ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[5月18日(金)~20日(日)]

2012-05-22 23:57:45 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「グッバイ、マザー」「サニー 永遠の仲間たち」の共通点は、①キーパーソンがガンで余命幾許もない、という設定。②前者は慶尚道の、後者は全羅道の方言がたくさん聞ける。③女性が元気! ・・・と、こんなとこですかねー。
 「グッバイ、マザー」はもっと湿っぽい映画かとなんとなく思っていたが、良い方向に予想が外れました。
 昨日観た「サニー」は、平日の16:30~の回とはいえ、観客7人というのはとても残念。「ワンドゥギ」よりはマシだが、これはという作品はもっと認知度を高めないと・・・。プレゼントをくれて、何かと思ったら「다시다(牛肉ダシダ)」で、これはラッキー!
 観た人たちの感想は一様に好評のようで、私ヌルボもおよそ期待通りなんですが、カン・ヒョンチョル監督の前作「過速スキャンダル」の方が爽快なスピード感で優っていたかも。ちょうど830万人:740万人という観客動員数くらいの差かな? 
 この映画についての論考で、ナルホドねーと思ったのは、松谷創一郎氏による「政治の季節をサブカルチャーで相対化する韓国」と題した一文。
 「サニー」の特徴は、韓国では“政治の季節”だった80年代をサブカルチャーによって相対化しようとした点にある。たとえば学生たちと機動隊が衝突するシーン、後ろに映るのは映画「ロッキー4/炎の友情」の看板だ。サニーのメンバー7人も、学生と機動隊に紛れながら他校の不良グループと取っ組み合いの大喧嘩をする。しかもこのときのBGMで流れるのは、JOYの「タッチ・バイ・タッチ」だ。 これは、かなり意図的な歴史の読み直しだ。“政治の季節”と呼ばれた80年代が、彼女たちにとってはサブカルチャーにまみれた明るい青春期だったことを強調しているからだ。(以下略)
 ・・・たしかに、私ヌルボも、あの1986年という年を、このように描くのか、ということを、映画を観ながら考えていました。
 あるいは「日刊シマン」というブログ記事の次のような感想も目にとまりました。
 けれど、見終えた後に、魚の小骨が喉にずっとひっかかっているのが・・・。韓国女性たちの抑圧された人生。日本と同じ? いや、血縁関係を更に重んじているので、もっとかもしれません。
 ・・・さて私ヌルボ、この映画のディテールについては、80年代の音楽、全羅道の筏橋(ポルギョ)、学校の制服、全羅道の方言(~ㄴ지~ㄴ디と言う等)、プロスペックスのシューズ、昔の先生が「できちゃった婚」を「過速」と言ってること、音楽喫茶、ピカデリーという映画館、その他いろいろコメントしたいこともあるのですが、書き始めると長いし、未調査のものもあるので、今回はこれまで。あ、そういえば、警察の車で運ばれていく時の仲間の会話中に「イルチン」という言葉が出てきました。これについては以前本ブログで書きました。→コチラ参照。
 あ、情報もう1つ。8月4日公開予定の「トガニ 幼き瞳の告発」の原作小説(孔枝泳(コン・ジヨン)著)の翻訳書が5月31日新潮社から発売されます。(→コチラ) 翻訳者は蓮池薫氏。同作家の「私たちの幸せな時間」以来の縁ですね。書名は映画と同じ。「トガニ」より「るつぼ」の方がいいと思うのですが・・・。まあ映画優先ということですかねー。
 
         ★★★ Daumの人気順位(5月22日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①かたつむりの星(韓国)  9.6(52)
②タイタニック 3D 9.6(2440)
③語る建築家(韓国)  9.5(30)
④最強のふたり  9.2(774)
⑤トゥレソリ (韓国)  9.0(126)
⑥ミックマック  9.0(42)
⑦建築学概論(韓国)  8.5(2017)
⑧KOREA(韓国)  8.4(866)
⑨私の妻のすべて(韓国)  8.4(866)
⑩The Raid:Redemption  8.4(51)

 初登場は⑩だけ。これはめずらしい、インドネシアのアクションで、ジャカルタが舞台。麻薬密売組織の凶悪犯たちとインドネシア武術シラットによる格闘と壮絶な銃撃戦が展開する。警察の特殊部隊20人が、麻薬密売組織の巣窟である30階建てマンションに踏み込み1階から攻略していく。トレイラー映像によると、銃撃戦も壮絶だが、シラット(インドネシア武術)による格闘の比重が大きいのかな? 第36回トロント国際映画祭観客賞受賞作で、アメリカでもヒットしているとか。「ハンガー・ゲーム」を超えるって!?  批評家の評価も高いって!? しかし日本公開は未定なんだなー・・・。韓国題は「레이드:첫번째 습격(レイド:最初の襲撃)」。The Raidは襲撃、Redemptionは救出(かな?)

【専門家による順位】

①タイタニック 3D  10.0(2)
②第七の封印  9.0(2)
③メランコリア  8.3(6)
④The Future  8.0(1)
⑤アベンジャーズ  7.7(7)
⑥The Raid:Redemption  7.7(4)
⑦異邦人たち(韓国)  7.5(2)
⑦レッドマリア(韓国)  7.5(2)
⑨アルマジロ  7.3(3)
⑩建築学概論(韓国)  7.1(6)
⑩ウンギョ(韓国)  7.1(6)

 新登場は③④⑥の3作品。
 ③「メランコリア」は日本では2月に公開されています。
 ④「The Future」は、アメリカの独立系映画。女性監督ミランダ・ジュライは脚本・監督・主演を務めた初の長篇映画「君とボクの虹色の世界」で2005年カンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)受賞。一方で「ニューヨーカー」等の雑誌に小説を発表していて、最初の小説集「いちばんここに似合う人」(2007年)は多方面から絶賛され、フランク・オコナー国際短篇賞を受賞し、日本でも新潮社から刊行。・・・って、こういうヒトもいるんですねー。さてこの作品はLA在住の35歳のカップルの物語。キッズダンス教室でインストラクターをしている女性(ジュライ)と、自宅でコンピュータの仕事をしている男性が、病気のネコを拾ったことがきっかけで仕事を辞め、人生にとって本当に意味のあることをやろうと決意。新しい道を歩み始めるのですが・・・、という自分探しの物語。韓国題は「미래는 고양이처럼(未来はネコのように)」。韓国では以前に比べるとネコ好きが増えたようで、この韓国題もそれをねらったんじゃないかな? 日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月18日(金)~20日(日)] ★★★

         久しぶりに韓国映画「私の妻のすべて」がトップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(6)・・私の妻のすべて(韓国)・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・・・・594,185・・・・・・・・・・・779,272 ・・・・・・・・・5,962・・・・・・・561
2(1)・・アベンジャーズ ・・・・・・・・・・・・・・・4/26・・・・・・・・・・・・・・565,501 ・・・・・・・・・6,342,071 ・・・・・・・・53,953・・・・・・・573
3(新)・・金の味(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・・・・445,537・・・・・・・・・・・569,003 ・・・・・・・・・4,346・・・・・・・641
4(2)・・KOREA(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・・・・200,298 ・・・・・・・・・1,619,292 ・・・・・・・・11,712・・・・・・・387
5(3)・・ダーク・シャドウ・・・・・・・・・・・・・・・・5/10・・・・・・・・・・・・・・・66,816・・・・・・・・・・・549,827 ・・・・・・・・・4,706・・・・・・・270
6(新)・・THE COLD LIGHT OF DAY ・・・・5/17・・・・・・・・・・・・・・・49,317・・・・・・・・・・・・61,652 ・・・・・・・・・・・443・・・・・・・238
7(4)・・白雪姫と鏡の女王 ・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・・・・・40,388・・・・・・・・・・・557,262 ・・・・・・・・・3,905・・・・・・・164
8(7)・・建築学概論(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/22・・・・・・・・・・・・・・・24,001 ・・・・・・・・・4,078,089 ・・・・・・・・29,988・・・・・・・124
9(8)・・ロラックスおじさんの ・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・・・・・23,330・・・・・・・・・・・290,228・・・・・・・・・・2,104・・・・・・・134
         秘密の種
10(5)・・ウンギョ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・4/25 ・・・・・・・・・・・・・・・22,140 ・・・・・・・・・1,319,160 ・・・・・・・・・9,719・・・・・・・160
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 5週続いたアメリカ映画に代わって「私の妻のすべて」が小差ながらトップに。
 新登場は3位と6位の2作品です。
 3位「金の味」は、「ハウスメイド」に続くイ・サンス監督作品。韓国の金を支配する財閥ペク家の貪欲な女主人(ユン・ヨジョン)。金の中毒者となって生きてきた自分の人生を侮辱的に感じる彼女の夫(ペク・ユンシク)。ペク家の裏の部分を引き受けながら金の味を知っていく秘書(キム・ガンウ)。そんな秘書に近づく長女(キム・ヒョジン)。そんな彼らが金に支配される過程と欲望を描く・・・。「ハウスメイド」より淫らで・・・というのが謳い文句の18禁映画ですが、「みなさんが思っていたより笑えるシーンが多かったと思います」(キム・ガンウ)とか。ネチズンの感想を見ると「キム・ヒョジンがカワイイ」(多数)とか、「死ぬ前にあんな生活してみたい」とか・・・。
 6位はアクション・スリラー。主人公(ジム・カーヴィル)はウォール街で働くトレーダー。家族旅行のスペインでダイビングから戻ると、クルーザーの中にさっきまでいた両親や姉妹がいない! パニックになったところ、「父親(ブルース・ウィリス)がどこかに隠したブリーフケースを持って来い」との脅しが・・・。父は実はCIA工作員で、機密書類が入ったブリーフケースを持ち出したために家族が誘拐されてしまったのだ・・・。ネチズンの評点は意外に(?)高く(7.9)、専門家の評点は低い(4.5)という典型的な娯楽映画、かな? 韓国題は「콜드 라잇 오브 데이」。日本公開はたぶん今年中、かな?
 7位「白雪姫と鏡の女王」、本ブログでは先週まで「Mirror,Mirror」と表記していましたが、このタイトルで今年9月に日本で公開されるということなので書き改めました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・The Future・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・・・・・1,831 ・・・・・・・・・・・・・・2,650 ・・・・・・・・・21・・・・・・・・・・16
2(1)・・A Dangerous Method・・・・・・・・・・・5/10 ・・・・・・・・・・・・・・・1,449 ・・・・・・・・・・・・・22,732 ・・・・・・・・171・・・・・・・・・・・9
3(4)・・語る建築家(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・・・616 ・・・・・・・・・・・・・35,362 ・・・・・・・・275・・・・・・・・・・・5
4(6)・・カラフル(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/10 ・・・・・・・・・・・・・・・・・590 ・・・・・・・・・・・・・・2,763・・・・・・・・・・18・・・・・・・・・・10
5(3)・・ミックマック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/10 ・・・・・・・・・・・・・・・・・575 ・・・・・・・・・・・・・・3,294・・・・・・・・・・25・・・・・・・・・・11

 初登場は1・4位の2作品。
 1位「The Future」は上述しました。
 4位、日本のアニメ「カラフル」は、森絵都の原作小説も高校生にはよく読まれているようですが、私ヌルボ、アニメも小説も見てないんですよ。どうも設定自体に忌避感があるのかも・・・。韓国題は「컬러풀」。コルロプルね~・・・。
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