者金融大手の不良債権比率が上昇している。アイフルと武富士は20%を超え、アコムとプロミスも10%近くと、いずれも5年前の2倍以上になった。各社が過払い利息の返還請求や、上限金利を引き下げる貸金業法改正に向けた融資審査の強化に追われ、不良債権が増えてきた。ノンバンク事業に力を入れる大手銀行の収益見通しを狂わせる可能性がある。
不良債権比率は3カ月以上返済が滞ったり、金利を減免したりした債権が貸出残高に占める割合。大手4社のうちアイフルの同比率は2002年度末に約6.8%だったが、07年12月末には21.6%に急上昇した。武富士も同じ期間に10.1%から20.3%と2倍に拡大した。(10:13)
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へえ~審査厳格化で返済が滞るんですか。なるほどねえ、経済紙だけにとても勉強になるわけです(笑)。
一体、何を言いたいのですかね?
日本のトップ経済紙の看板でこういう記事を通すのは、問題があるんじゃありませんか?書いた記者もそうだし、掲載許可みたいなものはどこかでチェックがかかるのではないかと思うのですが、それも機能しないのであればマズいのではないかと思えます。
仮に、これがサブプライム向け住宅ローンであった場合にも、「審査厳格化で返済滞る」と言いますでしょうか?(笑)
実際にサブプライムローンの延滞率は上昇していましたし、審査厳格化は早くから行われだしたのではありませんか?審査を厳しくすると延滞率が上昇するんですか?全然違いますよね?記者が適当に作った原因の断定を書くのは止めてもらいたいですね。日経に限らず、新聞記事ではよくある、大変便利な見出しのようですね、『で』というのは(参考記事)。
データを見て記事を書いた方がいい、とブログに書いた途端にこれですか(笑)。まあ偶然に過ぎないわけですが。
で、不良債権比率が5年で2倍に増加している、と言いたいのですね、記者氏は。なるほど。記者氏には、これがどういったストーリーなのか、恐らく推測は出来ていないのでしょう。自分の主張であったとしても、どういった可能性が考えられるのか、それが自分の中ですら理解できない、ということなんでしょうね。どうしてそう思うかって?記事中に、最低限必要になることが書かれていないからですよ。記者氏の主張を納得させる為に決定的なことが欠けているからです。
まず、記者氏の主張どおりであった場合、どうなんだろうか、ということを考えてみますか。
貸出審査厳格化があるのですから、貸倒リスクの高い借り手には貸さなくなっている、ということが予想されますよね?となると、それでもなお不良債権が増加するとなると、いくつか理由が思い浮かぶでしょう。私が思いつく程度の例で書いてみます。
①貸出審査が機能していない、実際には厳格化になっていない=リスクの高い借り手にジャンジャン貸してしまう結果となり、不良債権比率が増加したのかも
→じゃあ、スコアリングを変えたとか、信用情報機関を変更したとか、審査機能を大幅に変化させたようなことがあったか調べてみよう
②審査厳格化で実は優良顧客をも大量排除した結果、貸出残高が大幅に減少し、相対的に不良債権比率が上昇したのではないか→貸出残高はどのくらい減ったか比率でなく実額で見てみよう、貸出を断った割合がどのくらい増えてるか見てみよう
こんな風に考えたりするもんじゃないですか。けど、そういうのも全くないんですよ、この記事の中身というのは。審査厳格化の他にも、よく言われてた「失業増加」とか「収入減少」とか、いくつも考える理由があるじゃないですか。なのに、何故かこの記者は、「審査厳格化『で』返済滞る」と断定しとるんですね。その意図が判らないし、仮にその説であるとして、記者氏が考える「審査厳格化でどうして不良債権が増加するのか」ということが全くないわけです。
記事の前段を読むと、過払返還請求や法改正への対応(審査含む)に追われたので不良債権が増加してきた、みたいに受け取れるのですけどね。つまり、回収までには手が回らず、返還や法改正に追われてるからだ、というようにしか読めないわけです。なのに、どうして「審査厳格化で返済滞る」が出てくるんでしょうか、って話です。不思議でしょうがないわけです。この記事から、どうしてそんな主張が出てくるんですかね、ってことです。
普通に考えると、①の可能性はまずないと思いますので、②であると有り得るかもしれない。数字で書くと(全くの例に過ぎません)、
・5年前 貸出残高1兆円、不良債権500億円
・今 貸出残高5000億円、不良債権500億円
これで不良債権比率は2倍になるのですから。
リスクのある借り手の変化があったのではなく、貸出残高の大幅減であれば有り得ますよね。もしそうなら、何故貸出が半減したかといえば「審査厳格化」を適用したためだ、という説明をつけられるじゃないですか。この記事にはそういうのが全くない、と言ってるんです。記者氏にはそういう「考えた形跡」みたいなものがないので、記事にもそれが出てこない、ということですよ。
因みに、私の推測はもっと全然違いますね。新銀行東京の記事で書いたとおりですよ。新銀行東京の場合は、大手貸金の上昇率どころではありませんって(笑)。
>新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)
破綻先債権は1年で3倍(8億→24億超)じゃないですか(笑)。リスク管理債権だって、僅か半年で約3倍(2.24%→6.22%)、1年だと4倍近い(8.47%)のではありませんか?別に、貸金だけに限ったことではないかもね。大手貸金の融資が新銀行東京ほど「ずさん融資」でなかったとしても、増加するにはそれなりの理由というものがあってもよさそうですけど。
基本的には、大手貸金といえども「最後の貸し手」になってきた、という傾向なんじゃないかな。これまで中小貸金が大手の後から貸してたことが多かったのだが、その貸し手が消えたからであろう。大手は3社以内に貸し出すことが多かったが、弱小になるに従いそれ以降の順番で貸し出していたからね。そういう貸し手が現れにくくなったんだよ。だから大手貸金や新銀行東京の債権に焦げ付きが目立ち始めても不思議じゃない。日本振興銀行の不良債権比率増加も同様。これまでは「別な貸金」が資金供給をして、借り手に自転車を漕がせてきたからさ。そういう貸し手が現れないと、貸出順の始めの方であっても焦げ付くだろう。
新銀行東京も大手貸金も、共通していることがある。それは、貸し手責任となってきた、ということだ。これまでは別な貸金からの資金を回すことで「延命」を継続してきたのだが、その延命装置が壊れたのさ。これまでは大手貸金まで貸し手責任はあまり及んでこなかったのだ。だが、これからはそうもいかないだろう。貸金に融資してきたり投資してきた銀行も責任を負うことはあって当然だろう。
そういうわけで、大手貸金の不良債権比率上昇の要因を推理するなら、
・中小貸金の撤退により「次の貸し手」が消えたこと
・貸出残高減少(過払金返還、貸出審査厳格化、等)
・これまでの「貸し込み」の成果?笑
(=おまとめ商品などで1件当たり残高が大きい?)
みたいなことなのではないかな。かなり適当。特に、最後付け足したのは、個人的な思い込みだけどw。
ま、データでは大手貸金1件当たり残高は年々増加してきていたので、そういうもんかもな、と。トコロテンみたいに破綻水準に押し出されてくるのが、これまでより少し早まったんじゃないですかね。多くはキリギリスへの貸し込みで債務残高を膨らませてきていたようなもんでしょうし。
参考:
貸金業の上限金利問題~その18
エコノミスト金子洋一氏の記事について~その1・お詫びと訂正など
ひょっとして、これまで「審査厳格化でヤミ金被害増加」や、「審査厳格化で倒産件数増加」とかに対してブログに批判を書いてきたから、今度は「審査厳格化で返済滞る」を編み出してきたんでしょうか?(笑)
粘り強いね。
対抗するネタが尽きてきたか?
何が言いたいのかはっきりさせて、それなりの記事を書いてくれ。「ああ、なるほどな、そうかもしれないな」と思わせるような内容を出してみてね。そうすれば、ああ、さすがは日経新聞だな、と思うだろう。けど、今ままでのところ、ほぼダメだったね。
「審査厳格化で~」シリーズでも組んだらどう?(笑)