ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓日辞典にない言葉 <共感帯>と<正体性>とは?

2009-11-26 03:16:13 | 韓国語あれこれ
 韓国の文章を読んでいて、しばらく前から何度か目にとまっていた単語に①<공감대.コンガムデ>と②<정체성.ジョンチェソン>があります。

①<공감대.コンガムデ>について

 まず用例を見てみましょう。

 충북도가 25일 충주시청 회의실에서 '4대강 살리기 사업 주민 공감대 형성'을 위한 토론회를 개최한다.
 忠北道が25日忠州市庁会議室で「4大河川を生かす事業 住民<공감대>形成」のための討論会を開催する。

 <공감>は<共感>でしょう。ふつうの韓日辞典にあります。いくつか用例を照らし合わせると、<コンセンサス.consensus>に置き換えられそう。

 ・・・ということで、韓国YAHOOで<공감>と、<consensus>の2語で検索するとやっぱりそうでした。
 しかし、<대.デ>は<台>かなと思ったら<帯>でした。


②<정체성.ジョンチェソン>について

 まず、各音にあてはまる漢字をいろいろ組み合わせてみても、少なくとも日本の漢字熟語に該当するものはありません。
 適当と思われる漢字をあてはめると<正体性>くらいか。

 これもいくつかの用例から推定して<identity>の訳語では、と見当をつけました。

 ①と同様に<정체성>と<identity>で検索したらアタリ!

 YAHOO国語辞典の説明には次のように書かれています。

 변하지 않는 존재의 본질을 깨닫는 성질. 또는 그러한 성질을 가진 독립적인 존재.
 変わらない存在の本質を自覚する(悟る・理解する)性質。またはそのような性質をもった独立的な存在。

 また、次のような例をあげています。

 자신의 정체성을 확립하는 청소년기.
 みずからの<正体性>を確立する青少年期。

 <identity>という英語はどう訳しても無理があるようで、広辞苑には<自己同一性>とか<自己の存在証明>とかありますが、それでわかる人もいると思われず、結局<アイデンティティー>とカタカナ語がほぼ定着しているのではないでしょうか?
 それに比べると、韓国語の<正体性>という漢字語はけっこう優れた訳語ではないかと思います。

 で、YAHOO国語辞典にある2つ目の用例が次のようなものなんですよ。

 일본 제국주의는 한민족의 참된 정체성, 자존, 그리고 자연을 짓밟아 말살하는 침략 정책을 실시했다.
 日本帝国主義は韓民族の真の<正体性>、自尊、そして自然を踏みにじり、抹殺する侵略政策を実施した。

 北朝鮮の韓国に対する批判・非難の中に「外国語を無批判に受け入れている」という項目がたしかありましたが、それでも9月12日に紹介した<ヌリクン(누리꾼)>や、パソコン用語等々、日本に比べるとけっこうがんばってると言えるかも・・・。

 <identity>を<アイデンティティー>と表記すること自体、日本人としてのアイデンティティーを問われる、ということでしょうか? 日本はカタカナなんて便利な文字があるので、かえって安易にカタカナ語にしてしまう傾向があるようですね。
コメント
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