国のトップが緊急事態宣言すれば、当然それに従って与野党問わず、指定された地域の首長も一斉にマニュアルに沿った行動を起こすものだとフツーの国民ならば思うはずである。
そのためには日頃から「危機管理体制」の下、指揮命令系統が明確になっており、かつトップの意向が隅々にまで行き渡るような「信頼関係」が醸成されていなければならない。
こんな「イロハ」のイの字もわかっていなかった「バカ殿」を7年間以上も放置していたためのツケが緊急事態になって国民に回ってきたというのがこの数日間のドタバタ喜劇である。
緊急事態宣言発出にあたり、安倍晋三は8日、官邸で会見を行なった際に、
「最低7割、極力8割、人との接触を減らしていただければ、必ず我々はこの事態を乗り越えることができる、とこう思っております」と、改めて国民に協力を呼びかけていた。
ところが、この発言について囲み取材の記者が同日、自民党の二階俊博幹事長に「自民党内でもそういった動きが今あるか」と質問すると、この土建屋幹事長は、
「人の接触を7割とか8割とか8割5分にするとか、そんなことはできるわけがないじゃないですか」と平然と言い放った。
さらに、安倍晋三は7日の会見で「もはや時間の猶予はないとの結論に至りました」と言いながら、西村康稔経済再生担当相が対象地域となった7都府県知事とのテレビ会議で、休業要請を2週間程度見送るよう打診していたことから、「東京は感染のスピードが速く、待てる状態ではない」と訴えていた小池百合子が、7都府県知事を巻き込んで、休業要請に対して政府に要求していたが、詳細はともかく、休業要請協力金を支払うという独自の取り決めを明らかにしていた。
東京五輪の費用負担問題で「国と都」が醜い押し付け合戦をしていたことを思い出してしまった。
根っこには安倍晋三と小池百合子の覇権争いなのかもしれない。
さて、緊急事態宣言発出後の都心の繁華街を各テレビ局はご丁寧に「自粛状態」を放映し、日本人の従順さを強調していたが、ネット上では相も変わらずの通勤ラッシュがあるという動画が拡散されていた。
その中で、よせばいいのに余計な一言によって多くの批判を集めてしまった輩がいた。
あきらかに「自粛要請」を無視するかのような通勤客を非難するように聞こえてしまう。出勤しちゃうんだ
— Dai Tamesue (為末大) (@daijapan) April 7, 2020
朝の山手線、乗客35%減どまり 接触8割減に現状遠く :日本経済新聞 https://t.co/DpD4VG7nnq
為末大氏の通勤状況に対する「出勤しちゃうんだ」の一言に傷ついた人多いだろうな。この時期好んで電車乗っているとでも思っているんだろうか。この中には医療関係者も居るだろうし、市民の生活支える為に働くスーパーマーケット勤務の人だって居る。今朝電車に乗った私も含め、私たちは犯罪者か?
— 李ひとみ (@hitomi_rome) April 8, 2020
通勤客があまり減らないというニュースを見て「出勤しちゃうんだ」って言うの、腹立つなあ。
— ちえぞう (@chie_zou) April 8, 2020
しちゃうんだじゃねえよ、せざるを得ない職業か、しないとクビになる会社かだよ。
前者を想像できないならただのバカだし、後者なら会社に言うべきだわ。
2018年にアスリートの立場で大会の気温を心配するのは現政権に反対する人たちと重なるとツイートしたが結局気温が大問題に。休業補償が無く嫌々出勤する人たちに出勤しちゃうんだとツイート。コロナ対策を優先すべきなのに呑気に憲法改正の話。為末、もうクイズ番組の珍回答者枠みたいな存在なんだな… pic.twitter.com/nND6EYaGvb
— 豆みつお (@ma_me_mi_tu_o) April 9, 2020
収入がなければ生活できないが、新型コロナ肺炎は運が良ければ罹患しない。だから個人としては出勤するが最適解となる。社会と個人の得が相反している。
— 松浦晋也 (@ShinyaMatsuura) April 9, 2020
無差別大規模な給付で「出勤しないほうが生存に有利」という状況を作り出す必要がある。なんでこんな簡単なことが政府首脳は理解できないのか…… https://t.co/Q2EDgOm2BS
通満員電車に対しては、政府御用達の御用学者を集めた専門家会議ではこんなことを言っていた。
専門家会議、通勤電車は3密ではないとの見解 政府は感染リスクを減らすため、密集・密閉・密接という、3つの「密」を回避するよう国民に求めており、具体例としては、ライブハウスやカラオケ、ナイトクラブが挙げられています。満員の通勤電車はこの条件を満たしそうですが、専門家会議は、電車内では声を出して話す人が少なく、鉄道各社が窓を開けるなどの措置を実施しているため、3条件すべてに該当するわけではないとの立場です。 |
通勤電車の感染リスクどう考えればよい?東京は働く世代の感染者割合高くhttps://t.co/GPwNUnEoZ1 専門家会議、通勤電車は3密ではないとの見解….よくそんな詭弁を言えるものだ。喋る人が少ないから?それなら密談を含めた4密が必須条件だ。こんな屁理屈言わないで、満員電車は危険とはっきり表明せよ
— 丹下段平設計事務所 on ツイッター (@danpei_design) April 9, 2020
つり革に手すり
— ナガレ (@nagare0k) April 9, 2020
衣類接触に濃密な呼吸共有
空気感染も疑われ続けてる中でこの回答
専門家会議ってイエスマン会議じゃないの?
利権への配慮の印象しかない#新型コロナウイルス
通勤電車は3密ではないとの見解https://t.co/vUebY7RAxQ
「3条件すべてに該当するわけではない」ということは、回避するための「三密」が「必要十分条件」であり、逆に言えば一つでも該当しなければ問題なしということであろう。
この見解の出どころは一体誰が言い出したのか明確にしてほしいものだが、残念ながら専門家会議の議事録は公表しないようであり、仮に公表されても黒塗りの「海苔弁」だったり、そうでなければ政府側に都合よく「改竄」されることが目に見えている。
政府が密集・密閉・密接という、3つの「密」を回避するよう国民に求めるならば、その前に「密室」・「密会」・「密談」の「三密」をなくすほうが先であろう。
ところで、こんな記事が話題になっている。
<「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘> 020.4.9 5:25 DIAMOND ONLINE ■緊急事態宣言は効果薄い 対策強化なしでは死者は数十万人にも ――7都府県に緊急事態宣言が出されました。日本政府のこの措置によって、新型コロナウイルスの感染拡大の終息は期待できるのでしょうか。 東京は宣言すべきタイミングから1週間以上遅れてしまいました。この差は大きいです。そして、この緊急事態宣言に効果があるかどうかは疑問です。それは先日話題になったグーグルの位置情報を基にした人の移動データを見れば明らかで、東京は「自粛」といってもほとんど効果がありませんでした。欧米ほど在宅勤務は増えていないし、飲食店には依然として人が集まっています。 これまで日本政府はパニックを抑えるために「今までと変わりはない」ということを強調していたのでしょうが、それは逆効果だったと思います。 日本の現状は手遅れに近い。日本政府は都市封鎖(ロックダウン)は不要と言っていますが、それで「80%の接触減」は不可能です。死者も増えるでしょう。対策を強化しなければ、日本で数十万人の死者が出る可能性もあります。 英国のボリス・ジョンソン首相は短いテレビ演説で、「とにかく家にいてください」と訴えました。NHS(国営医療制度)を守り、国民の命を守るために、危機感の共有とシンプルで強いメッセージが必要だったのです。 それを意識したかどうかは分かりませんが、8日夜の安倍晋三首相の記者会見は、今までになく素晴らしかったと思います。明確なメッセージを伝えることができたのではないでしょうか。 ──都市封鎖(ロックダウン)は必要ないという政府の方針は間違っているのでしょうか。 どうもロックダウンは、「絶対に外出禁止」というイメージがあるようですが、必ずしもそうではありません。国によってさまざまなロックダウンのやり方がありますが、基本は外出の禁止です。 日本は法的に強制的な外出禁止にはできませんが、ロックダウン中の英国も同様に外出禁止を強制することは困難です。罰則といってもそれほど大したことはなく、騒いでいる人がいたら警官が注意をする、それでもひどかったら30ポンドの罰金です。その程度なんです。それでも人々は外に出てはいけないと認識していて、それを守っている。なぜか。みんな危機感を共有しているからです。 重要なのは「社会的隔離をいかに効果的にやるか」ということです。 ロックダウンは経済・社会に大きな影響を与えるものです。そういうことを考えて、ロックダウン的な手法を取ることが難しかったのだと思います。 欧米の例では、最初は社会的隔離をやったが、結局うまくいかずロックダウンせざるを得ないというケースが多いです。 ■大都市でのクラスター対策は破綻「3密」のメッセージは妥当性に疑問 ──政府は2週間後に感染者数をピークアウトさせて、引き続きクラスター対策を強化する方針を掲げています。 現在のような「外出の自粛」をベースとした緊急事態宣言によって、2週間で感染者数がピークアウトするとはとても思えません。2週間後でも感染者数が増え続けている可能性さえあります。 しかし、東京のような大都市ではそれは非常に困難です。「3密」だけではなくドアノブや荷物など、何が経路となって感染が拡大しているか分からないこともあります。 |
渋谷先生、頑張ってますね。公衆衛生の専門家で反対しているのは、彼くらいですね。ちなみに彼は論文業績では公衆衛生の中では圧倒的です。説得力があります。 https://t.co/UrLhjIWwGz
— 上 昌広 (@KamiMasahiro) April 8, 2020
https://t.co/oN9HCiTdwk
— 原口 一博 (@kharaguchi) April 8, 2020
「東京は宣言すべきタイミングから1週間以上遅れてしまいました。この差は大きいです。そして、この緊急事態宣言に効果があるかどうかは疑問です。それは先日話題になったグーグルの位置情報を基にした人の移動データを見れば明らかで、東京は「自粛」といってもほとんど効果
「東京都は1週間遅れた」
— 蓮舫・立憲民主党(りっけん) (@renho_sha) April 9, 2020
3月の三連休前、東京都オリパラ大会の是非が決まる前まで都知事も政府も動きませんでした。
本気で悔やまれます。
渋谷医師の指摘を、ぜひ守ってほしいです。
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師 https://t.co/6qviHSISsu
まさに、冒頭でもつぶやいたが、「まずやることは三つ。一つ目は政府の指揮系統をはっきりとさせる。今は官邸や危機管理室、専門家会合、厚生労働省などバラバラです。二つ目は検査数をしっかりと増やす。三つ目は医療従事者への防護服の配布を徹底して彼らを守ること。医療が崩壊したら日本社会は持たない」、これに尽きるのであろう、とオジサンは思う。