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会社更生法適用と詐害行為取消権について・2

2008年04月11日 19時38分02秒 | 法関係
吉行さんに頂いたコメント(会社更生(民事再生)法適用と詐害行為取消権について)で論点が複雑化しつつあるので、もう一度整理してみます。


破産法、会社更生法や民事再生法を適用しなかった場合について、詐害行為取消請求が心配だ、ということであると理解しました。

通常の破産法・会社更生法・民事再生法適用では、個々の元借り手の債権を目的として詐害行為取消請求を行ったとしても、民法425条により効力を生じないと考えてよい、ということです。全ての債権者の利益を考慮する場合においてのみ、効力を生ずるからであって、一部債権者(この場合では個々の元借り手)の利益が最優先されるとまではいえないでしょう。共益債権であったとしても、払えない場合には例えば会社更生法133条1項の適用を免れるものではありません。

これら法制度によらない、私的整理という性格を持つ事業清算のような場合にはどうなるのか、ということです。これについては、前回記事で述べたように、法定充当による整理が行われることになったものと考え、個々の元借り手からの債権申出の無かったものについては、請求先が消滅した後では権利行使するべき相手を失うであろう、ということです。
貸金業者Xが事業清算をする為に債権残高1000の債権を500で売却、債務800を払わねばならない、と。足りない300は債権放棄で、売却代金500を債権者A、Bに弁済、株主資本は分配がゼロ、ということであるとします。債権放棄と株主資本部分は親会社Yが100%負担したものとします。この清算確定後に、元借り手のCが過払金返還を主張して、自分も債権者なので払ってくれ、と請求してきたらどうなるか、ということですね。
 ア)Xは数個の債務全部を消滅させに足りない給付を行った
 イ)清算時点で確定していた債権はAとBで、XとCの間では弁済指定がない
 ウ)先に弁済期が到来したのはAとB
よって、法定充当に従い弁済した、ということをXは主張可能なのではなかろうか、と。

ここで、元借り手Cには「債権がある」し「詐害行為取消権もある」が、法定充当に従い弁済されたのであれば、詐害行為の主張が通ることを期待するのは困難ではないか、という主旨です。たとえXが元借り手の債権の存在を調べて明らかにすることが不可能ではなかったとしても、そのことが「Cの持つ債権が弁済期にあった」ことを自覚させることにはなりません。Cの債権が、先に弁済期が到来するわけではなく、Xにとって弁済利益が大きいということにもなりませんので、Cの債権への弁済よりAやBへの弁済を先に行うことが詐害行為に該当するとまでいえないのではないか、ということです。

しかし、Cが別な主張をすることも有り得るかもしれません。それはAやBの債権も同様に弁済期にはなかった、という場合でしょうか。長期借入金などの場合には、それを繰り上げて返済することになると思われますので。
すると、
 エ)A、B、Cの債権はいずれも弁済期になかった
だから489条4号規定の如く、債務額に応じた分配とすべし、という主張ですね。
この場合には、先に弁済を受けたA、Bが再度の分配やり直しに応じなければならないのか、ということがあります。これについては、民法706条規定により返還する必要はないのではないかと考えます。

○第七百六条
債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。

つまり、AとBへの弁済として給付した500はXから返還請求する権利を有しない、ということです。CはXへの請求はできますが、AやBへの請求権は持たないでありましょう。Xは錯誤によってAとBに弁済をしたわけではありませんから、XはCから請求されることはあっても、Cが債権申出を行ったとして先に弁済を受けたAやBが返還すべき理由はないように思います。

詐害行為取消権の消滅時効がいつまでか、というのは案外裁判によって違う判断が出ることがあるかもしれず、2年を経過すれば本当に請求権が消滅といえるかどうかは判りません。過払金返還請求権に関する消滅時効の考え方も、判例によって若干異なる部分はありましたので。

普通に考えると、清算行為から2年以内であって、実務的に債権者AやBの同意が得られるとか、親会社が債権放棄分を増加させてCに払うということが可能なのであれば、詐害行為取消権の主張に応じて裁判には至ることなく対処可能な場合があるかもしれません。
どうしても事業を清算したければ、決算公告のように広く周知させる努力を行い、債権申出機会を一定期間取った後、順次保有債権売却や債権者への弁済を進め、最終的には株主と親会社の債権部分だけが残ることになると思いますが、存続会社を少なくとも2年間は残してCのような過払金返還請求者が現れたら随時弁済処理をするような仕組みを残すべき、ということになりましょう。あまりに返還請求が多額で払えなければ、残しておいた存続会社の破産を選ぶしかないのではないかと思います。破産法制に則り処理するのであれば、責任範囲が無制限に及ぶこともなく、次々と現れるかもしれない元借り手の詐害行為取消権に苛まれることもないでしょう(笑)。これまで借り手のもとに、足しげく取立に通っていたのが、全く逆の立場に置かれるだけに過ぎないでしょうね。

いうなれば借り手の受けていた恐怖みたいなもので、逃げたくとも逃げられず、次から次へとやってくる取立屋がドアをドンドン叩くとか、何度も繰り返される電話とか、そういうのに耐えていた人々の立場を今は貸し手であった側が味わうのもいいかもしれません。過払金返還請求とか、詐害行為取消請求とか、そういうのに少しくらい怯えるだけならまだまだカワイイもんじゃないでしょうか。清算したい貸金会社にしても、早い話が「飛べば楽になる」ってだけですな。破産すれば処理は進みやすくなりますよ、どうしますか、ってことです。借り手が自己破産することに痛痒を感じないでいたからこそ貸し込んでいたのだろうし、今度は貸金会社が破産すべきかどうかを苦しんでみる番なのかもしれません。これはこれまで苦しんだ人々の怨念かもしれませんね。


It's my turn!
遊技王か(笑)



行政不服審査法改正

2008年04月11日 14時35分58秒 | 社会全般
大事なニュースでした。

<行政不服審査法改正>「審理員」新設など柱 初の見直し(毎日新聞) - Yahooニュース

(以下に引用)

 政府は11日午前の閣議で、国や地方自治体による違法・不当な処分に対して国民の権利救済を図る行政不服審査法の改正案を決定した。審理の公正性を担保するための「審理員」新設や、審査請求可能な期間を現行の「処分を知った日から60日」から「3カ月」に延長することなどが柱。1962年の法制定後初の見直しで、今国会に提出し成立を目指す。

 行政不服審査制度は、裁判と比べ手続きが簡易・迅速で手数料もかからない。近年は、情報公開請求に対する行政機関の不開示決定を覆す手段にもなっている。半面、不服申し立てが認められるのは1割程度で、05年度の国に対する不服申し立ては約1万8000件と、ピーク時(84年度)の4分の1に低迷している。

 改正案は、弁明書や反論書を提出できる「審査請求」と、そうした手続きのない「異議申し立て」に分かれている現行制度を「審査請求」に一元化。審査請求に対しては、閣僚や首長らが処分に関与した職員以外から審理員を指名する。審理員は請求人の主張や証拠を整理し、閣僚らが裁決する際の判断材料として意見書を出す。行政不服審査会など第三者的な諮問機関も国や自治体に新設し、判断過程に関与させる。

 このほか、審理の遅延を防ぐため、閣僚らが「審査請求から裁決までの標準的な期間を定めるよう努める」と規定。複雑な事案に対しては審理員があらかじめ審理の終結予定時期を決め、迅速化を図る。【石川貴教】

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初めて知りましたが、制定来初改正(「年初来高値更新」みたいなものか?笑)ということのようです。総務省は05年頃に行政手続法改正を実現し、続いて行政不服審査法改正という一連の取組みを頑張ってくれたものと思います。いや、たまたまそういう時期だったのだ、ということなのかもしれませんが(笑)。こういうニュースこそ、もっと詳しく報じたらいいのに、と思うのですよね。国民と行政を繋ぐ接点の問題ですし、国民生活とか行政参加の上でかなりの影響を持つだろうという点でも大変重要な法だな、と思うからです。

丁度、人権擁護法案関連の記事を書いていた頃に、行政手続法や行政不服審査法についての話が出てきていたかな、と思います。昔話で恐縮なんですが。
人権擁護法案はどうなるか2


今、ネット規制の何とかっていう運動だか、法案だかが一部のネット住民の間で騒ぎになっていたかもしれないが、なんといいますか、戦術的にどうなんだろう、とか、誰を説得しようとしてるのか、とか、よく判りませんね。チラッとしか見てないから、全員の活動状況とかまでは知らないわけですが。基本的には、国会議員の方々やマスメディアの方々に届かなければ、無駄に烏合の衆(ネット住人?イナゴちっくな人々?)が騒いでいるようにしか見えないのではなかろうか、と思います。人権擁護法案やPSE法案(?名前忘れた)などの経過を検討したりして、有効と思われるような対抗策を考えてみたりするとか、何かやり方を変えない限り難しそうな印象ですね。私は特にこれといった考えもないので、成立したらしたで「そういうものなのかな」と思う程度かも。賛成か、反対か、とか尋ねられても、答えられない(笑、ゴメンね)。



SMAP定食じゃなくて…

2008年04月11日 13時30分58秒 | いいことないかな
大した話じゃないけど。

“SMAP定食”に事務所&フジTVが困惑(デイリースポーツ) - Yahooニュース

8日から大阪府庁の食堂に“SMAP定食”が登場したことで、SMAPの所属事務所とフジテレビが困惑していることが10日、分かった。

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全くの別物ということらしいが、これではまるで

「SPAM定食」

ではないか(笑)。


昔、adidasのスポーツバッグの模造品とかで「adidos」だの「adibas」だのを見かけたような記憶があるが、それみたいなもんだな。
ちょっと違うか。

なので、大阪府庁の定食は、明日から「SPAM定食」に名称変更してみてはどうだろうか。案外、気付かれ難いかもよ?

それとも「SMOP定食」ではどう?ああ、「SAMP定食」とか。本当に粥定食みたいなのにすればいいんじゃね?

「STOP定食」は?これはマズい?
不祥事とか責任追及を連想させ、「STOP停職」みたいな語感があるので?


以上の検討(?)から、名前差し替えの第一候補は「SAMP定食」(通称スマップ定食←何で?)、次点が「SPAM定食」(通称スパム定食orスマップ定食←これも何故?)ということで(笑)。

(既にスマップ定食と憶えてしまった人が多いか、一瞬見間違えてうっかりスマップと言う人が多いのではないか、という予想です)