岸田内閣の支持率低下の元凶のひとつに官邸と自民党国対との風通しの悪さが指摘されているらしい。
その良好でない「風通し」を少しでもよくするためなのか、「岸田首相の一日 10月7日(金)」によると、
<6時51分、東京・赤坂の焼き肉店「叙々苑游玄亭赤坂」。山口俊一衆院議院運営委員長、自民党の高木毅国対委員長、御法川信英国対委員長代理、松野博一、木原正副官房長官と会食。>とのことだが、先週7日に各党代表質問が終わったその晩に自民党国対委員長・高木毅ら国対幹部は首相・岸田文雄と焼き肉店でテーブルを囲んだということは、タイミング的には決して国対幹部連中の「慰労会」などではなく官邸サイドのテコ入れだったのかもしれない。
週明けの9日に岸田文雄は記者団から官邸と自民党国対の連携不足を指摘されたのだが、国会開会までの国対の動きの鈍さは異例ともいえ、野党国対も「こんな不体裁は初めて」という。
先月29日、国会開会直前の与野党国対委員長会談でけんか上手の立憲民主党国対委員長・安住淳が「3日に国会がスタートするにもかかわらずもう残り5日。この時点での国対委員長会談で、中身について何ら説明もなく、ただよろしくっていうのは極めて遺憾だと。つまり、まだ提出する予定法案の説明も全くない。お互い準備をしないとならない。政府だけ準備をして、質疑するこちら側は準備をしないでお前ら質問しろっていう態度ですから」と詰め寄ったらしい。
高木毅国対委員長は「調整に手間取った」と陳謝したのだが、提案型野党などと物分かりのいい国対で安全運転に徹した前国対委員長・馬淵澄夫を相手にしていた高木は議運・国対族のベテランだが、立憲国対をなめていたかもしれない。
本来なら今日11日から予算委員会がスタートするがG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が12、13日に米国のワシントンで開かれるため財務相・鈴木俊一と日銀総裁が出席。予算委員会は来週まで開かれないという。
そのための副大臣制度なのだが、その前にそもそも国対が緊密に官邸と調整すればこんな間抜けな日程は生まれないはずである。
「国会、異例の『休戦』に 自民・高木氏に不安の声―ささやかれる会期延長」
3連休明けの国会は、一部を除いてほぼ1週間の「開店休業」状態に入る。衆参両院予算委員会の審議が始まるのは17日からの予定で、序盤から足踏みする異例の展開だ。国会運営の司令塔である自民党の高木毅国対委員長の指導力を不安視する声が与党内には広がっており、早くも会期延長が取り沙汰される事態になっている。 高木氏は7日夜、東京都内の焼き肉店で岸田文雄首相や国対幹部らと夕食を共にした。首相が「国会運営をよろしく」と声を掛けると、高木氏はいつものように座を盛り上げ、会食は楽しげな雰囲気に包まれた。しかし、国会に目を向けると、とても余裕でいられる状況ではない。 各党代表質問が7日で終了し、本来なら間を置かずに予算委の基本的質疑に移る。だが、タイミングが悪いことに、鈴木俊一財務相が国際会議出席で訪米するため11日から予算委は開かれず、1週間の空白が生じる。審議の遅れは政府が成立を目指す各種法案、2022年度第2次補正予算案の処理を圧迫する。 審議促進という重要な役割とは正反対にも映る与党の動きに、立憲民主党の安住淳国対委員長も「(国際会議日程は)3カ月前に確定している。代表質問後に予算委を開けない日程をつくるのは今までにない」と首をひねる。首相は9日、視察先の三重県鈴鹿市で記者団から官邸と自民党国対の連携不足を指摘されると、「財務相の出席は国益の観点から極めて重要」などと繰り返した。 野党は勢いづく。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、空白期間に衆院外務委員会など3委員会の連合審査会を開くよう要求し、与党に応じさせた。開催は13日だ。国会では野党がペースをつくりつつある。 迷走気味の状況について、自民党内では「司令塔である高木氏の動きの鈍さ、調整不足が原因」(中堅議員)との見方がささやかれる。実際、政府が国会召集日を野党に伝えた際、自民党は会期幅を決めていなかった。高木氏が首相官邸と十分に連携していなかったことから生じた「失態」とされる。 交渉相手の立民国対委員長が「攻撃型」の安住氏に代わったことも、高木氏のほころびが目立つ要因との指摘もある。 安倍晋三元首相の追悼演説をめぐっては、高木氏が自民党の甘利明前幹事長を起用する当初案にこだわり、与野党調整の「蚊帳の外」に置かれた。結局、立民の野田佳彦元首相の登壇が決定したものの、自民党が国会の司令塔を欠いた状態で調整を進めたことも影響し、演説は今月下旬以降となる見通しだ。 国会会期は12月10日まで。11月中旬には首相が東南アジアを歴訪予定。政府は2次補正を同月中に提出する。提出法案は18本に絞ったが、政権内では日程が窮屈になるとの懸念が出ている。自民党の中堅議員は「1週間程度延長する可能性はある」との見方を示した。 |
高木氏は7日夜、東京都内の焼き肉店で岸田文雄首相や国対幹部らと夕食を共にした。首相が「国会運営をよろしく」と声を掛けると、高木氏はいつものように座を盛り上げ、会食は楽しげな雰囲気に包まれた。https://t.co/ywEDasDmBS
— 毛ば部とる子 (@kaori_sakai) October 10, 2022
⇒国対やめて宴会委員長に配置換えすることが適材適所ではないか。
●勝手に合鍵作って侵入し下着を盗んだガチの犯罪者が国政の場で重役ぶってあれこれ差配している恐怖 ●この人と言えばパンツが先に連想されるぐらいの有名人。その知名度もあり、投票する人が多いらしい。 地元有権者にふさわしい、代表と言うべきでしょう。民主主義は、国民の姿を映す鏡。おのが姿を見るがいい。 ●焼肉屋でパンツ盗んだ武勇伝で盛り上がりましたか!楽しそうですね |
さて、話は大きく変わって、あまりにもの普及率の低さから2万円分のマイナポイントがもらえるマイナンバーカードの申込期限が9月末で終了した。
現状のルールでは10月に入ってから作ったカードはポイント付与の対象外となるが、別にポイントなんかいらない人にとっては、マイナンバーカードの申請には当初から興味もなかった人が多かった。
2016年の制度開始以降長らく「低普及率」が話題になっていたのだが、国がなりふり構わずお金をばらまいてカード作りへと誘導するマイナポイント事業により、20年に第1弾が始まる前、カード普及率はわずか17%と「6人に1人しか持っていない」状況だった。それが約1年半の第1弾期間中にカード交付数は3000万枚近く増加し、普及率は40%を超えたという。
仮に今回のマイナポイント第2弾でも同じくらいの上乗せ効果があるとすると今年6月頭の数字は交付枚数5660万枚(普及率45%)なので3000万枚分が加わると8660万枚という数字になり、普及率は68%になるのだという。
ちなみに当然だが普及率の分母は日本の人口約1億2660万人、分子は交付枚数で計算するのだが、総務省も毎月、同じ基準の計算結果の数字を発表している。ただし言葉使いは微妙に異なる。「人口に対する交付枚数率」だ。
お役所が律義に使い分けたがる以上、そこには理由があるものなのだが、手掛かりのヒントが年齢別の普及率にある。
総務省は5歳刻みの年齢層別、男女別の交付実績も発表しているが、「100歳以上男性」の欄を見てみると、その数字なんと「99.1%」。
普通に考えると「100歳以上の男性はほとんどの人がマイナカードを持っているのか!」と驚いてしまうが、さにあらず。分子の交付枚数は死亡者の分も含んだ累計枚数である一方、分母の人口は生存者数。もともと少ない「男性の百寿者」を分母にすると比率が高くでてしまう計算上のトリックなのである。
ということは、近い将来、普及率100%でなくても「ほぼ全員」扱いされる日が来るということになる。
政府はかねて今年度末までのマイナカード普及を目標とし、閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも「令和4年度末までにマイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指す」と書いており、ここでいう「ほぼ全国民」は「ほぼ普及率100%」を意味していないわけだ。
では何%なのか? マイナンバー制度に詳しい野村総合研究所の梅屋真一郎制度戦略研究室長が挙げるのが運転免許証である。
「マイナカードも『成人のうちかなりの人が持つ』免許証と同等程度に浸透すれば十分意味ある普及率」とみるらしい。
したがって16歳以上人口に占める免許証の普及率は約7割なので、マイナポイント第2弾が終了するころにはそのレベルが見えてきつつある。
つまり来年には「ほぼほぼ国民全員に浸透した」前提で物事が加速することが予想され、当面の焦点が健康保険証の機能の付与なのだ。
しかし現実は、 「保険証廃止、24年秋にも 厚労省調整、マイナカード一本化 交付率5割届かず、対応課題」ということらしい。
ところで、根本的な問題なのだが、「なぜ、だれのためのマイナンバーカード」なのかという疑問。
その答えはすでに7年前にあった。
「マイナンバー事業受注の4社 自民に2.4億円献金 09~13年 政官財の癒着浮き彫り」
当時は、「マイナンバーで潤う?! 大企業・官僚・自民党 利権まみれの制度」というマイナンバー自体のいかがわしさを徹底的に解説するサイトも登場していた。
まったく意味がわからない。保険証を廃止しなければならない理由はいったい何なの?もしマイナカード普及のためだとしたら本末転倒も甚だしい。大反対。→保険証廃止、24年秋にも 厚労省調整、マイナカード一本化 交付率5割届かず、対応課題:朝日新聞デジタル https://t.co/05xHbxZx9G
— 想田和弘 新作「精神0」・新刊「なぜ僕は瞑想するのか」「人薬」「下り坂のニッポンの幸福論」 (@KazuhiroSoda) October 9, 2022
なるほどマイナンバーカードは蜜の味。これとて氷山の一角か。 pic.twitter.com/xz3WL2NWPC
— 滑稽新聞 (@akasakaroman) October 10, 2022
やはりマイナンバーの普及実態は、ポイントなどで簡単に増えることはなく、おそらく今後は免許証を返納する高齢者たちの身分証明証代わりになるくらいではないだろうか、とオジサンは思う。