自民党の総裁選で岸田文雄が「目玉政策」をいくつかぶち上げていたが、どうやらあるお方に「大目玉を食らった」のか、日毎に尻すぼみになり、ついには安倍晋三の影がますます色濃くなってきたようである。
岸田政権は「所得倍増」をひっこめた、「金融所得課税見直し」もひっこめた。菅政権との違いは、出来るかどうかわからない「税制による企業の賃上げ」だけ。なんか変わるの?これ。
— 毛ば部とる子 (@kaori_sakai) October 11, 2021
自民党の選挙公約の策定責任者の高市早苗政調会長の先日のNHK日曜討論会での発言を再掲しておく。
田村智子政策委員長
— EMIL #比例は日本共産党 (@emil418) October 10, 2021
「国会で議論をしてから総選挙をやるのが当たり前で公約に盛り込んだから大丈夫というのはあまりにも無責任」
高市早苗政調会長
「国会で議論しても全ての方が見てらっしゃるわけじゃございません」
耳を疑った#日曜討論 pic.twitter.com/mcVp99HjyR
「『選択的夫婦別姓』衆院選の対立軸に 自民党の公約に言葉なく 金融所得課税強化も盛られず」
【東京新聞より】
◆論点整理、公約で抜け落ち 自民党公約は岸田文雄首相が訴える「新しい資本主義」実現など8本柱。重視する項目を並べた政策パンフレットには「多様性」の文言がなく、多様性に関する部分は別にまとめた「政策バンク」に収容した。 「多様性・共生社会」の項目に盛り込まれたのは、司法判断を踏まえ「氏を改めることによる不利益に関する国民の声や時代の変化を受け止め、その不利益をさらに解消」という内容。この表現には、旧姓の通称使用拡大も含むと解釈できる。 党の作業部会は6月、結論を先送りしつつも「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方について、さらなる検討を進める」という論点整理を出しているが、公約では抜け落ちた。 ◆高市政調会長「後退ではない」と主張 公約策定責任者の高市早苗政調会長は夫婦別姓について「子どもの氏の安定性が損なわれる」と主張する反対派として知られる。記者会見で「公約は(作業部会の)論点整理がベース。党内にも国民にもさまざまな議論があり、後退では決してない」と主張した。 立民は大半の女性が結婚を機に改姓を強いられる現状を「差別的だ」と指摘。枝野代表は11日の衆院代表質問で、法制審議会が20年以上前から導入を提言しているとして、首相に「決断と実行」を迫った。 ◆金融所得課税 立民との違い鮮明に 首相が総裁選で言及していた金融所得課税強化も自民党公約には盛られず、公約に明記する立民との対立軸が鮮明になった。 |
自民党が、「選択的夫婦別姓制度」について、「夫婦の氏に関する制度のあり方について検討をすすめる」という文言をマニフェストから消した!!導入するとかじゃなくて、検討や議論さえ、慎重派を気にしてできないってやばくないですか?????驚きをかくせません。。 https://t.co/JqDY4HBYUP
— たかまつなな/時事YouTuber (@nanatakamatsu) October 12, 2021
岸田首相
— Shin Hori (@ShinHori1) October 12, 2021
10月8日「分配なくして成長なし」
→10月11日「成長なくして分配なし」 pic.twitter.com/s7pMCeYhYY
昨夜の『報道1930』、岸田総理はアベノミクスの3本の矢は継続、その上で分配も、ということなら安倍政権後半の新3本の矢の時代と何が違うのだろう。「成長と分配の好循環」も安倍政権時代のフレーズ。金融所得課税も後退、結局はこれまでとほとんど変わらないのか、今後もちゃんと見ていく必要がある。
— 松原耕二 (@matsubarakoji) October 12, 2021
かつて「息を吐くように嘘をつく」と言われてきた安倍晋三は、「断言」したことを簡単に覆す「前科」があることは有名である。
例えば、消費税が8%の頃、当初は15年10月とされていた10%への引き上げ時期は14年11月に延期が発表され、その際、安倍晋三は「再び延期することはない」ことを「断言いたします」と会見で明言していたにもかかわらず、2016年6月1日夕方、首相官邸で会見し、17年4月に予定されていた消費税率10%引き上げの時期をさらに2年半延期し、19年10月にする意向を表明した。
「安倍首相『お約束と異なる新しい判断』 あの消費増税『断言』の限りない軽さ」
「『公約違反』の批判真摯に受け止める」 安倍首相は14年11月18日、当初は15年10月だとされていた税率引き上げの時期を1年半先送りすることを記者会見で発表した。会見では、安倍首相は 「来年(15年)10月の引き上げを18か月延期し、そして18か月後、さらに延期するのではないかといった声がある。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年(17年)4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」 「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束と異なる新しい判断。『公約違反ではないか』とのご批判があることも真摯に受け止めている」と・・・・ |
「新しい判断」というならば、それまでの古い判断は間違っていたわけであり、謝罪し訂正することが当たり前の対応であろう。
それならば、岸田文雄の「新しい資本主義」という表現も同様の如何わしさを感じさせてしまう。
立教大学大学院特任教授の金子勝はこう警鐘を鳴らしていた。
「抱きつき戦略の岸田新政権『新しい資本主義』に騙されるな」
新政権が発足し、岸田首相は「新しい資本主義」というキャッチコピーを独り歩きさせようとしているが、よくよく中身を見ると、その内容はとてつもなく古くさい手口だ。立憲民主党への抱きつき戦略だからである。 自民党の成長戦略はほぼタネ切れ。原発輸出は全て失敗。カジノを含むIRもリニア新幹線もうまくいっていない。東京五輪開催に伴うインバウンド増加も無観客でパー。そこで出てきたのが「新しい資本主義」だ。教育費や住宅費支援、看護師や介護士らの給与に直結する公定価格の見直し、「1億円の壁」を壊す課税強化。いずれも立憲が掲げた政策と瓜二つ。抱きつきと言えば、安倍元首相の真骨頂だ。幼保無償化で野党のスローガンを丸のみし、争点潰しの詐欺的手法で勝った。岸田もその手口を真似ている。 だが、アベノミクスの総括抜きにして新しい資本主義を育めるわけがない。賃金の長期低下や格差拡大の要因は、財政出動と金融緩和に9年近くも頼った失敗アベノミクスの結果だからだ。しかも、新型コロナウイルス対策の実質無利子無担保融資が広がり、中小企業は過剰債務に陥っている。地銀や信金は日銀から貸出金を受けても貸し出しに窮している状態だ。 そうした中、中国や米国でバブル崩壊の懸念が高まっている。中国不動産開発大手の恒大集団ばかりでなく、同業の花様年控股集団なども債務返済が滞る。恒大をめぐっては数十億ドル規模の簿外債務の存在も指摘される。確かに、リーマン・ショックのような証券化商品を通じた世界的な金融危機に至る可能性は低いが、米国の住宅バブルも危うい。コロナ禍でサプライチェーンが壊れる一方、急激に消費が盛り上がった。リーマン前と同じく資源や食料価格が急騰し、物価も金利も上昇。足元のS&Pケース・シラー住宅価格指数も急上昇して、バブルがはじけそうな不安定さを秘めている。 米中で同時にバブル崩壊が発生すれば、日本経済も深刻な打撃を受ける。この9年近い財政出動と金融緩和で、この国には打つ手がない。当面、有権者を騙すだけで、中身のない抱きつき戦略を続けるだけでは対応できない。コロナ対策もそうだが、世襲議員の愚者たちには危機管理などできないのだ。 |
少なくとも、野党には「世襲議員の愚者」といわれる議員は皆無であろう。
長年野党暮らしの親を見て、国会議員になろうという若者は圧倒的に少ないのは、いつも言われている、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の3つのバンがそろっていないからであることは、いまさら言うまでもない。
今回の総選挙に向けての野党共闘の統一政策は少なくとも自民党の公約よりも具体性がある。
しかしそれを実現するには、岸田文雄がうやむやにした「金融所得課税」に対する大きな抵抗勢力に対抗しなければならず、おのずと政権という「権力」をえなければ実現できない。
それが実現できれば生活が少しはまともになる低賃金労働者や貧困層たちを含めた多くの労働者たちが喜ぶのだが、同じ労働者の集まりの形だけは日本の労働組合の集まりなのだが、実態は大手の企業内組合の「連合」(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長が、トンデモないことを平気で公言していた。
「連合・芳野会長の発言が“野党共闘ネガキャン”に加担…「自民党の別動隊では」の声」
そもそも、芳野会長は会見で、コロナ禍で収入減に直面する非正規労働者の組織化に向け、「連合に入りたいと思われる運動をしていかなければならない」とも語っていたが、本気でそう思うのであれば、今のように非正規労働者を大量に生み出す状況を招いた政府・与党の政策転換を訴える立憲、共産の共闘は欠かせないはずである。
現在の連合は本来の労働組合と大企業の御用組合の同居体であり、大企業の御用組合が六産別と呼ばれている。
電力、自動車、電機、鉄鋼、機械、金属、流通などの大企業御用組合グループで、連合構成員700万人の約6割を占める。
これに対して旧総評系の組合が本来の労働組合と呼ばれ、自治労、日教組、私鉄労連、JR総連などのグループで全体の約4割を占める。
この連合が六産別に支配されており、連合は立憲民主党、国民民主党と共産党との共闘に反対しているのである。
しかし、連合傘下の労働組合に所属する労働者は全労働者の1割しかいない。
六産別はそのなかのさらに約6割に過ぎないので、六産別に所属する労働者は全体の6%しかいない。
大半が大企業労働者で、労働者全体の利害をまったく代表していない。
埼玉大名誉教授の鎌倉孝夫はこう指摘している。
「(連合が)野党の連携や選挙の力になるとは到底思えませんね。第二次安倍政権以降、大企業、大資本優先で、外需だ、輸出だと騒いだ結果、内需がおろそかになり、雇用の不安定化や中小企業の倒産を増やすことになった。このコロナ禍で、今の日本企業、経済の弱点が分かったはずです。今こそ内需拡大にシフトしていくべきなのに、大企業や大資本の姿勢は相変わらずで、その労組も株高を歓迎しているかのよう。今の政治、経済状況の深刻な問題を連合は認識していないのです」
ましてや、「一昔前は選挙のポスター張り要員と言われた連合でしたが、今では組合員からも『組合費ばかり高くて頼りにならない組織』とボヤキの声ばかり漏れている。とてもじゃないが、国政選挙で頑張る組織とは思えません」と与党担当記者も言っていた。
そろそろ立憲民主の枝野幸雄代表は、本気で「連合離れ」をする時期に来ているのではないだろうか、とオジサンは思う。