新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

池に落ちた犬に代わり保守どころか極右翼の総裁になれば世も末

2024年09月20日 11時57分54秒 | 総裁選

当初の自民党裏選対のシナリオに沿った対応していた小泉進次郎も、同じ総裁選の候補者とのデベイトで完全に地金が出てしまい、ネットメディアでは、まさに「池に落ちた犬を叩け」状態になっているようである。
 
淑徳大客員教授金子勝はこんな例え話で批判していた。
 
『4代目』進次郎の答弁能力は、まるで江戸時代の歌舞伎役者だ
 

自民党総裁選がスタートした。下馬評では小泉進次郎元環境相が最有力だという。9人も立候補したことで議員票が分散。一般党員票の比重が大きくなるため、党員から支持が厚い小泉と石破茂元幹事長による決選投票となる。決選投票は国会議員票の比重が高くなるので、議員人気が低い石破でなく、小泉が勝つ可能性が高まっているとみられているようだ。
 自民党は、選挙の顔は見栄えさえよければいいと考えているようだ。進次郎が3代目政治家の岸田文雄首相に勝っている点は2つ。ひとつは4代目であること。いまひとつは、答弁能力が岸田以下なことだ。9月13日の記者会見は、記者は指定席で自由席はなし、1社1問に限定で行われた。これでは、突っ込んだ質問など出るはずもないのに、なぜか「丁寧な説明をする」が決めゼリフだ。この国のトップは、江戸時代の歌舞伎役者なのかと、思わず天を仰いでしまう。自民党はもはや末期症状である。
 しかも、小泉は裏金問題に後ろ向きなまま、新自由主義丸出しで「解雇規制の見直し」を主張する。20年前、父・純一郎元首相の下、竹中路線で何が起きたのかを忘れたのだろうか。さんざん規制緩和をやったのに産業衰退が進み、非正規雇用が増えて格差が拡大し、ずっと実質賃金が低下してきた。小泉は、解雇規制見直しは「首切りではない」と言い、「成長産業への労働移動を図るため」と主張しているが、起きてきた現実はアベコベだ。
 規制緩和では新しい成長産業は生まれず、さらに解雇規制を緩めたら、古い産業が生き残るためにコストカットで人員を解雇することになる。人々はもっと貧乏になるだけである。だが、4代目の“お殿様”は非正規雇用者の実情など全く理解できない。
 実際、日本は、情報通信産業、ゲノム解析に基づく医薬品製造、再生可能エネルギーや蓄電池とスマートグリッドを使ったエネルギー転換、電気自動車と自動運転……といった先端産業から遅れてしまった。その重要な原因は、裏金と政治献金を通じた古くさい経団連企業を救済する国家事業ばかりやってきたためである。
 自民党がこれまで進めてきた防衛費倍増や原発回帰、プラスチックのマイナカードの活用などは、古い産業を生き残らせるだけでなく、円安インフレで輸出大企業の利益を水増しする。その結果、成長産業が出てこない。その状態で解雇規制だけ緩和しようというのだ。ますます経済衰退が進む。結局、小泉進次郎は、裏金や政治献金を供給する古くさい重化学工業中心の経団連企業の御用達にすぎないのだ。それは自民党政治の終わりを意味する。

 








 
「決めゼリフ」しか言えない輩を「江戸時代の歌舞伎役者」と例えるコことには若干の批判があるだろう。
 
こんなまともなコメントがあった。
 
それにしても一政党の党首を選ぶ段階でメディアを先頭に総理大臣に就任したら社会をどうする的な構想を候補者に求め、かつ候補者自身も既に首相の地位にまで至ったかのように構想を展開、労働の在り方や経営の仕方にまで言及する、普段大いに揶揄している体制の異なる国のようだ。党首は党代表であり課題は多い筈だ。党員は無論のこと所属議員とて三百人以上いれば支持する有権者の要望も異なり一律ではない筈にも拘らず、党議拘束を掛けた行政立法案の強行可決にまで持って行く、先進国でも特殊な汚職とさえ言える政党であれば、党代表として党運営をどうするかに最大の関心を持つべきだが、総裁選でありながら、どの候補にも党首としての抱負は無い。小泉氏を先頭に専ら総理大臣なる自分を前提に持論展開している点で彼らの異様さが際立つ。
  また先ずは党首としてこうありたいとのビジョンが示されない奇妙な総裁選に周囲が疑問も持たずにいることは、結局は自民党は官起案の財界利益中心に公金を宛にする行政立法案の閣議決定要員として、かつ閣議決定の権威に横臥し党議拘束する強行可決要員としての生き方しかない故に、党首である意味は重視しないのだろう。
  それにしても候補者の皆が皆、総理大臣を念頭に国民を先導する勢いで首相一人で何でも可能かのような妄想に浸り、実態的には官起案の法案と予算化の追認作業が主であることはしばし忘れたいのだろう。護憲意思なき改憲志向は無法主義と同義語であり、それが党を挙げての政府提案の可決要員としての自民党の存在意義でしかない。かつその無法主義に公金目当ての内外魑魅魍魎が寄生しているのだが、党首以前に総理大臣の座を双六の仕上げとし、自民党が単に政府提案の可決要員としての駒であることを忘れ、首相が独裁的に世の中を仕切れるかのような妄想に溺れている印象だ

  
具体性のない調査不足の小泉進次郎の発言には、まともなメディアがこう批判していた。
 
「『日本は解雇規制が厳しすぎる』の実際は? 小泉進次郎氏や経営団体が唱える「人材の流動化」のご都合主義
     
自民党総裁選でにわかに注目を浴びているのが「解雇規制」だ。「規制を見直す」と口火を切ったのは、小泉進次郎氏。しかし、リストラ推進策と受け止める人から批判が巻き起こった。旗色が悪くなったためか、最近はトーンダウンした。ともあれ、生活の安定を失う「解雇」という言葉に人々の心はざわつく。市井の声に耳を傾けつつ、あるべき日本の労働市場とは何かを考えた。◆「庶民はぼろぼろなのに…理想論ばっか」
 3連休明けの17日正午、東京・神田は昼食を求める働き手たちであふれた。
 「どこ見てモノ言ってんだって感じですよ。大企業を利するだけじゃないですか」。製薬販売を営む中小企業で労務担当をしている次長(60)がほえた。
 従業員は200人ほど。「今夏の賞与も昨年並みで、物価上昇で全体的には目減りする中、(転職しやすくする)人材の流動化は中小企業にとってかなり痛い。経済成長させたいならそこじゃないだろって」
 3連休も休みなく働き、ようやく半休をもらい、帰宅中だった。「庶民はぼろぼろ。なのに世襲の小泉さんは理想論ばっか。きれいごとでメシは食えない」
◆「最初だけ威勢が良くて、ひよったのか」
 小泉氏は6日の出馬会見で最近の人手不足の対応や成長産業に人材移動を促すため、として「労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す。来年法案提出する」とぶち上げた。だが、大企業が自由にリストラできるようになるとの印象が広がり、13日の民放番組では「緩和でも自由化でもない」と早くもトーンダウンした。
 大手インフラ企業に勤める課長職の男性(47)は「小泉さんは最初だけ威勢良くて、でも結局、ひよったんじゃなかったでしたっけ」と話す。「流動化したら経済が良くなるって、そうとも言い切れない。そんな簡単な方程式で経済が良くなるなら誰も苦労しない」
 大手食品卸売会社を定年になり、現在はアルバイトの三宅高義さん(75)は「ぼくの現役時代の頃は、会社側から解雇される不安は頭になかったし、思いっきり働けた」と振り返り、「今は世の中も不安定で、逆に『安定』というのが時代のキーワードになっているのではないか」と巡らす。
◆「家のローンまだある…会社にしがみつきます」
 すし店のメニューを5分以上眺めていたネイリストの女性(27)は「食べたいけど今月金欠で…」と切実な様子。解雇規制の見直し議論については「う〜ん…別に一生同じ店で働くわけじゃないし、いいんじゃないですか」とさらり。
 メガバンクの管理職の男性(53)は「日本はもっと自由度を高めてもいい。必要な人材は必要な場所に行って稼がないと…」と扇子で自身に風を送りながら話す。実際、規制が見直されたらどうするか。「いやいや、ぼくは家のローンもまだあるし、ここまできたら、申し訳ないですが、しがみつきます」
◆「自分の言葉の先に庶民の顔が浮かんでいるのか」
 観光中のドイツ人のミヒャエルさん(47)は「日本の終身雇用はドイツでも有名。日本の勤勉さとマッチして、日本文化をつくってきた。日本が大事にしてきた文化が本当になくなるのか、注目したい」とにこっと笑った。
 神田の歓楽街を見守り、今月末に閉店する創業70年の礒見(いそみ)酒店の礒見隆行店主(54)は20年ほど前に酒類販売が全面自由化した時のことを振り返る。「競争が激しくなり、周辺の酒店もずいぶん少なくなった。政治は庶民の生活に直撃する。政治家は自身の言葉の先に私たちの顔が本当に浮かんでいるのだろうか」
◆日本の「解雇しやすさ」はOECD37カ国中11位
 解雇規制の見直し議論の背景にあるのが、「日本は規制が厳しすぎる」という考え方だ。本当なのか。
 経済協力開発機構(OECD)が2019年、解雇の際の諸条件を国際比較した結果、日本の「正社員の解雇のしやすさ」は37カ国中11位だった。
 浜銀総研の遠藤裕基上席主任研究員は「OECD調査の通り、国際的にみれば日本の解雇規制は厳しいとは言えない」としつつ、「企業は実際には解雇しにくい状況にある」と説く。会社都合による整理解雇を行う際に求められる「4要件」が歯止めになっているためだ。4要件は解雇の必要性や合理性などで、法律ではなく、過去の判例を積み上げて確立された。
◆解雇回避の努力義務があるのは、企業に強力な人事権があるから
 中でも、小泉氏が今回見直しを訴えた「解雇回避の努力」を満たすのは企業にとっては難しいという。たとえば勤務先の工場が閉鎖になっても日本では他の仕事に異動させるなどの対応が求められる。
 遠藤氏は「日本企業には強力な人事権があり、社員を自由に出向させたり配置転換できる。その代償として解雇を回避する努力義務が課せられている」と、4要件ができた背景に日本の雇用慣行があると指摘。「この状況で、解雇規制が緩和されれば、企業側の権限だけさらに強まる。労働者は企業の好き勝手に働かせられるのに、いざというときに雇用は守られず、すぐ首を切られることになる。フェアじゃない」
◆整理解雇をして成長産業に人が移る「データはない」
 小泉氏は、解雇規制の見直しで人材の流動性が高まり、労働市場が活性化するという論法を用いる。経営者団体も同じような主張を繰り返してきた。
 しかし、労働問題に詳しい嶋崎量弁護士は「整理解雇によって成長産業に人が移るなんてデータはない。本当に魅力的な職場なら自分から転職するはずで、首を切りやすくしたいという本音を隠したいだけではないか。空論も良いところだ」と突き放す。
◆労働者派遣法を作ったときと同じような議論が
 脇田滋龍谷大名誉教授(労働法)も1985年の労働者派遣法の制定時と「類似の議論」と批判する。「この時まで、労働者の雇用モデルは定年まで働く常用雇用が前提で派遣労働は違法だった。それが『労働者の選択肢が増える』『経済が活性化する』と経営側が主張し、通訳など専門性の高い業務に限るとして派遣は解禁された」
 その後対象はどんどん拡大し、「今ではごく一部の例外を除き、どんな業務でも派遣できるようになった」。2000年代以降、規制緩和を進めたのが小泉氏の父の純一郎元首相やブレーンの竹中平蔵氏だった。
 「その結果、派遣労働や有期雇用が増え、労働環境は悪化し、成長力も高まっていない。企業が労働者を安く使えるようになった結果、労働者本来の取り分を削る形で利益を得て、内部留保ばかりため込んで。あれは非正規労働者の涙のかたまりだ。不公正な非正規雇用賃金は抜本的に見直すべきだ」
◆転職で条件が上がる欧米…労働者自身が選べる仕組みを
 総裁選では、河野太郎デジタル担当相も、解雇時に金銭補償するルールの仕組みを訴えている。中小企業などでは、経営者の一存などによって、補償もなく解雇されるケースが少なくない。一定の合理性があるが、脇田氏は「金銭を払えば解雇できると企業側に悪用されかねない」と警戒し、労働市場活性化に向けた議論の視座を示す。
 「日本で転職は確かに少ない。いったん辞めると中途採用になり、賃金が下がるから。労働市場の活性化を本当に実現したいなら、転職で条件が上がることが常識となっている欧米のように、労働者自身が転職を選択できる仕組みや環境をつくるべきだ。労働移動は使用者が首を切るから起こるのではない
◆デスクメモ
 労働政策研究・研修機構が中小企業などの解雇事案を調べた「日本の雇用終了」が日本の一面を映す。有休を申し出たから解雇、妊娠したから解雇、態度が悪いから解雇といった事例がずらり。大企業とは異なる現実がある。まず政治家が取り組むべきは、働き手の安全網強化では

 
さて、総裁選に話を戻せば、こんな情勢になっているらしい。
 
小泉進次郎が急失速!それでも自民党が『高市早苗総理総裁』を躊躇するウラ事情とは?口だけ男の“刷新感”消滅なら立憲に勝機も
 
自民党総裁選で、一時は独走状態にみえた小泉進次郎氏が急失速している。最新の各紙調査からは「石破氏vs高市氏」の決選投票になる可能性が浮上。このまま進次郎氏が消えれば、自民と対照的に地味な代表選を繰り広げる立憲に一筋の光明が差すかもしれない。元全国紙社会部記者の新 恭氏が詳しく解説する。
■進次郎氏早くも失速で、自民党総裁選劇場のシナリオに狂い
自民党総裁選で、大本命とみられた小泉進次郎氏の勢いが失速しているようだ。もしかして、高市早苗氏または石破茂氏が総理・総裁の座に就く可能性もあるのだろうか。
そうなると、“刷新感”の衣を纏った進次郎劇場を総選挙に向けて繰り広げ、国民を幻惑しようとする自民党裏選対のシナリオは崩れてしまい、逆に地味な代表選を続ける立憲民主党にとっては、一筋の光明となる可能性がある。
16日の読売新聞オンラインに、党員・党友への電話調査(14、15日)と、国会議員に投票先を取材した結果が掲載されている。
それによると、党員・党友の投票先は、石破氏が26%、高市氏が25%、小泉氏が16%で、他の候補者に圧倒的な差をつけている。これを票として試算すると、石破氏が97票、高市氏が94票、小泉氏が60票になるという。
また、誰に投票するかを党所属国会議員の96%に当たる352人から聞き取りしたところ、小泉進次郎氏(45人)、小林鷹之氏(40人)、林芳正氏(35人)、茂木敏充氏(33人)、高市早苗氏(29人)、石破茂氏(26人)、河野太郎氏(24人)、上川陽子氏(23人)、加藤勝信氏(21人)の順になった。もっとも、「未定」と「未回答」の91人がどうするのかは、わからない。“勝ち馬”を見定めたいということだろうか。
■「石破氏vs高市氏」の決選投票になる可能性
今回の総裁選は9人もが乱立しているため、票が分散し、国会議員367票、党員・党友367票による1回目の投票で過半数を獲得する候補者はいないとみられている。注目のマトは、決選投票にのぞめる上位2人が誰になるかだ。
そこで、この読売調査で判明した党員票と議員票を足してみると、高市、石破両氏が123票で並び、小泉氏が105票となった。実に意外な結果である。
読売だけではない。日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査(13~15日)でも、自民党支持層に限れば、トップの石破氏が25%、2位の高市氏が22%。小泉氏は21%で、前回のトップから3位に転落した。
石破氏への支持はもともと高かったので不思議はない。特筆すべきは、ついこの間まで小泉氏や石破氏の後塵を拝していた高市氏の急伸だ。もともとネット上では、安倍元首相の後継者として人気があったが、ここへきて岩盤保守層の界隈では、高市総裁を待望する声が澎湃(ほうはい)として湧き上がっている。
これまで小泉進次郎氏が強いと見られていたのは、総裁選に出馬する意思を示したとたん、世論調査で石破氏と肩を並べるほど人気がハネ上がったことと、党の刷新をアピールする広告塔としての期待感が、衆院選をひかえた議員たちの間で高いからだ。
石破氏はメディアのインタビューに応じて政権に批判的な発言をすることが多いためか、国会議員間の評判はよくない。かりに党員・党友票でまさっても、議員票では劣勢とみられている。このため、全体としては小泉氏が1位で、2位に石破氏か高市氏という見方が強かった。それは今でも変っていないのではないかと筆者は個人的に思う。
だが、読売や日経の調査を素直に受け取るなら、上位2人から小泉氏がはじき出される可能性がなくはない、ということになる。かりに石破、高市両氏による決選投票になれば、議員票の比率が高いため、高市勝利も十分考えられるのだ。
■人気急落、小泉進次郎氏の大誤算とは?
それにしてもどうして、小泉人気が急落したのだろうか。9月14日の夕刊フジは、12日の日テレの調査などで高市氏の評価が上昇していると指摘したうえ、小泉失速の原因について、二人の識者のコメントを掲載した。
「告示(12日)前に行った出馬会見で差が出たのではないか。高市氏は自分の言葉で力強く語っていた一方、小泉氏は用意された原稿をうまく読むだけで演出に失敗したようにみえた」(政治ジャーナリスト、安積明子氏)
「高市氏と石破氏は強気に見える一方、小泉氏は根っこがないように感じる」(経済ジャーナリスト、荻原博子氏)
各候補者の出馬会見を見た後、人々の小泉氏に対して抱く印象が以前とは変ってきたのだろうか。政策面をみると、「解雇規制の見直し」を打ち出していることがマイナスに響いているかもしれない。
「新卒入社した企業で定年まで働く終身雇用は通用しなくなっている。賃金が上がらない理由も、優秀な人材が成長分野に流れていかないことにある。日本経済のダイナミズムを取り戻すために不可欠な労働市場改革の本丸である解雇規制の見直しに挑みたい」(小泉氏出馬会見より)
大企業に眠る人材が、スタートアップや中小企業に流れやすくする仕組みをつくるために、解雇がしにくい今の規制を見直すというのである。解雇を検討するさい、働く人のリスキリング・学び直しとその間の生活・再就職支援を義務付けるのが改革の主眼だと小泉氏は言うが、世間の納得を得るのは、なかなか難しい。
不要な社員を整理し国際競争力をつけるための規制緩和を求める経済界のニーズにそったもの、あるいは、首切りをしやすくするための政策手段と言われても仕方がないだろう。
■TV討論で進次郎氏を圧倒した高市氏
その点を小泉氏の弱みとみた高市氏は12日のテレビ討論(フジテレビ系)で小泉氏を指名し、次のように質問した。
「労働市場の流動化のご主張ですが、OECDの指標をみると、イタリア、フランス、ドイツの方がかなり解雇しにくい。G7では日本は4番目で、どちらかというと解雇しやすい国になっている」「労働市場の自由化をしたら、より生産性が高く賃金が高いところにいけず、失業してしまう可能性はないですか」
小泉氏は「解雇の自由化なんてまったく考えていません。大企業にセーフティーネットとしてリスキリング(職業能力の再開発)や再就職支援の義務づけをやっていきたい」と、主張した。
高市氏は、日本はすでに解雇しやすい国なのだから、規制を見直す必要はないと言っているようなのだが、進次郎氏はそれには反論せず、企業に再就職支援の義務づけをするのだと、出馬表明用に作成した文言の一部を繰り返すだけ。かみ合わない議論の仕方はいつも通りだ。
他の候補者に比べ、進次郎氏の能力はお世辞にも高いとは言い難い。それでもなお、進次郎氏の人気をアテにしなければならないのが、今の自民党のつらいところだ。
■だが高市氏で自民は衆院選に勝てるのか?
それにしても、かりに高市氏が自民党の総裁になり、首相の座につくとして、衆院選で党の再生を堂々とアピールできるのだろうか。
高市氏の推薦人の顔ぶれを見てみよう。20人のうち、安倍派が14人を占め、その中には派閥からパーティー券売り上げの裏金キックバックを受けた議員が12人もいるのだ。
今年2月2日の東京新聞に掲載された「還流額の一覧」をもとに、高市氏の推薦人となった安倍派議員14人の裏金金額を記入してみた。
杉田水脈(872万)、鈴木淳司(52万)、関芳弘(524万)、高鳥修一(484万)、谷川とむ(134万)、赤池誠章(98万)、衛藤晟一(0)、古庄玄知(0)、佐藤啓(236万)、西田昌司(234万)、堀井巌(466万)、山田宏(282万)、三ツ林裕巳(1808万)、若林健太(184万)=敬称略
これでは、裏金問題の真相解明や、責任のさらなる追及、政治資金問題の根本的解決に後ろ向きになるのもうなずける。高市氏は政治資金を党幹部の好き勝手にさせないで公平に配分するべきだと主張するが、小泉氏が政策活動費の廃止、旧文通費の使途公開を主張しているのと比べて具体性に欠ける。
■高市氏が“自民の顔”になるなら野党に勝機あり
高市氏が自民党の総選挙の“顔”になるとしたら、野党としてはどうだろうか。攻めやすくなるのは間違いない。進次郎氏は政治的な能力こそ全くの未知数だが、刷新イメージはなんとなく漂っていて、その茫漠感が野党にとって最大の脅威だった。高市氏だと若さや鮮度は薄れ、野党は、裏金にまみれた安倍派の傀儡として徹底的に攻撃を仕掛けるだろう。
もっとも、そんなことは自民党国会議員なら先刻承知のはず。最終的には自分の選挙に有利な総裁を選ぶことになるのだろうが、現時点では、進次郎氏の危うさの方が目について仕方がないようだ。
自民党裏選対の「総裁選ショー」プロデューサーが、古い政治に倦んだ人心を背景に、候補者個々人の資質などを無視してシナリオを構想していたうちは、イメージ先行の小泉旋風が巻き起こりそうな幻想に自民党関係の誰もが浸っていられた。だが、候補者討論などコップの中の争いになってからは、政策通のベテランの知識量やディベート能力に心が奪われ、鑑識眼が定まらなくなっているのではないだろうか。
おりから、朝日新聞が17日の朝刊1面、2面の大半を割いて、特ダネ写真と記事を掲載した。13年6月の参院選公示の4日前、自民党本部総裁室で、当時の安倍晋三首相が、統一教会の徳野英治会長や関連団体のトップらと面談している写真3枚だ。自民党の参院比例候補を教団が支援することに関する会談だったとみられている。
自民党は「教団との組織的な関係はない」と言い張るが、参院選直前のタイミングといい、安倍首相による総裁室での丁重な応対ぶりといい、特別な間柄であったことは否定のしようがない。特定の宗教団体に集票を頼んで、かわりに“特権”を与えてきた証拠写真ともいえるものであり、総裁選の候補者はそれをどう受けとめるか、再調査についてどう考えるかを明らかにしなければならない。
ともあれ、新総裁に誰がなろうと、長期政権がつくりあげた自民党の腐敗体質は変りそうにない。見せかけの派閥解消ではなく、いったん解党して出直すのが本来あるべき姿だろうが、そんな声がつゆほども上がらないのもまた、自民党なのである。

 
米国の大統領選挙にあやかって「自民党初の女性総裁・首相」高市早苗」が実現したら、まさに「いったん解党して出直すのが本来あるべき姿だろうが、そんな声がつゆほども上がらない」自民党が際立つので、こんなことになれば野党に本気で頑張ってもらいたい、とオジサンは思う。 

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