安倍晋三が総理辞任を表明し、「これで少しは日本がよくなるかもしれない」と、はかない期待感を持っている国民は少なくはない。
しかし、残念ながら安倍政治は終わることなくむしろ、その中枢を担ってきた菅義偉官房長官によって、安倍政治のエッセンスを凝縮したような暗黒政治が始まる可能性が大きい。
6月の世論調査では、<石破31%、菅3%>という支持率であったが、朝日新聞が2、3日に実施した調査によると、「ポスト安倍」にふさわしい人物は、①菅38%②石破25%③岸田5%と、菅義偉官房長官が一気に支持率が10倍以上になっていた。
「目的は森友・加計・桜疑惑潰し 異様な“菅談合”の全容」
「安倍首相が石破氏を毛嫌いしているのは、肌合いの違いもあるのでしょうが、何より今回の総裁選のキャッチフレーズに『納得と共感』、前回総裁選では『正直、公正』を掲げた国民目線の石破氏が政権を担ったら、森友、加計、桜を見る会など、これまでフタをしてきた悪事が暴かれ、訴追されかねないという恐怖があったのでしょう。疑惑潰しの共犯者である菅氏なら、数々の疑惑にフタをし続けてくれる。悪辣で厚顔無恥な官房長官が、後継には最適だったということです」
「それに何の疑問も持たず、派閥領袖や菅氏に取り入ろうと必死で媚を売る自民党議員は本当に浅ましく、どうしようもない。同時に、安倍政権の7年8カ月で“逆らえば潰される”という恐怖政治がここまで浸透してしまった現実に戦慄します。安倍政権下で、官邸の意に沿わない議員や官僚は冷や飯を食わされてきました。プライドだけは高く精神的に未熟な安倍首相は、思うように物事が進まなかったり、批判されると“あいつは許さない”などと私怨を抱きがちですが、直接、手を下すわけではない。実行役を担ってきたのは菅官房長官です。河井夫妻の事件にも黒川元検事長の人事にも関わっている。安倍首相が経産官僚と二人三脚で仲間に利権を与え、警察官僚をはじめとする“官邸ポリス”を率いる菅長官が党内や官僚機構に睨みを利かせ、恫喝し、メディアへのコントロールを強める役割分担でやってきた。その結果、党内も霞が関もイエスマンばかりになり、大マスコミも権力の顔色をうかがう広報機関に成り下がってしまいました」
(政治評論家・本澤二郎)
「不正に不正を重ね、嘘やゴマカシ、隠蔽、改ざん、嘘の上塗り……。そうやって国民の信頼を失ってきた腐敗政権をようやく民意が追い込んだと思ったら、よりによって、鉄面皮の嘘と隠蔽で政権を守ってきた菅長官が後継とは、悪い冗談としか思えません。目をつけられたら何をされるか分からない、恐ろしい官房長官だとメディア人は骨身にしみて感じているはずですが、だからこそ、機嫌を損ねないように競って歓迎ムードを演出しているように見える。安倍長期政権で、メディアは権力に対峙する気概を完全に失ってしまいました。本来は、このコロナ禍に何もできないまま政権を投げ出した無責任首相と連帯責任で内閣総辞職、蟄居謹慎が筋なのに、当事者の菅氏が首相に上り詰めようとしている。安倍政権の利権構造を温存したい人々が彼を支えているのです。それを国民が許容するのか問われる局面です」
(高千穂大教授の五野井郁夫)
「安倍政権に利権話まで繋いだ疑惑人物ーーその今井首相秘書官さえ菅新政権で留任!?」
「安倍政権継承」を掲げる菅新政権は、安倍官邸の仕切り役・今井首相秘書官まで継承するようだ。これでは安倍院政政権とさえいえるのではないか。この今井氏、出身の経産省と官邸の間で利権話の仲介までしていたようだ。こんな人物の継承を許していいのか!?https://t.co/vFK5YFLEWe
— 山岡俊介 (@yama03024) September 5, 2020
「菅政権になっても、安倍政権の骨格だった側近軍団と言われている、杉田和博官房副長官、泉水洋人首相補佐官、今井尚哉首相秘書官、北村滋国家安全保障局長の四人が全員官邸に居座れば」まさに「アベノママ」内閣になってしまいそうだ。
そして少し前だが、こんな事実を「赤旗」が明らかにした。
「官房機密費 78億円の闇 安倍政権7年 返納たった37万円」
第2次安倍内閣が発足してからの7年間で使った「内閣官房機密費(報償費)」86億円余のうち領収書不要の“つかみ金”である「政策推進費」に78億円も使われたことが5日、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。新型コロナウイルス対策として、260億円をかけるアベノマスクや「桜を見る会」など、税金の不可解な使い方が次々と明らかになる安倍内閣。使い道を明かす必要すらない官房機密費ではどうなっているのか―。 2012年12月に発足した第2次安倍内閣が昨年12月末までに支出した官房機密費は計86億3100万円余となっています。 官房機密費は、会計検査院に対しても領収書や支払先を明らかにする必要がありません。中でも「政策推進費」と呼ばれるお金は、菅義偉官房長官自身が管理し、菅氏に渡った時点で支出が“完了”したものと扱われます。 そのため、「政策推進費」の使い道は菅氏や安倍首相官邸の裁量で決まり、領収書も不要。官房機密費の中で最も“ヤミ金”の性格が強いお金です。 安倍内閣が19年に使った「政策推進費」は11億650万円。7年間で計78億6730万円を使っていました。官房機密費全体の91%が「政策推進費」だったことになります。 また、19年3月の年度末までに使い切れず国庫に返納した機密費は4万3268円でした。ほとんどを使い切っていました。国庫に返納した機密費は7年度分をすべてあわせても37万円余でしかありません。 税金の使い方がますます乱脈を極める安倍政権のさらなる監視が求められます。 |
官房機密費の中でも「政策推進費」は菅官房長官に渡った時点で支出が “完了”したものと扱われ、最も “ヤミ金”の性格が強い
— 盛田隆二??Morita Ryuji (@product1954) September 5, 2020
――今回、赤旗の情報公開請求で、官房機密費86億円余のうち "領収書不要"の政策推進費が78億円と判明! 菅氏は自分の "つかみ金"を一体何に使ったのか?https://t.co/ST9kMJC71t
安倍晋三に対しては「政治の私物化」との批判が強かったが、そもそも権力の座についたとたん、税金による「内閣官房機密費」が手に入り、その時点から、菅義偉官房長官に言わせれば「ルールに則った」私物化が始まるのであろう、とオジサンは思う。