岸田文雄内閣の閣僚の不祥事がなかなか治まらない。
とは言っても、時間が経てば「治まる」ものではないことは今更言うまでもないことだが、そもそも昔から自民党内でよく言われてきた「閣僚起用前の身体検査」ということが、まった形骸化してく無視され続けてきたことが大きな要因であろう。
旧統一協会との癒着に関して身体検査をすれば、あまりにも「不良児」が多すぎて内閣が成立せず、自民党も半壊すると、提灯もちジャーナリストリストがいみじくも語っていたことを思い出す。
もっとも「刑事犯罪ではない」とうそぶいていた更迭された閣僚がいたのだが、残念ながら過去の言動が「違法行為」ではないので、閣僚辞任で表向きは決着している。
しかし同じ閣僚でも、「警官が泥棒してどうする!」という陳腐なことを持ち出すことすら憚れる不祥事が露呈している。
それは、選挙を所管する総務相の公職選挙法違反疑惑である。
これを明らかにしたのがおなじみの「文春砲」であった。
「〈振込明細で発覚〉寺田稔総務相に新たに公選法違反の疑い 衆院選の選挙費用を虚偽記載」
選挙を所管する寺田稔総務相(64)が、昨年の衆院選(10月31日投開票)を巡り、「選挙運動費用収支報告書」に自らが選挙費用を支出していた旨を記載していながら、実際には、自身とは異なる第三者の口座から一部を支出していたことが「週刊文春」の取材でわかった。公職選挙法違反(虚偽記載)の疑いがある。 寺田氏は元財務官僚で、岸田文雄首相率いる宏池会の創設者・池田勇人元首相の孫娘・慶子氏と結婚。今年8月の内閣改造では、首相の右腕として重要閣僚である総務相に起用された。 「週刊文春」は10月6日発売号で、慶子氏が代表の政治団体「以正会」の人件費を巡る“脱税疑惑”を報じた。10月13日発売号では、寺田氏の資産公開法違反(寺田氏は後に資産報告などを訂正)を報道。10月20日発売号では、大臣秘書官・迫田誠氏への取材音声などを基に、秘書らに対する報酬の“上乗せ金”を「以正会」経由で支払っていたことは、源泉徴収を避ける目的があった旨を指摘した(寺田氏は疑惑を否定)。 さらに、10月27日発売号では、関係政治団体の「寺田稔竹原後援会」が故人を会計責任者とし、収支報告を行っていた問題を報道。11月2日発売号では、同後援会が「寺田稔」宛の領収書を受領しており、実質的に寺田事務所と一体となって運営されていた疑いを報じた。11月10日発売号では、領収書の宛名欄の筆跡が酷似しており、寺田氏側で記入していた疑いなどを報じている。 今回、新たに発覚したのは、寺田氏の選挙費用に関する疑惑だ。 「寺田氏の地元は首相と同じ広島。池田行彦氏の死去に伴う2004年の補選で、広島5区から出馬し、初当選しました。ところが、2009年の衆院選では選挙区で落選し、比例での復活もならなかった。2012年の衆院選で国政に復帰し、6回の当選を重ねていますが、盤石の強さを誇っているわけではありません」(政治部デスク) 昨年の衆院選について、寺田氏は当選後、広島県選挙管理委員会に選挙運動費用収支報告書を提出している。選挙運動費用収支報告書とは、候補者本人が集めた収入とそこから使った支出を記載するものだ。収入については、自己資金のほか、政党支部や後援会など第三者からの寄附などがあれば、その旨を記載することになる。 寺田氏の選挙運動費用収支報告書によれば、「収入の部」欄には、自己資金300万円と、寺田氏が代表の政治団体「自由民主党広島県第五選挙区支部」による1200万円の寄附が記載されている。今回の場合、選挙費用はこの1500万円のうちから支出しなければならない。一方で、「支出の部」欄には、寺田氏が支出したとする会場使用代や有料道路代、弁当代など様々な選挙費用が記載されていた。 「週刊文春」は広島県選挙管理委員会に情報公開請求を行い、選挙運動費用収支報告書に添付された領収書や振込明細の写しなどを入手。それらを精査したところ、候補者である寺田氏本人ではなく、「テラダミノルタケハラコウエンカイ」を依頼人とする振込明細が全9枚あることが分かった。振込明細では口座番号が伏せられているが、「お取引店番」などから「寺田稔竹原後援会」の口座である可能性が極めて高い。 選挙費用として「寺田稔竹原後援会」から関係先に振り込まれた金額は総額106万842円に及んでいた。 「寺田稔竹原後援会」については、小誌報道で故人が会計責任者を務めていたことが判明した団体だ。ただ、寺田氏は「私が代表の政治団体でない別団体」と説明してきた。 候補者本人ではなく、後援会が選挙費用を支出する行為について、広島県選挙管理委員会の担当者はこう語る。 「後援会による支出が、候補者個人の支出として記載されることなど想像もつきません。基本的に、選挙運動費用収支報告書は候補者個人の収入と支出を全て記載して提出してもらうもの。後援会などの政治活動にかかった費用とは全くの別物です」 ただ、後援会が選挙のために支出することは法的に不可能ではないという。 「一般的には、後援会から候補者個人に寄附をした上で、候補者がその寄附を原資として支出をすることはあり得ます。また、後援会から事務所などを無償提供された場合は、同報告書の収入欄に『無償提供』として記載する必要があります」(同前) しかし、寺田氏が集めた選挙費用は自己資金と「自由民主党広島県第五選挙区支部」からの計1500万円で、「寺田稔竹原後援会」からの寄附は存在せず、「無償提供」とも記されていない。 しかも、この106万842円について、選挙運動費用収支報告書の「支出の部」欄では、いずれも寺田氏が支出した選挙運動費用として記載されていた。 ■振込明細が“虚偽記載”の証拠に… 例えば、振込明細からは、「テラダミノルタケハラコウエンカイ」が11月5日付で「マツダオートザム竹原」に51万7640円を振り込んでいたことが確認できる。ところが、選挙運動費用収支報告書の「支出の部」欄では、同じく11月5日付で「マツダオートザム竹原」に「レンタカー代」として51万7640円を支出していたことになっていた。 つまり、寺田氏は広島県選挙管理委員会に対し、実際には「寺田稔竹原後援会」が支出していた選挙費用106万842円を、候補者である寺田氏自身が支出していたとする“虚偽報告”を行っていたのだ。 公職選挙法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が指摘する。 「公職選挙法違反の虚偽記載罪に当たり、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金が科せられる。しかも報告書上は、約106万円を寺田氏が支出した形になっていますが、実際には支出していません。後援会が“肩代わり”している以上、その約106万円は寺田氏に残っていることになる。つまり、裏金になっているのです。こうした処理が許されれば、幾らでも“別の財布”から選挙費用を出すことができる上、“自分の財布”に裏金を溜めておくことも可能になってしまいます」 寺田事務所に11月14日朝、事実関係の確認を求めたところ、同日夕、次のように回答した。 「事実確認中です」 政治資金に加え、総務省のトップとして選挙も所管する寺田氏。本来であれば、民主主義の根幹であり、高い透明性が求められる選挙に関する資金について厳しく監督・指導する立場だ。にもかかわらず、自らの選挙において、違法の疑いも強い不透明な資金の流れが発覚した。政治資金の疑惑を巡っても不十分な説明を重ねてきた寺田氏だが、選挙に関する疑惑についてはどのような説明を行うのか、注目される。 |
総務相に昨年衆院選で公選法違反疑い報道
— こたつぬこ🌾野党系政治クラスタ (@sangituyama) November 16, 2022
「政治とカネ」を巡る問題が相次ぐ寺田稔総務相について、週刊文春のニュースサイトは16日、昨年衆院選の選挙運動に関する収支報告書に虚偽記載があり、公選法違反の疑いがあると報じた」
岸田さん今日中に辞任させられるか
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かなり明らかな証拠がそろっているので、傷が深くならないうちにはやく手を打たなければ、またまた国会で「任命責任」をして謝罪させられただけは済みそうもない。
その肝心の岸田文雄なのだが、作家・保阪正康に言わせれば、「保守リベラルを体現してきた派閥『宏池会』に出自を持つ岸田首相には期待してきましたが、現在の政治姿勢には大いに不満」だという。
「昭和史を見つめてきた作家・保阪正康が岸田総理を斬る『宏池会の系譜に学ばぬ首相に失望した』」
さらには、「岸田首相が、安倍・菅政権とは違った自前の世界観、歴史観、政策論争を国民に提起することにも期待をしていました。
しかし、その役割も果たしていない。外交面では宏池会的な平和主義の哲学が見られない。経済にしても、アベノミクスの弊害がいかに国民を窮地に追いやっているかという大局的な流れを見極めて現在に有効な政策を打つという構えがない。
これでは、前政権までの身内で固められた閉鎖的な権力構造を転換して、国際社会で日本の存在感を示すことはできません。」と言う。
そして、「人事も拙劣です。旧統一教会の問題でも、教団に侵食された閣僚の存在が次々指摘されている。政治家の身体検査が不徹底だし、もっと言えば人を見る目がないのではないか。」
「優秀なブレーンがいないということでもあり、政策集団としてブレーンを引きつける魅力がなく、ブレーンをつくる能力もないというこ」
と散々な岸田文雄である。
一方、痛烈な批判しながら「異色の総理」だからこそできることもあります」とわずかな可能性を岸田文雄に期待する真逆の声もあった。
「姜尚中が痛烈批判『岸田総理は、夏目漱石『それから』の主人公と同じ“煮え切らない男”』」
■「政治家らしくない政治家」 岸田さんは、夏目漱石が書いた『それから』という小説の主人公・長井代助とよく似ています。 代助は裕福な家の次男で、働かずに実家の仕送りで暮らしていた「高等遊民」でした。しかも三千代という女性に恋心を抱いていたにもかかわらず、親友の平岡に彼女を譲ってしまうほど意思が弱い人間でした。 この代助と同じように、岸田さんは「煮え切らない男」だと私は思っています。そうした性格ゆえ、岸田さんは「政治家らしくない政治家」だと言っていいでしょう。 本来、政治家というものは明確な「権力の意志」を持つものだと、19世紀ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは述べています。 その点では「日本を取り戻す」と繰り返し「戦後レジームからの脱却」を目指した安倍元総理は、「権力の意志」がはっきりしていました。 ■近衛文麿総理との「危うい共通点」 しかし岸田さんは何をやりたいのか分からない。そして代助が実家の財産で暮らしていたように、岸田さんも安倍政権のレガシーを「遺産管理人」として守っていけば長期政権でいられる、という思惑があったのでしょう。 ところが旧統一教会の問題をはじめ、さまざまな不良債権が入っていたことが判明した。そこから岸田さんの迷走が始まったのです。 岸田さんには政治家としての軸がないため、その時々の状況に流されて「機会主義的」な対応をしています。たとえば旧統一教会問題では、宗教法人の解散請求の要件について「民法の不法行為は入らない」と発言した翌日に、「入りうる」とガラッと答弁を変えたこともありました。しかも堂々と国会で謝罪までした。 与党も野党も驚愕したはずです。それまでの安倍さんや菅さんだったら、木で鼻を括るようにしれっとした対応を貫いたでしょうから。しかし岸田さんは、簡単に態度を変えることができてしまう。 「機会主義的」というのは、ある意味で危険なことです。たとえば戦前の近衛文麿総理は皆から期待されたものの、自分が何をやりたいのか定まらず右往左往した挙げ句、戦争の泥沼に突入していきました。 カラーがなく、摩訶不思議な透明人間のような岸田総理。しかし、そんな「異色の総理」だからこそできることもあります。 それは小泉政権以来続いてきた「分断」を乗り越えることです。たとえば60年安保で国を二分した岸信介さんの後に登場した池田勇人さんのように、バランスを取っていけばいい。 強い権力の意志を持たない岸田さんなら、野党とも妥協点を見出していけるはずです。それこそ一つひとつの政策ごとに、維新の会や共産党と手を結んだっていいでしょう。カリスマではない岸田さんだからこそ、議論を活発化させて国民の関心を政治に向けさせることができると、私は信じたいです。 |
「煮え切らない男」だから「政治家らしくない政治家」であり、「政治家としての軸がないため、その時々の状況に流されて『機会主義的』な対応をしてしまう」岸田文雄。
オジサンは約4か月前に、「昼間の幽霊・昼行燈」の岸田文雄の能力を疑う」というつぶやきの最後でこう結んだ。
「本当に「昼間の幽霊・昼行燈」の岸田文雄には得意技があるのだろうか、なければ日本のお荷物になるだけであろう」
#好きなキャラを弱そうに説明する
— 爾百旧狸 (@zimoguri) May 16, 2018
昼間の幽霊・昼行燈・奉行所の恥でお荷物。ただし宴会の幹事役には定評がある。 pic.twitter.com/3BZCiAKTpm
「強い権力の意志を持たない岸田さんなら、野党とも妥協点を見出していけるはずです。それこそ一つひとつの政策ごとに、維新の会や共産党と手を結んだっていいでしょう。カリスマではない岸田さんだからこそ、議論を活発化させて国民の関心を政治に向けさせることができると、私は信じたいです」と姜尚中は岸田文雄にエールを送っていたが、「政治センスのカケラもない総理大臣って、その存在そのものが迷惑な話」とすでに国民から見放されている岸田文雄に起死回生の道はあるのだろうか、とオジサンは思う。