先週、「権力と対峙する当たり前のメディアと弱者を救う司法」とのつぶやきの中で、12月17日の「報道各社の首相番記者と懇談」には毎日新聞記者は出席していなかったという事実を紹介した。
出席しなかった記者はその懇談の内容は知る由もないのだが、この手の懇談は「オフレコ」で決して記事には出さないという暗黙の前提で安倍晋三が本音を語ることになっているらしい。
ところが、当日出席したある記者がどうやら週刊誌にオフレコの内容をリークしていたらしい。
「100兆円の予算の話をしているのに(桜見会前夜祭の)5000円の話をやるの? 子供のサッカーと同じでボールに集まってるだけなんですよ」と安倍首相。12月17日居酒屋での番記者オフ懇で。懇談は訪印中止を受けて急きょ設定され、毎日新聞、東京新聞を除く全社が参加。会費は4500円だったと(週刊現代)
— 冨永 格(たぬちん) (@tanutinn) December 23, 2019
「毎日新聞、東京新聞を除く全社が参加」ということは、この2社以外の記事には厳しい政権批判がないことに気づきはじめた人がいた。
いまさら、という感もしないではないが、最近のネット上でのマスメディア評価は、最大のリベラル紙と言われてきた朝日新聞の凋落ぶりに対して一層の批判が集まっているようである。毎日新聞と東京新聞を
— さくらでぶ (@sakuradebu123) December 23, 2019
応援しなきゃですね??
安倍総理に怖がられてるんだね??? https://t.co/r3qQ28MbbB
それにしても、オフレコ懇談でしか自分の言葉で話せない国のトップの情けない姿に唖然としてしまう。
そういえば、2週間前の毎日新聞の夕刊、「新たな政界再編必要、真紀子節炸裂 私は『引退する』とは言ってない」で、田中角栄の娘、田中真紀子に、「はぐらかす、ごまかす、強弁する。たちの悪い人。勉強もしていない。権力の頂点に立つと、その人の特性が出ると言うけど、安倍さんは姑息(こそく)な人だと思います」とメッタ切りに遭った安倍晋三。
さらに付け加えるのならば、政権の支持率が低下した時や、重要政策の議論が停滞した時はしばしば野党に責任を転嫁してきた安倍晋三。
「悪夢のような民主党政権」というフレーズは既に消滅している野党の過去の名前であり、それに拘泥するかのように幾度も国会で連呼する様は、聞いている方が安倍晋三に哀れみを感じてしまう。
今月には臨時国会閉幕後の13日に自ら主催した「桜を見る会」を巡り、国会で追及を続けた野党に対して都内の講演で、「政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれた」と、あたかも野党が審議時間を浪費したかのように批判していた。
追及の種をまいたのは己であるにもかかわらず、自分の非を認めようとしない幼少からの安倍晋三の「特性」が出たということであろう。
野党への「責任転嫁作戦」は7月の参院選でも使われ、国会の憲法審査会の議論が進まないことを野党せいだとして、街頭演説では「審議をしない政党を選ぶのか、する政党を選ぶのか」と意味不明の二者択一を訴えていた。
短絡的な本末転倒したことを平気で口から出せるのは安倍晋三固有の能力とでも言えよう。
国民も過半数が改正に反対している憲法をなぜ憲法審査会で議論しなければならないのか、ということが分かっていない。
残念ながら一部の野党議員の中には、正面から堂々と憲法論議をすべきと主張する声もあるが、憲法審査会でも改憲派の与党の委員の数が多く、熟議したとして一方的に採決されてしまうということを忘れている。
忘れてはならないのは、2017年の通常国会で加計学園の獣医学部新設疑惑が問題となり、安倍晋三の「腹心の友」である加計孝太郎に対する利益供与の有無を追及した野党の姿勢を「印象操作」と決め付けていた。
自分に都合が悪い言動を「印象操作」としてあたかも被害者面しながら、野党攻撃では平然と「印象操作」を繰り返す厚顔さ。
そして、今月9日の記者会見では、安倍晋三は国民の政治に対する関心低下の原因を記者から問われ「国会で批判するだけでは関心を喚起するのは難しい」と涼しい顔で答え、暗に責任は政権批判を繰り返す野党にあると主張していた。
ここまでの内容はすでに多くのWeb記事や個人のブログ等でも指摘、批判されていることである。
「「はぐらかす、ごまかす、強弁する。たちの悪い」と田中真紀子にズバリ言われてしまった安倍晋三に対しては、抽象的な正論では「馬耳東風」であり、具体的な「ファクトチェック」をしなければならない。
12月23日付東京新聞の「視点」では、政治部の上野記者が事実を基に安倍晋三の「責任転嫁作戦」を論破していた。
臨時国会の法案審議の経過を調べると、首相の発言は実態を反映していないことが分かる。 臨時国会で内閣が提出し成立した法律16件のうち、15件は立憲民主党や国民主党などを含む衆参の最大野党会派が賛成した。共産党は6件、参院のれいわ新選組も5件に賛成。野党を含む共同提案によって修正したうえで成立した法律も2件あった。野党は反対ばかりしていたわけではない。 一方野党も提案できる議員立法については、衆院では61件うち52件が継続審議にされ、参院では16件中15件が委員会への付託すらされなかった。これらの発議者の代表は、ほとんどが野党議員である。 つまり、内閣提出の多くの法案について野党が審議をした半面、与党は野党が提案した法案の大半で議論に応じなかったことになる。野党に責任を転嫁する首相の批判は、正確さを欠いている。 ・・・中略・・・ 正確な事実に基づかない批判で「敵」を作って分断をあおる手法が世界的に広がっている。首相の言動はこうした風潮と重なって見える。政治不信を解消するため、首相こそ印象操作をやめ、事実に即した議論に立ち戻るべきだ。 |
追及する野党各派は、くれぐれもファクトチェックを忘れずに安倍晋三を追い詰めてもらいたいものである、とオジサンは思う。
【付録】日本のテレビメディアはこんな「お茶目な映像」も流していました。
「平成の歴史的放送事故まとめ」をお楽しみ下さい!!
平成の歴史的放送事故まとめpic.twitter.com/pE9pbha6qw
— 平成を忘れないbot (@HEISEI_love_bot) December 23, 2019