昨年の12月頃、「休眠預金はどこへ行く?」とのつぶやきの中で毎年700億円規模で発生している「休眠預金」について、「現場視点で休眠預金を考える会 情報サイト」の指摘する以下の要望をを紹介した。
①小中規模団体や当事者団体に適した評価方法を検討すること
②少数者の多様で複雑なニーズや課題を対象とした事業評価は、専門家などの協力を得て行なうこと
③助成終了時における事業評価は、アウトプット評価を基本とすること
④地道な活動や当事者性の強い活動の中にも、正当な「成果」を見出すこと
その後、NPO法人の代表理事として賛同者に加わり、先日、このようなメールが届いた。
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こんにちは、「考える会」呼びかけ人・世話人一同です。
昨年は私たちの意見書にご賛同いただきありがとうございました。
その後、あまり皆さんに状況の報告ができていませんでしたが、
ご存じの通り、先日1月11日、制度の要となる「指定活用団体」が
内閣府より発表されました。
https://www5.cao.go.jp/kyumin_yokin/katsuyou/katsuyou_index.html
応募があった4団体のうち、指定されたのは「一般財団法人日本民間公益活動連携機JANPIA)」、経団連を中心に設立された団体です。
JANPIAのプレゼンテーション資料を確認すると、資金の配分構成(ポートフォリオ)
は以下のように記載されており、これは、私たちの意見書における主張が相当程度に
反映された成果と言え、賛同してくださった皆さんのおかげと考えています。
(1)草の根活動支援プログラム:20億
(2)新規企画支援プログラム:5億
(3)ソーシャルビジネス形成支援プログラム:3億
(4)緊急災害支援プログラム:3億
(5)基盤強化支援プログラム(研修・伴走支援):0.5億
ただし、同時に資金分配団体の評価の視点には「課題の解決」や「革新性」など
の言葉も並び、ここで書かれた「草の根活動」が、私たちのイメージするNPOや
市民活動と、どの程度共有されたものかは不明です。
引き続き、指定活用団体と現場NPOの皆さん、そして社会の中で
様々な立場の人々との対話が広がっていくことを、私たちは願っています。
こんにちは、「考える会」呼びかけ人・世話人一同です。
昨年は私たちの意見書にご賛同いただきありがとうございました。
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迂闊にも、ひと月前にはこんな記事が出ていたが、読んだ読者からはいくつかのコメントがついていた。
「休眠預金活用の司令塔決まる 経団連主導で設立の団体に」
休眠預金活用の仕組みが固まる。休眠預金は年間700億円位あるそうで、30億円をNPOなどへの助成に向ける。さて、残りの670億は?https://t.co/ntKxddNXol
— Y.Shimizu (@Saisyoh) 2019年1月11日
司令塔はともかく、どこにどれほど助成されるかのほうが問題だ。
— ヤヤー (@yaya_weedflower) 2019年1月11日
その団体が本当に相応しいのかどうか判断する基準も同時に示して頂きたい。
ゆめゆめ2億もプールしている団体などに渡らぬように。
休眠預金活用の司令塔決まる 経団連主導で設立の団体に:朝日新聞デジタル https://t.co/lAHfiErFLz pic.twitter.com/bT6ADw16Ne
「資金分配団体の評価の視点には『課題の解決』や『革新性』などの言葉も並び、ここで書かれた『草の根活動』が、私たちのイメージするNPOや市民活動と、どの程度共有されたものかは不明」という点が気になった。
そこで、より評価が高い民間主導の団体ではない経団連主導の資金分配団体である一般財団法人「日本民間公益活動連携機構」がどのような人から構成されているのか、「役員及び評議員一覧」を調べてみた。
【一般財団法人日本民間公益活動連携機構・役員及び評議員一覧】
<役 員>
代表理事(非常勤) 二宮 雅也 損害保険ジャパン日本興亜株式会社会長
理 事(非常勤) 逢見 直人 連合会長代行
理 事(常 勤) 柴田 雅人 社団法人国民健康保険中央会理事長兼社団法人全国保健センター連合会副会長
監 事(非常勤) 土岐 敦司 弁護士
監 事(非常勤) 柳澤 義一 公認会計士・税理士
<評議委員>
麻 生 渡 通産省出身で、元福岡県知事で第10代全国知事会会長。旭日大綬章受賞した79歳。
伊藤 一郎 日本商工会議所特別顧問(旭化成取締役会長)
川北 秀人 IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者
久保田 政一 日本経済団体連合会の事務総長
横尾 敬介 みずほ証券顧問
相原 康伸 日本労働組合総連合会事務局長
岩本 秀治 全銀協副会長兼専務理事
野村 浩子 ジャーナリスト・淑徳大学教授
日比谷 潤子 国際基督教大学学長
「経団連主導」ながらも、大企業の会長クラスが名を連ねているわけではなさそうで、労働組合ナショナルセンターの連合や弁護士、公認会計士が役員となっているが、実務部隊の評議員は、元官僚や政治家、経団連事務総長、連合の事務局長、全銀協専務理事が中核を成しており、どこから見ても「草の根活動」に「20億円」を配分するメンバーかと思えば甚だ疑問である。
この司令塔である「一般財団法人日本民間公益活動連携機構」が作成し内閣府に提出したプレゼン資料を全て読み解く力はオジサンにはないのだが、少なくとも、「役員及び評議委員の年間報酬見込み金額」を見る限りでは、常勤理事が年収1000万円、理事会並びに評議員会への出席が1回あたり3万円で、役員だけの年間支出が総額ザット1231万円、そして職員らの年間給与総額も1447万円、合計2678万円の人件費は、もちろん大企業から比べれば比較にはならない額であろう。
しかし年間700億円もの金を手に入れた組織が、そのうち僅か30億円足らずを民間に分け与えるのだが、残りの約670億円は一体どこに行くのであろうか、その行き先の方が気がかりである、とオジサンは思う。