「安心安全な五輪の実現を可能」にするため「1日100万回のワクチン接種」を唐突に発表し、自衛隊を動員して大規模接種を号令した菅義偉。
何とか感染者数の増加を抑えたいのだが、今月31日までの緊急事態宣言が無事解除されなければ、かなり「五輪開催」が危うくなることは必至である。
「後手後手」が代名詞になってしまった菅義偉が名誉挽回とばかりに実施させた東京・大阪での大規模集団接種計画だが、拙速に過ぎるという批判もあるが、確かにシステム構築の準備不足による混乱はしばらくは続くであろう
さて、チョット前の話になるが、ある週刊誌にこんな過激なタイトルの投書が載っていた。
「意識的な『老人削減計画』なのか」
政府によるコロナ対策をどう見たらよいのか。 世上では「無策」「後手後手」という批判も多い。 しかし私にはそんな生易しいものとは思えない。 いま進められている施策は意識的な「老人削減計画」であり、「中小企業つぶし計画」ではないかと思う。 PCR検査やスクリーニング検査など「やるやる」と言いながら一向に進む気配はいまだにない。 第4波の危機が叫ばれながら、ほとんどまともな対策もせず、3密回避や宴会の回避ばかりを何度も叫び、まともな補償もせず、飲食店を悪者に仕立て上げることに終始してきた。 まして、今度の予算では病床削減しようとする病院には、消費税を財源後押しすることが計画されている。 コロナによる医療崩壊がうんぬんされ、実際に大阪あたりではそれが現実になっている。病床数を増やし、医療従事者を増やし、その待遇改善をしなければならないことが明らかになっている、この時にだ。 そして、後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引上げようとしている。 高齢者の1人当たり年収に対する患者負担金の比率は85歳以上では5.7%にもなり、50歳以下の3~6倍にもなっている。 その根本的な原因は、高齢者の医療費にしめる国庫負担金の割合が、老人保健制度が始まった1983年の45%から33%まで削減されてきたことによるのは明らかだ。 こうした政府のやり方を見れば生易しい評価などできない。 高齢者が減れば医療費に割く予算も、年金の財源も減らすことができるのだ。 命を軽視し、必死で生きようとする者をコケにする政府を軽く見ていたらとんでもないことになるだろう。 |
かなり「うがった見方」のように聞こえるが、菅義偉政権の今後の動きをみてみると、あきらかに高齢者を「真綿で首絞める」かのような施策が並んでいる。
ところで、話は変わるが昨年4月の最初の緊急事態宣言のため、国立劇場での公演はすべて中止になった。
今年に入り2度目の緊急事態宣言が発4月に令され当初の期間は5月11日までだった。
その後さらに5月31日まで延長されたが、映画館と異なり劇場や演芸場が有観客で営業を再開することになった。
10日前に、国立劇場での前進座の公演の初日が13日となり、3月末頃予約した芝居を無事見ることができた。
「創立90周年記念5月国立劇場公演」と題し、2本立てという初の試みで「狂言舞踊 茶釜」と近松門左衛門の晩年の作「平家女護島」の二段目にあたる「俊寛」を観劇した。
数年ぶりの国立劇場での前進座の公演であった。
感染拡大防止対策が完全に実施されており、花道近くの座席にすわったのだが前後左右が空いており、大変ゆったりとした気分で楽しめた。
パンフレットから、簡単に「演目」を説明しておく。
【茶壺】
茶壺をめぐる攻防を、絶妙なコンビネーションで愉しませるコミカルな舞踊劇
田舎者の麻估六(嵐芳三郎)は、買い求めた茶の入った壺を背負ったまま、酔ってうたた寝してしまいます。そこへ現れた盗人の熊鷹太郎(中嶋宏太郎)は、茶壷をわが物にしようと、同じように寝たふりを装います。麻估六が目覚めると、互いに自分の持ち物だと言い争いを始めることになり……。
二人の「連舞(つれまい)」が絶妙な時間差で重なるように流れていく。
【俊 寛】
流刑の島に届いた知らせ 夢か真か 絶望か希望か
そして俊寛が選んだ道は……
前進座歌舞伎、随一の代表作である。
近松門左衛門の晩年の作『平家女護島』。その二段目にあたる『俊寛』は、前進座の歌舞伎を代表する演目で、当公演で上演900回を超えます。歌舞伎時代物の様式美と激しいドラマが一体となって胸に迫る一つ作。見せ場が切れ目なく続きます。中村翫右衛門、中村梅之助らが演じ継いできた俊寛を、この度、満を持して藤川矢之輔が演じます。また、河原崎國太郎が成経を、進境著しい若女方の忠村臣弥が千鳥を初役にて勤めます。
【あらすじ】
平清盛の専横に怒りを抑えかねていた俊寛、成経、康頼らは、謀反を理由に捕らえられ、絶海の孤島の流人となった。三年がたったある日、都から平家の船がやって来て、赦免状が届けられる。しかし、俊寛の妻・東屋が清盛に殺されたと知らされて……。
公演は平日の午後だったので現役世代は皆無で、ほとんどが「ワクチン接種優先者」たち。
どうみても毎日の生活には支障なく暮らしている高齢者たちが大半であった。
どうやら、この日の観客たちは、当面は「老人削減計画」の対象ではないらしい、とオジサンは思った次第。