先週末の段階で、予算委員会が長期間開催されていないことに対しては、このような解説が主流を占めていた。
「衆院では、3月1日の開会を最後に、98日間も開会されていない状態が続いています。
これは、内閣支持率を下げさせないための目論見と考えられます。これまで、内閣支持率は、国会審議が白熱すると下がり、国会閉会中に上がるといわれてきました。実際、安保法制、森友問題、加計問題、労働問題で、国会審議が白熱した年度前半に、内閣支持率が下がり、そうでない時期に上がる傾向が、見て取れます。 つまり、予算委員会の開会拒否は、政府・与党の選挙対策と考えられる」
確かにこのような指摘は決して間違ってはいない。
しかし、2年前の日刊ゲンダイの「収束みえぬ森友問題に顔むくみ 安倍首相にまた体調悪化説」という記事には今の状況と同じような事態が書かれていた。
「安倍首相はストレスがかかるとすぐに具合が悪くなる。野党から攻撃されることがよほどストレスなのか、国会会期末の6月になると必ずと言っていいほど体調を崩してしまう。今年はまだ3月ですが、早くも調子が悪そう。国民の目があるところでは元気に見せていますが、身内の会合などでは背もたれに首を乗せてつらそうにしている。野党の質問にすぐキレるのも体調が悪く、ガマンが利かないからでしょう」(自民党関係者)」
「安倍首相は大好きなゴルフをやり、外遊するとストレスが発散されて元気になる。安倍官邸は、どんなに批判されても、外遊日程とゴルフ日程を確保するつもりです」(政界関係者)
したがって、いくら「安倍首相が審議拒否中に芸人と会談『国民を愚弄』と批判の声」が上がろうともストレス回避のため、国会には顔を出さず、またもや会期中にイランに行こうとしているというわけである。
さて、1週間前に「同じお笑い芸人でも品格差が際立つこの2人」のなかで、オジサンはこうつぶやいた。
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「松本人志、川崎殺傷事件に『唯一の救いは、花を持ってきてくれる人がすごく増えています』」
「人間が産まれてくる上で不良品って何万個に1個絶対これはしょうがないと思うんですね。それを何十万個、何百万個にひとつぐらいは減らすことはできるのかなって、みんなの努力で」と示した上で「正直、ボクはこういう人たちはいますから絶対数。その人たち同士でやりあって欲しいですよね」
こんな発言に対しては真っ当な批判の声は多かった。
川崎の事件はあってはならない事件ですし、犯人が悪いのは当たり前ですが、人間相手に「不良品」て、色んな生い立ちにがあって性格や考え方が形成されるんじゃないの?松本人志少しは考えて発言するべき。#ワイドナショー pic.twitter.com/7pKhyNa8Wt
— 73 ?? (@hateandwar69) 2019年6月2日
ところが同じ日に、同じお笑い芸人でありながら、 松本人志と対極に位置すかのような芸人の発言が大きな共感を生んでいる。
「爆問太田 『一人で死ぬべき』に「すぐ近くにいると思うの。彼のような人は」
太田光さん
— 佐々木舞湖都[マコト] (@Makoto_dayodayo) 2019年6月2日
特定の病気ではなく
誰でも起こり得る#川崎殺傷事件
自死した被疑者と同じ50代
自らどん底だった高校時代境遇
被疑者と重ね
立ち直るきっかけ
今苦しんでる方への優しいお声がけ#太田光 #サンデージャポン #サンジャポ pic.twitter.com/FQPIAcIWJZ
安倍晋三との会食を嬉々として宣伝するお笑い芸人に対してかつては安倍晋三に対して正面からこう言っていた芸人がもっと多くのテレビ番組で正論をしゃべってくれればいいのだが、少なくとも品性欠落しているフジテレビでは無理であろう、とオジサンは思う日本全国すべての皆さんへ
— ゆみ (@yumidesu_4649) 2019年2月7日
一つ、お願いがあります。
「こちらの、ショート動画を見てもらえませんか?」
お願いします。
太田光 vs 安倍晋三 9条改正は必要か?
安倍晋三「でもあの時にね。もし実際あったらね。(大量破壊兵器が)あったかもしれない訳ですよ。だからもし、いや、無かったけど。」 pic.twitter.com/nMLNfg7oHI
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その後、松本人志の差別的な発言を容認したフジテレビの石原隆取締役の「差別的な意図はなかった」という定例会見での発言にはまたもや批判の声が湧きあがっていた。
「松本人志さん『不良品』発言 フジが『差別の意図なかったが批判受け止める』」
差別の問題においては「誰かを傷付けるつもりはなかった」とか「差別の意図はなかった」と言われます。しかし発言者の「意図」が問題なのではなく、悪気なくナチュラルになされた言動自体が、その方の差別的な思考の発露であり、差別そのものなのだということ、ご本人はかなかな理解してもらえません。
— 佐藤倫子 (@sato__michiko) 2019年6月8日
松本人志の「不良品」発言には「差別的な意図はなかった」と石原隆・フジテレビ取締役が釈明。「生まれてくるなかで」「先天的」「犯罪者」とまで放送しておいて白々しい。差別に意図は関係ない。そもそも「松本発言は優生思想では?」ときっちり指摘する記事が少なすぎる。https://t.co/3mj9UeNd55
— 陋屋 (@tagilolippi) 2019年6月7日
おかしいよ。差別的な意図がなければあのような発言を局として認めるのか。いじめの意図がなければいじめを容認するのと、どこが違う? 落胆。 → 松本人志の不良品発言「差別の意図なかった」 フジテレビ・石原取締役が見解 - SANSPO.COM https://t.co/sRoPrgO7QI @sanspocomさんから
— 長谷川博一 (@hanycafe) 2019年6月7日
「サンケイスポーツ」はフジサンケイグループの傘下である産業経済新聞社(産経新聞社)が発行するスポーツ新聞で、産経新聞は、社説で「日本に報道の自由がないとの実感は全くない」と書くほどの新聞社である。
そして、「その産経の『自由』は、産経が特定の立場性を有しているからなのだ。権力におもねり、権力に迎合し、権力を称揚し、権力が望む方向に世論を誘導しようとの立場。権力に抵抗する勢力を難じる立場。権力に癒着した権威に平伏してみせる立場。遅れた社会意識が形成する同調圧力を批判することなく、助長する立場である」と澤藤統一郎の憲法日記」で痛烈に批判されているクズメディアでもある。
そして昨日は、朝日新聞が「松本人志と太田光、社会に向けて2人が紡いだ言葉の違い」という記事を書いていたが、この記事に対しては、興味深いことに東京新聞の記者と元毎日新聞の記者がそれぞれコメントしていた。
川崎の殺傷事件受け、こういう言葉しか紡げない人が、お笑い界の大御所という日本。強い危機感覚える#松本人志 氏「人間が生まれてくる中で不良品というのは何万個に1個、これはしょうがない。‥こういう人たちはいますから、絶対数。その人たち同士でやり合ってほしい」 https://t.co/zp1B9nM5Do
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) 2019年6月9日
優生思想ともとれる松本発言。死んでもいいという考えから抜け出す道は「近くに」あると語る太田ーー。
— 北村肇 (@bkhajime) 2019年6月9日
サブカルチャーは社会の「今」を映し出す。『朝日』はこういう記事をもっと早くもっとたくさん報じてほしい。
https://t.co/gkfQKLd0LA
「鶏が先か、卵が先か」とよく引き合いに出される因果性のジレンマに例えれば、「ダメな政権がメディアをダメにしたのか」、それとも「ダメなメディアがダメな政権を生み出したのか」ということになる。
おそらく歴史的にみれば、権力者が先に現れて、それに対抗すべく民衆の中から権力批判する声があがり、ジャーナリズムが生まれたと思っていたが、マーティン・ファクラー『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書)ではこう書かれている。
「明治政府は『富国強兵』の大号令をかけ、『記者クラブ』は政府と一体になって、帝国議会のエリートが何を考えているのか、わかりやすく国民に説明した。現在のテレビにも、まるで首相の代弁者のようなコメンテーターが登場する。ジャーナリストが、取材対象の政治家や官僚や社長と仲良く会食する。いわば『権力の犬』であることが、明治以来の伝統的な日本のジャーナリズムの姿なのである。」
著者のマーティン・ファクラーは、ブルームバーグ・AP通信社・「ウォールストリート・ジャーナル」記者を経て、「ニューヨーク・タイムズ」東京支局長を務め現在はフリー・ジャーナリストで、『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(双葉社)や『世界が認めた「普通でない国」日本』(祥伝社新書)などの著書を上梓している程で、日本滞在歴は20年以上に及んでいる「日本通」でもある。
どうやら、21世紀になっても明治政府時代の「権力の犬」のままのメディアが多いということであろう。
もっとも日本の最高権力者も自他認める「米国の犬」であることはいまさら言うまでもない、とオジサンは思う。