新・定年オジサンのつぶやき

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改めて問う、政治家に品格は不要なのか

2023年11月01日 11時55分29秒 | 岸田文雄

善良な国民からみれば「法務副大臣」ともなれば、少なくとも自分たちよりは法律に詳しい政治家と思いたいものである。
 
 
しかし地元選挙区内で女性の区議候補を支援するあまり、選挙活動に違法性があったことを知らなかったとは許されないことは自明であろう。
 
しかしそんなことが発覚し、国会で質問に対する答弁を指名されていたにもかかわらず、突然法務副大臣を辞任するという、まさに敵前逃亡を図ってしまった。
 
柿沢法務副大臣が辞表提出と首相 江東区長選、ネット広告提案で引責 違法性は否定
 

東京都江東区の木村弥生区長(58)側が4月の区長選の期間中、有料のインターネット広告をユーチューブに掲載したとされる事件で、自民党衆院議員の柿沢未途法務副大臣(52)がネット広告の利用を木村氏側に提案していたことが分かった。東京地検特捜部は公選法違反の疑いがあるとみて木村氏の関係先を家宅捜索し、捜査を進めている。
 柿沢氏は東京15区選出。江東区を地盤としており、区長選では木村氏を支援していた。
 木村氏側によると、有料広告は本人の写真に「木村やよいに投票してください」とのテロップを付けた内容で、告示日から投票前日までのうち5日間掲載された。再生回数は約38万回。費用は約14万円で、木村氏のクレジットカードで支払われていた。
 特捜部は24日、区長室などを家宅捜索。木村氏は26日に記者会見し区長を辞職する意向を明らかにした。区によると、11月15日付で辞職となる。(共同)
  ◇
 岸田首相は参院予算委で、柿沢法務副大臣が辞表を提出したと明らかにした。「任命責任を感じている。誠に遺憾だ」と述べた。

 

 
これでもまだ「適材適所】? 岸田政権の政務三役『1週間で2人辞任』は何を意味しているのか
 
      
              【東京新聞より】
 
東京都江東区の木村弥生区長陣営の公選法違反事件を巡り、柿沢未途法務副大臣が31日、木村氏にインターネットの有料広告を勧めたと認め、辞任した。女性問題で26日に文科政務官を辞めた自民党の山田太郎参院議員に続き、1週間足らずで2人の政務三役が内閣を去る異常事態となった。岸田文雄首相は「国民の信頼を回復できるよう全力で取り組む」と語ったが、昨年に閣僚4人が次々と辞めた「辞任ドミノ」を思い起こさせる状況で、野党は「政策遂行能力がなくなってきたのではないか」と追及を強めた。
◆「えーっ」参院予算委の最中に辞表
 柿沢氏は31日午前9時半過ぎ、参院予算委員会が開かれている最中に辞表を提出した。予算委で事実関係を問われた小泉龍司法相は「まだ私もつまびらかではないが、(辞表を)提出されたと報告を受けている」と答弁。人ごとのような応対に野党議員から「えーっ」とどよめきが起きた。
 予算委では与野党の合意で柿沢氏の出席を要請していたにもかかわらず、法務省の事務方の判断で出席させなかったため、2時間弱にわたり審議は中断した。身内である自民党の末松信介参院予算委員長ですら「勝手な判断を法務省が行い、予算委の運営を妨げ、権威をおとしめた。強く注意を促す」と批判した。
 質問通告していた立憲民主党の杉尾秀哉氏は「質問権が奪われた。柿沢隠しだ」と激しく憤った。首相は「山田文科政務官に続いての辞任について、任命権者としての責任を重く受け止める」と釈明に追われた。
◆「重く受け止めている」言葉が軽い
 首相は9月13日の内閣改造で過去最多に並ぶ女性5人を起用した狙いを「適材適所」と強調。逆に、女性の起用がゼロだった9月15日の副大臣、政務官の人事についても「適材適所」と同じ表現で説明していた。
 山田氏が女性との不適切な関係を報じられて辞任した際には「任命責任を重く受け止めている」と陳謝したばかり。言い回しは今回とほとんど変わらず、言葉の軽さが際立つ。
 2人の辞任は昨年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係の問題で当時の山際大志郎経済再生相や「死刑はんこ」発言の葉梨康弘法相、「政治とカネ」の問題で寺田稔総務相と秋葉賢也復興相の4閣僚が相次いで辞任した状況をほうふつとさせる。内閣支持率が低迷する中、首相は所得税減税を打ち上げて挽回を図ろうとするが、不祥事で国民の政治への信頼をさらに失っている。
 立憲民主党の安住淳国対委員長は「先週は文科政務官の疑惑があり、今回は選挙違反を主導した人が法務副大臣になっていた。しゃれにならない。政策遂行不可能内閣だ」と厳しく指摘した。国民民主党の玉木雄一郎代表も「こうした方が法務行政をつかさどる政務三役に就いていること自体、(首相の)適材適所という説明が崩れている」と批判した。

 
さて、評論家、エッセイストの勢古 浩爾は最近の政治家の言葉の軽さ、使い方を痛烈に批判していた。
 
『不徳の致すところ』「『く受け止める』言えば済むと考える政治家の情けなさ
  
言葉は時代によっても、人によっても、また立場によっても、異なる意味が込められる。最終的に、信用できる言葉と信用できない言葉に大別される。その信用度は、それを口にする人間の普段の言動の信用度にかかわっている。
 日本人は言葉に関しては、世界でも一、二を争うほど繊細で、感覚の微細なちがいをいい表すのに、豊饒な語彙を創造・蓄積してきた。
 言葉に信用を置く人間は、著名人の語録に魅きつけられ、学業や経営や、人生の指針にしようとする。
 しかしもちろん、その対極にこんな人間もいる。
 言葉なんか使い捨てでいい。所詮、自分を飾り、保身のためのものだから、うそをついてもいい。いい人間のふりをすることなど、朝飯前だ。
 自分の言動が非難されても、証拠がなければけっして非を認めず、その場しのぎの、おざなりな言葉でやりすごせばいい。
 こういう思考が支配していると考えられるのが、政治家と官僚の世界である。
■不倫男の決めぜりふが出た!
 自由民主党の山田太郎参議院議員(56)が、20代女性と不倫をしていたことがわかり、かれのHPで謝罪した。
 こんな程度の不祥事はいまさらだれも驚かないが、謝罪の言葉が相変わらずバカであった。
「この度は、私の不徳の致すところにより、大勢の方々に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます」
 出た! 「私の不徳の致すところ」。
 こういうことをしでかした男は、ほぼ全員「私の不徳の致すところ」というのである。
今年の4月、『週刊文春』が、黒岩祐治神奈川県知事の20年前の11年間に及ぶ不倫を報じた。相手の女性に黒岩氏が送った猥褻な下衆メールの内容が、前代未聞の大変なもので、ネットで盛り上がったようである。
 これは黒岩知事の人間的・政治的生命にとって、致命的なスキャンダルではないかと思われたが、どっこいかれは、「11年間にわたって不倫関係にあったのは事実。相手の女性を深く傷つけ、妻を裏切ることとなった。私の不徳のいたすところで、大変申し訳ない」と常套句の羅列で謝罪し、圧倒的な結果で4選を果たしたのである。
 まあこういう場合ほかにいいようもないだろうとは思う。個性なんか出してもしょうがない。ひたすら現在の苦境が過ぎ去っていくのを、頭を低くして待つほかない。
「不徳の致すところ」とは、形式的とはいえ、自分は徳のないバカな男ですと自分で認めているわけなので、どうかこれで許していただきたい、といっているのだ。これは恰好をつけた、便利な言葉である。この言葉には反省のかけらもないのだ。
 山田議員はまた、「妻はこんな私の軽率な行動を許し、やり直そうと言ってくれました。そのような妻に対して生涯をかけて償ってまいります」と、書いている。
 妻には「生涯をかけて償う」。これもまた最近流行りの紋切り型の言葉である。だれひとりも信用するものはいない。いったいどうやって償うのだ?
 しかし山田議員は、文部科学大臣政務官を辞任したことで(ただし議員辞職はしない)、このありふれた騒動は終わったのである。
 と思っていたら、終わってなかった。
■「重く受け止めている」と軽く言う
 岸田文雄首相が、文科政務官を辞任した山田太郎参院議員について「任命責任を重く受け止めている」と釈明したことを、共産党の小池晃書記局長が批判したのである。
「いつも何かある度に任命責任、任命責任とおっしゃるんですけど、口だけじゃないですか」
 これはまったくそのとおりである。
 首相のこの「任命責任を重く受け止めている」という言葉も、いままで何度聞いたことか。歴代首相がことあるごとに「重く受け止めている」と軽くいってきたのである。首相用語集にでも載っているのか。
 わたしはそのつど、みなそういうが、だれも責任をとらんじゃないか、と思った。もしかしたら、まさか「責任はわたしにある」「責任は重く受け止めている」と口に出していうことが、責任をとったことになる、と勘違いしているのではないか。
 小池氏は、山田議員の不倫は金銭の授受があったのなら国会議員失格だとして、予算委員会で追及するという。しかし岸田首相の「責任」追及は、いつまでつまらんことを追及するのだということになり、これで終わりだろう。
■言葉がつまらないことに気づいているから
 政治家の言葉がおもしろくない。国会中継を見る気がしないのはそれもある。
 政治家もそのことには気づいていて、だから内輪の集会などで、笑いをとりたくてつまらないことをいい、逆に舌禍事件を起こしたりするのだ。
 佐竹敬久秋田県知事が、全国知事会で訪れた四国地方の料理について「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたら、じゃこ天です。貧乏くさい」「酒もうまくない」などと発言し、謝罪した。
「貧乏くさい」? 庶民にケンカを売っているのか。
 それで4期16年、よく県知事が務まったものだな。まだ殿様気分なのか。75歳にもなって愚かである。
 自民党の世耕弘成参院幹事長が25日、参議院の代表質問で勇気をもって(?)、岸田首相の政治姿勢についてこのように批判をした(「【参院代表質問】自民・世耕参院幹事長 岸田首相の政治姿勢や経済対策に異例の批判」YouTube 日テレニュース)
 世耕参院幹事長は次々とこのように批判した。
「支持率は低空飛行。こんなに頑張って成果を出しているのに、なぜ評価されないのだろう。これが現在の岸田総理の率直なご心境ではないでしょうか」
「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないということに尽きるのではないでしょうか」
「岸田総理の『決断』と『言葉』について、いくばくかの弱さを感じざるを得ません。世の中に対しても、物価高に対応して総理が何をやろうとしているのか、まったく伝わりませんでした」
これらに対する岸田首相の返答は、ここに書く必要もないほどつまらないものである。岸田首相、打てどまったく響かないのだ。
 ただこれは、岸田首相に味方するのではないが、世耕参院幹事長の批判も、言葉は強いものの、通り一遍で、どんな積極的な答えも望めないものである。
 たとえ、「異次元」どころか、すべてが「低次元」ではないか、といったところで、首相には痛くも痒くもない。
 どうせいうなら、国民に訴えるためには、どんな政策をやればいいのか、リーダーの覚悟とはこういうものではないのか、減税や給付はこうすれば国民に喜ばれるのではないか、など、もっと具体策を押し出すべきだった。
 政治家はエッセイストや評論家じゃないんだから、自分の感想を述べるだけでは、だめである。具体的に、証拠をもって議論しなくては。
 ところが、世耕参院幹事長は岸田首相が激怒していると知り、翌日、岸田派幹部に謝罪したという。なんだ、そんなことなら最初から黙っておけばよかったのだ。

  
「不徳の致すところ」とは、形式的とはいえ、自分は徳のないバカな男ですと自分で認めているわけなので、こんな言葉を軽々に口から出てしまう政治家(屋)に対して「品格」を求めることは、八百屋で魚を求めるようなことなのかもしれない、とオジサンは思う。
    
  
  
【参考】

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