昨日の石破茂の所信表明演説に対しては、こんな酷評があった。
「いい気なものだ、この連中 誤魔化しの石破、ニタニタの岸田、恍惚の菅(日刊ゲンダイ)」
政治とカネの形だけ改革、毎度お馴染みのデタラメ補正、こんなもんでやってるふりの自民党。今だけ金だけ自分だけだから、歴代首相も庶民の怒りや苦しみを尻目にお気楽だ。 ◇ ◇ ◇ 先の衆院選で自公両党が少数与党に転落後、初の本格論戦の場となる臨時国会が28日召集された。29日は石破首相の所信表明演説を実施。「地方創生交付金の倍増」「価格転嫁が困難な中小企業支援、学校給食費支援、厳冬期の灯油支援」など聞こえのいい言葉が並ぶが、論戦の主要テーマはゴマカシとデタラメばかりである。 まず石破政権が初めて策定した総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案だ。29日閣議決定し、来月上旬に国会提出。石破は早期成立に意欲を示すが、財源不足を補うために新たに国債を6兆6900億円増発する方針が判明した。 一般会計の歳出総額は13兆9433億円。今年度の税収の上振れ分3兆8270億円などを充てても賄いきれず、ほぼ半額を赤字国債の追加発行で穴埋め。今年度の国債発行額は当初予算段階の35.4兆円から42兆円台まで膨らむことになる。 石破政権は経済対策の柱に能登半島の復旧・復興支援を掲げる。M7.6を観測した元日の巨大地震以来、政府は繰り返し今年度の予備費を小出しに削り、震災対応に充ててきた。発生から間もなく1年。ようやく災害対策に特化した補正予算案が組まれるわけだ。 能登では26日にも最大震度5弱の地震が発生。余震が続く中、9月には記録的大雨にも見舞われた。遅きに失した感は大いにあるものの、今なお以前の暮らしを取り戻せない被災地の多くの人々に広く補正予算が行き渡るのであれば、国債増発も「やむなし」という気にもなる。 しかし、そんな期待を世紀の変節漢率いる現政権は平然と裏切るのだ。 ■「柱」の能登復旧予算は全体の3%未満 能登半島地震や奥能登豪雨の復旧・復興支援の費用として、国交省が補正予算案に計上する額は3704億円。歳出総額の2.65%に過ぎず、スズメの涙にも満たない。 補正予算は本来、緊急性の高い事業に充てるものだ。被災地支援はまさに「待ったなし」。昨年度予算分も含めた予備費から7回に分け、計7150億円を復旧・復興に費やしてきたとはいえ、「柱」と言うには金額があまりにも細すぎやしないか。 そのクセ、総合経済対策のメニューには創薬支援や公共サービスのデジタル化、コンテンツ産業の振興など、本来なら当初予算で計上するような不要不急の事業もてんこ盛り。補正予算案の半導体産業への支援額は度肝を抜く。昨年度の補正予算に続き、1.5兆円規模を維持し、とりわけ次世代半導体の国産化を目指す企業「ラピダス」には新たに8000億円規模の支援を盛り込む。能登支援の実に2倍以上である。 ラピダスにはトヨタ自動車やソニー、ソフトバンクなど大手8社が出資。輝いていた「日の丸半導体」の過去の栄光よ再びとばかりに、政府が巨費を投じてクビを突っ込む意義はあるのか。いずれにせよ、緊急性に欠けるのは明白だ。必要火急なのは「産業のコメ」といわれる半導体ではなく、肥沃な土地で知られる「能登のコメ」栽培への支援だろう。 こんなデタラメがまかり通るのも、石破のせいだ。衆院選公示日の第一声で「昨年(13.2兆円)を上回る大きな補正予算を」と“公約”した手前、各省庁は規模ありきで鉛筆ナメナメ。後回しでも支障のない事業までエイヤッと積み上げまくった結果である。 思い付きで中身なし。毎度お馴染みのデタラメ補正だが、さらに今回は裏金事件から目をそらすため、あわよくば来夏の参院選での支持獲得のため「規模ありき」を最優先。ヨコシマな思惑が一段と透けて見える。 ■カネで政策を歪める自民のアイデンティティー 石破自民の「党利党略」のために国の借金をいたずらに増やし、次世代にツケを回すなんて冗談ではない。当然、石破たちも身を切るべきだが、「政治とカネ」の改革は形だけ。自分たちの資金源の死守に躍起である。 いい例が、年間10億円も党幹部に支給されながら使途報告不要の合法的裏金である「政策活動費」の廃止方針だ。「廃止」といっても支出先を議員個人ではなく、主に政党支部に変えるだけ。支出自体をなくすわけではない。しかも新設する第三者機関のチェックを経た上で、プライバシーや外交上の秘密を含む支出は「公表方法を工夫する」という。今から支出先などの黒塗りを前提にするような自民党案は新たなブラックボックスを生むだけである。 派閥裏金事件の温床となった政治資金パーティーに関しても、自民は企業・団体のパー券購入禁止には後ろ向き。企業・団体献金の禁止に至ってはハナからスルー。皆が皆「個人献金は善、企業・団体献金は悪という立場を取らない」と完全に開き直っている。 こんなもんで年内に「政治とカネ」の問題の決着を図り、名ばかり改革で「やってるふり」をされたらたまらない。 「企業・団体献金の最大の問題は、政財界の癒着につながり、カネで政策が歪められかねないこと。裏を返せば、カネ次第で政策を歪めてしまうことこそが、自民党の存立基盤であり、権力維持の手段なのです」と喝破するのは立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)だ。こう続ける。 「企業・団体献金を温存しなければ、党としての存在意義が失われる。政財官の癒着構造の中でしか存在価値を見いだせないのが、自民党なのです。でなければ、1994年の『平成の政治改革』で税金を原資とする政党交付金の導入に伴い、いったんは企業・団体献金の廃止を決めながら、30年間も放置することなどできません。癒着ありきのアイデンティティーを守るためなら、恥も外聞も度外視。自民党とは究極の利己主義集団なのです」 ■来夏の参院選も利己主義集団に鉄槌を 自民の連中は今だけカネだけ自分だけ。常に自分たちの目先の利益だけを最優先に追求する。石破だって例外ではない。少数与党の厳しい政権運営に加え、長く「党内野党」だった立場を払拭するためなら何でもやる。 28日は議員会館の岸田前首相の事務所を訪ね、約40分間、政権運営を巡って岸田と意見交換した。岸田は米大統領選でトランプ氏が当選したことを受け、中国が焦りを見せているとの見解を示し、「それを利用すればいい」とアドバイスしたという。 すっかり「外交の岸田」気取りだが、衆院選の自民惨敗は解散直前まで総理を務めた岸田に大半の責任がある。石破も本音は「何サマ」だろうが、今は政権基盤の安定という自分の利益が最優先。だから岸田もお気楽だ。党内に「資産運用立国議連」なる新たな議員連盟を立ち上げ、会長に納まった。26日には議連の提言を持ち、首相官邸を訪れて石破と面会。提言を渡す際のニタニタ顔ったらなかった。 ほうけた表情しか話題にならない恍惚の菅元首相が党副総裁に納まっていられるのも同じ理由だ。党内基盤の弱い石破が政権安定という自己利益のため、後ろ盾として菅を頼っているだけである。 「補正予算案は借金ずくめで後世への視線に欠け、能登の被災者にも寄り添わない。衆院選で自民の『政治とカネ』に民意がノーを突きつけた以上、もっと謙虚になるべきなのにそれもない。物価高騰に息が詰まるような国民生活を尻目にいい気なものですが、それを許すのは国民民主党の野党離れ。『103万円の壁』の引き上げをチラつかせただけで、向こうから勝手に近づいてくるのですから、ちょろいものです」(政治評論家・本澤二郎氏) かくなるうえは、庶民が来夏の参院選で再び怒りや苦しみをぶつけるしかない。衆参ともに自公を過半数割れに追い込まなければ、利己主義がはびこる政界の景色は変わらない。 |
石破首相の所信表明演説に対する本音の酷評など・・・
れいわ・山本太郎代表 石破首相の所信表明演説を酷評
— デイリースポーツ (@Daily_Online) November 29, 2024
「ゴミみたいな内容でした」 https://t.co/X0pfmTq4mJ
#れいわ新選組 #山本太郎 #石破首相 #所信表明演説
石破総理の所信表明演説。初めから最後まで官僚の作文の朗読。顔も上げない。情熱も危機感も伝わってこない。石破総理が何をやりたいのか、何をやるつもりなのか、これではさっぱり分からない。この12年間のやってるふり政治の単なる延長ということだけが確認できた。自民党は誰がやっても変わらない。
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) November 29, 2024
石破首相所信表明に対する田村智子委員長のダメ出しがその通りすぎだったhttps://t.co/cNvi2z3Cj9 pic.twitter.com/IiXWNR9xGN
— 𝐄𝐌𝐈𝐋~噴き上がってる人~ (@emil418) November 29, 2024
そして、返す刀で最早「第二自民党」気分の玉木雄一郎の変節発言に対しては・・・・
共産党が裏金問題や2000万円問題を発覚させて棚ボタで国民民主の票が増えただけなのに、我々のやったことは「世界的にも画期的」と自画自賛する玉木、こいつやっぱり何か変だな、ちょっとヤバいよ#primenews pic.twitter.com/z4D5n86FMX
— 125 (@siroiwannko1) November 28, 2024
国民民主党さんwwwww
— 国賊討伐! 統一教会と竹中平蔵の犬、自民党を日本から叩き出せ!! (@CRNK_HZ) November 28, 2024
小さな政党なのに立憲民主党の4倍近くも企業団体献金を貰っているとは一体どういうことなのでしょうか?☺️ pic.twitter.com/Ejge1FD4fg
玉木代表「本当は給付付き税額控除が私はベストの政策だと思っている」
— きみ (@kimixasleep) November 29, 2024
ほら、予想通りついに「消費税減税」とは言わなくなった。
国民民主玉木代表「103万円の壁」の次は「給付付き税額控除」を要求(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) https://t.co/aRGf8lhURk
調子乗ってるとしか思えない。
— 菱山南帆子 (@nahokohishiyama) November 28, 2024
能登地震を見てもわかるように地震大国に原発がどれだけ危険か。
もしも珠洲に原発ができてたら更に大惨事になっていた。
市民運動の力で建設は阻止されたが。
国民民主党・玉木代表が石破総理に原発新増設など提言 | TBS NEWS DIG https://t.co/lz2lz5Yf4D
さて、歴史を学ばない日本の政治家連中に対しては、この御仁が痛烈に批判していた。
[本澤二郎の「日本の風景」(5360)]
<300万の死と歴史の正当化=神道・靖国神社遊就館の闇> 昨日の石破茂の施政方針演説に石橋湛山が飛び出した。彼こそは平和主義外交の第一人者として、宇都宮徳馬らと計って日中間の正常化を掲げて内閣を組織したが、不幸にして健康がそれを許さなかった。石破から平和外交を打ち出すのかと期待したが、それはなかった。神道・日本会議の極右の壁が許さなかったのだろう。 それよりも、日本のアジア外交の基本は歴史認識にある。80年前の不幸な近現代史を否定し、それを正当化するA級戦犯の岸信介を源流とする神道・日本会議の暗躍によって、いまだに300万人の死者を合祀するという靖国の参拝問題が、侵略戦争の残滓として現在も引きずって人々の感情を逆なでにして国際間の政治問題化させている。 11月24日世界遺産「佐渡島の金山」の労働者追悼式典において日本政府代表が靖国参拝をしていたとする報道に反発した韓国政府が欠席し、日韓関係が揺れた。また靖国神社の石柱にスプレーをかけた中国人の若者は、法廷で「311東電フクシマの汚染水垂れ流しに対する抗議」と証言し、日中間の歴史認識の厳しさを改めて印象付けた。元凶は日本の不可解な近現代史を教えない戦後教育と、依然として靖国の皇国史観に起因する。靖国の遊就館は日本軍国主義を正当化して反省のかけらもない。日本国民からすると、300万の死に対して反省も謝罪もしていない戦争神社であり続けている。侵略を正当化する首相以下閣僚や国会議員が参拝して、アジア諸国民の怒りを買っている。これは憲法の政教分離違反である。 国際社会で認知されていない靖国の闇は、戦後の80年もの間、不気味に存在し続けている。ひとえに日本政府の責任である。これらの非を報道しない無様な言論界にも重い責任があろう。 <歴史認識の落差と近現代史蓋して教えない戦後教育> 靖国参拝派というと、岸の流れをくむ清和会派閥。森喜朗・小泉純一郎・安倍晋三ら自民党極右の面々だが、闇献金事件の表面化で崩壊の危機にある。安倍は銃弾に倒れ、森は五輪疑惑など犯罪まみれ。笹川ギャンブル財団の保護下にあると見られている。 清和会を支えてきた読売グループのドンも寝たきり状態で、動きは止まっている。戦後80年にしてようやく日本政治も正常化に向かう時だが、それでも学校で史実を教えないようにしている。日本国憲法の平和主義のすばらしさを教えない異様な日本である。 政治屋の靖国参拝は、すべてではないが毎年繰り広げられている。結果、日本は国際的な孤児なのだ。回避しようとしてワシントンに媚を売ることになる。海外で胸を張れる日本人は少ない。 <南京を知らない極右政治屋の大虐殺否定> 日本はアジア諸国に対しては、加害者である。反省をしないで開き直る日本人を尊敬しない。経済的利害による薄っぺらな関係である。 近年まで安倍や小泉を含め、自民党議員は日本軍による大虐殺の地・南京を訪問しないものだから知らない。現地に立とうとしない。盧溝橋の抗日戦争記念館は北京市内にあるが、それでも彼らは、台湾に飛び込んでも中国にはいかない政治屋ばかりだ。 「角栄の薫陶を受けた」と吹聴する石破茂が、南京や盧溝橋・ハルビンに行ったと聞いたことがない。名古屋市長から国会議員にえらばれた河村たかしは、急ぎ南京と盧溝橋に行くべきだ。 <南京と盧溝橋への平和行脚に涙した日本人女性> 初めて南京を訪問し、そこで大虐殺記念館を訪問した時の驚きようはなかった。帰国して直ちに恩師の宇都宮徳馬の門をたたいた。「急いで月刊誌・軍縮問題資料に書きなさい」といわれ、活字に残した。現地の旅行ガイドが「日本人は行きたがらない」と説明された時も衝撃だった。 中国の主だった観光地巡りをする機会を利用して「ここでの日本軍の加害を教えてほしい」と要請してばかりしているうちに、中国観光局の友人に嫌われてしまった。 何度も学生や市民を集めて訪中団を編成し、南京や盧溝橋を歩いた。女性の大半は涙を流した。ヒロヒトの軍隊の暴走は筆舌に尽くしがたい。 戦後50年の1970年に敢行した南京・盧溝橋の旅は参加者50人。医師や大学教授、自民党秘書、家庭の主婦、労組幹部、学生らとの「平和の旅」は、生涯忘れられない思い出となった。 <現地を歩いて「これで安心して生徒に教えられる」と高校教師> 感動したことの一つは、千葉県の若い高校の歴史教師からの便りだった。彼は教えられない近現代史を生徒に教えるという責任を負っていた。どう教えるか?全くわからない。 彼は大虐殺記念館と抗日記念館での証拠物件の数々を、自身の目で確かめた。南京では加害者と被害者の交流を、目と鼻の先でも確かめた。人民日報編集長は「私の家族や親類から7人の犠牲者が出た。皆さんの真摯な振る舞いに感動して初めて披露します」という話に涙するものもいた。 歴史認識を共有すると、人間はお互い信頼する関係が生まれる。 <忘れられない李克強の遺言> 「中国でも近現代史を知らない若者がいます。これを克服する教育をしています。同じように日本でも近現代史を学校で教えてもらいたい」とは中国の政治指導者として活躍した李克強が、中国共産主義青年団の書記のころ、単独会見した時の切なる日本への要望だった。「嫌なことは忘れろ」が日本人の悪しき文化だ。 日本は近現代史に蓋をして教えない。知らない日本人の右傾化した人物が、右傾化言論界に巣食って危うい記事を載せている。最近のYouTubeには、石原慎太郎レベルのものが少なくない。その悪しき情報を鵜呑みにする若者が、アジア諸国民との関係を悪化させる。 中国人は学校で、家庭で、社会で近現代史を学ぶ。訪日して神社観光で勉強している若者たちも。中には靖国の歴史館を見学する。腰を抜かすものも少なくない。中国にはたくさんのテレビチャンネルがある。日本軍の暴走を取り上げた映画が、毎日のように放映される。筆者でも日章旗が飛び出す場面は目を伏せたくなる。靖国は彼らにとって今も戦争神社に違いない。 日中関係の火花は、石原と当時の首相・野田佳彦の談合による尖閣の一方的な国有化にある。松下政経塾の野田と安倍・清和会は同じ穴のムジナ。日本国民は複眼的思考の人間にならないと、政治の真相である神社・日本会議の野望を見逃しかねない。 歴史を知らないと現在・未来にわたって盲目。盲目人間は歴史を繰り返す!ヒロシマ・ナガサキからフクシマ。いずれ第二第三のフクシマの日本か! 2024年11月30日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員) |
すでにこんな危機感を持っている人もいる。
「見てみないフリをする人々。日本崩壊を示す兆候はすでに噴出している【適菜収」
024年の年末、気が付いたら日本は貧しい国になっていた。道徳も破壊された。街は暗くなり、カスタマーサービスの電話はどこの会社もなかなかつながらない。マイナ保険証、インボイスの導入……どんどん不便な国になる一方、底が抜けた連中が暴走を続けている。新刊『自民党の大罪』(祥伝社新書)で平成元年以降、30年以上かけて、自民党が腐っていった過程を描写した適菜氏の「だから何度も言ったのに」第76回。 ■予知はできないが警戒はできる 地震の後に、「そういえば、前日の空の色が変だった」「見たこともない形の雲が出ていた」「井戸の水が濁っていた」といった声が出ることがある。他にも、地盤の隆起や沈降、海面の変動、温泉の枯渇や異常湧出、温度変化、地鳴りなどもある。ナマズやネズミなど、動物が異常行動を示すという話もある。 現在の科学技術では、地震の発生時期、場所、規模を正確に予測することはできない。それでも注意深く前兆を観測することにより、準備、警戒することはできる。 * これは自然災害に限った話ではない。たとえば、恋人と別れてしまった後で、「あのときの一言はそういう意味だったのか」と後から気づくこともある。 * 後悔先に立たず。兆候はたくさんあったのに、そしてそれを肌で感じていたにもかかわらず、具体的に対応しなかった結果、ひどい目に遭ったりする。自業自得と切り捨てるのは簡単だが、「なんか変だよな」と思いつつ、日々の生活に追われるのが人間でもある。 * わが国は崩壊のカウントダウンに入っている。そしてそれは百の兆候に表れている。 * 別に大げさな話をしているわけではない。 これまで何度も書いてきたことなので、手短に示すが、三つのメルクマールがある。 一つは2015年の安保法制の際、国を運営する手続が破壊されたことだ。安倍晋三は、お仲間を集めて有識者懇談会をつくり、そこで集団的自衛権を行使できるようにお膳立てをしてもらってから閣議決定し、嘘とデマを社会に投下し、法制局長官の首をすげ替え、アメリカで勝手に約束してきて、最後に国会に諮り、強行採決した。さらには首相補佐官の礒崎陽輔が「法的安定性は関係ない」と言い出した。発言を撤回したとはいえ、これは近代国家としての建前をかなぐり捨てたということである。 二つ目は、安倍政権下で省庁をまたがる大規模な不正が発覚し、責任がうやむやになっていることだ。財務省の公文書改竄、防衛省の日報隠蔽、厚生労働省のデータ捏造、法務省のデータごまかし、国土交通省の基幹統計の書き換え……。国の信頼は完全に破壊された。 三つ目は、2017年、防衛相の稲田朋美が、「(南スーダンの戦闘で)事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法九条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、(日報で)武力衝突という言葉を使っている」と発言したことだ。要するに国が憲法を無視していることを公言したわけだ。 * これを正常な近代国家と考えるのは無理がある。 * 今、社会が疲れ果てている。多くの人がうんざりし、面倒になり、黙り込んでしまう。 その隙を狙って、いかがわしい連中がラストスパークをかけてきた。 ■百の兆候 今、目の前で何が発生しているのか。 兵庫知事選の斎藤元彦問題、東京都知事選の石丸伸二問題、大阪の維新問題も、根の部分ではつながっている。直接民意が反映される場所が狙い撃ちにされている。 * 兆候はすでに見えていた。統一教会問題、裏金問題、機密費流用問題、政治家と反社のつながり、新型コロナの対応、政商による中抜き、ネトウヨ・ビジウヨの跋扈、オリンピック利権、ポスター塗りつぶし、下半身露出、盗作、主権放棄、地位協定の維持、全方位売国、手かざし、マルチ商法、部落差別、イスラムを冒涜、マネーロンダリング、ストーカー事件、サクラの動員、児童買春、組織的なプロパガンダ(Dappi事件)、黒瀬深事件、都構想という中の大阪市解体、沖縄切り捨て、アイヌ差別、核共有、リコール詐欺、いじめ、パワハラ、セクハラ、松本人志問題、人権侵害、言論統制、対立候補を再選させるための出馬……。ちょっと目についただけでも、腐敗は極限に達しているように見える。 * プロイセン王国出身の哲学者・古典文献学者のフリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェは言う。 《私の物語るのは、次の二世紀の歴史である。私は、来たるべきものを、もはや別様には来たりえないものを、すなわちニヒリズムの到来を書きしるす。この歴史はいまではすでに物語られうる。なぜなら、必然性自身がここでははたらきだしているからである。この未来はすでに百の兆候のうちにあらわれており、この運命はいたるところでおのれを告示している》(『権力への意志』) * この時評を始めて、来年で5年目に入るが、続けてきた理由は「大多数向け」ではない小さな話題(ニュース)を拾うためだ。一見、どうでもいいような話でも、後から振り返ったときに、重要な兆候だったというケースもある。ジグソーパズルのピースが当てはまるように。 * 歴史を都合よく修正・改竄する人々がいる。そして悪事が失敗しても、ほとぼりが冷めるのを待ち、世の中が忘れたころに再び動き出す。それに対抗するためには、記録し、蒸し返し、同じ批判を繰り返さなければならない。 * 先日、SNSで拡散されている動画で「NHKから国民を守る党」の立花孝志がこう言っていた。 《バカな人たちをどうやって上手く利用するか。それはホリエモンがそういうことを言っている。最近、俺もそうやなと思ってね。だから、まあイヌとかネコと一緒なんよ》 三島由紀夫は《 日本人は豚になる》と言ったが、イヌになったのかもしれない。 この30年にわたり、マーケティングとプロパガンダの手法により、訓育、調教されてきた結果が現在だ。われわれは現在、その報いを受けている。 文:適菜収 |
そのような報いのおかげで、国民は「世紀の変節漢」と言われている破茂内閣に当分は振り回されることになるのだろう、とオジサンは思う。