あいかわらずチュ・ホミン(주호민)のウェブトゥーン(ネット漫画)「神と一緒に(신과함께)」を読んでいて、あの世編(저승편)68話を読み終え、この世編(이저승편)に入りました。
今回は、漫画の中身とは関係なく、その中で出てきた辞書にない韓国語の紹介。
初等学校(小学校)入学式直前の子どもとの会話です。
【(左)「あ、あんた何組かインターネットで見なくちゃなんないんでしょ?」 「うん。ホームページに出ているって。」
(右)「ま、私がなんとか確認してくるわ。」 「実は<컴맹(コムメン)>なんだけどね。」】
漫画や小説等で語学の勉強になるとは、辞書を引かなくても、その前後の文脈で初めて見た言葉の意味が自然にわかること。
この컴맹という単語も、컴がコンピュータ(컴퓨터)の컴(コム.com)ということは即座にわかります。そして맹(メン)は漢字語「盲」。
つまり、コンピュータが使えない人のことを指す言葉です。
しかし日本では、もう大抵の人が知っている(?)ように、この「盲」の字を含む言葉の多くは差別語としてこの数十年の間にほとんど用いられなくなりました。
長く続いてきた「盲学校」の呼称も、学校教育法改正によって2007年度からは特別支援学校の一部とされ、視覚支援学校等の名称への変更が進んでいます。
※全国盲学校野球大会の名称は、まだそのままです。
このような、障碍者に関する言葉で、日本では差別語として用いられなくなった言葉が、韓国では今もとくに意識されることもなく使われている例はずいぶんあるように思います。
罵倒語でも「病身(병신.ピョンシン)」とか「ミッチンノム(미친 놈.狂ったヤツ)」という言葉はよく使われるし、必ずしも罵倒語ではないのですが、「われを忘れて」という意味で「パボカッチ(바보 같이馬鹿みたいに)」という表現は歌の歌詞等では頻出するといっても過言ではありません。
※「病身舞(병신춤.ピョンシンチュム)という伝統舞踊があります。ハンセン病患者、身体障碍者、小人症の人等の動作を滑稽に模した踊りで、権力者に対する風刺・批判も盛り込まれていたりしますが、一部では「差別だ」との声も上がっているとか・・・。(動画は→コチラ。)
・・・というように、私ヌルボ、上記のような言葉に対しての韓国と日本の年差といったものがあるのかな、と思ったわけですが、古狸案先生のブログ<上級韓国語-ちょんげぐりの世界>を見たら、「漢字とハングルの温度差」という記事で、ちょうどこの컴맹という語の出てくる笑い話を紹介し、そして「韓国で맹がまだおおっぴらに使われている理由を考えてみました」とのこと。そして次のように書かれています。
おそらく韓国人は「盲」という漢字で考えずに,맹というハングルで考えているからだと思います。
「盲」と맹-漢字とハングルの温度差がここにあるのだと思います。
漢字の「盲」はダイレクトに目に飛び込んできます。
これに比べてハングルの맹から受けるイメージはそんなに差別的で暗いものではありません。
ですから韓国人は,맹イコール単にものが見えないこと,または日本語の「何々音痴」ぐらいにしか思わないのだと思います。
・・・なるほど、ですね。あらためてこの漢字を見てみると「亡」+「目」ですからね・・・。
この「○맹」という形の新語は他にもいろいろあって、この<上級韓国語-ちょんげぐりの世界>では、すでに2006年4月の記事「方向音痴」の中で、この컴맹の他に「넷맹(ネンメン)」と「겜맹(ゲムメン)」を紹介しています。internetができない人、ゲームができない人という意味です。
今ネット検索してみると、ヒット件数は컴맹が405万件、넷맹が133万件。十分に定着した言葉といっていいでしょう。겜맹は約2万件といったところです。
この類の新語としては「폰맹(ポンメン)」(9万件)というのがありました。핸드폰(ヘンドゥポン)つまりケータイの폰(phon)ですね。ほぼ同義の「스맹(スメン)」(1万件)というのもあります。스마트폰(スマトゥポン.スマートフォン)の스(ス)です。そして「트맹(トゥメン)」といえば트위터(トゥウィト.twitter)が苦手な人。
別ジャンルで多いのはお金関係。「부동산맹(プドンサンメン.不動産盲)」、「보험맹(ポホムメン.保険盲)」、「돈맹(トンメン.お金盲)」等。どうも、たとえば保険についてよく知らないアナタにお得な情報を提供しますよ、という話の中でよく使われているようです。
それ以外では、「생태맹(センテメン.生態盲)」(14万件)なんて一体なんなんだ?と思いました。たとえば→コチラのブログ記事(韓国)。「문맹,컴맹 보다 무서운 생태맹(文盲、com盲より怖い生態盲」という見出しですが、要するに自然とか環境とか生態系とかについての無知を意味する言葉のようです。
미맹(ミメン.味盲)(3.7万件)という言葉は、日本では一般には味音痴という言葉がやや多く使われているようですが、味盲という言葉も差別語とはされていなくて(?)ふつうに用いられていますよねー、・・・と言っていいのか、よくわかりません。
さらに全然別ジャンルで「예수맹(イエスメン)」(45万件)というのがありました。「イエス様についてよく知らない人」という意味だそうです。
今後さらに「○○맹」という形の新語がいろいろ出てきそうですね。
今回は、漫画の中身とは関係なく、その中で出てきた辞書にない韓国語の紹介。
初等学校(小学校)入学式直前の子どもとの会話です。
【(左)「あ、あんた何組かインターネットで見なくちゃなんないんでしょ?」 「うん。ホームページに出ているって。」
(右)「ま、私がなんとか確認してくるわ。」 「実は<컴맹(コムメン)>なんだけどね。」】
漫画や小説等で語学の勉強になるとは、辞書を引かなくても、その前後の文脈で初めて見た言葉の意味が自然にわかること。
この컴맹という単語も、컴がコンピュータ(컴퓨터)の컴(コム.com)ということは即座にわかります。そして맹(メン)は漢字語「盲」。
つまり、コンピュータが使えない人のことを指す言葉です。
しかし日本では、もう大抵の人が知っている(?)ように、この「盲」の字を含む言葉の多くは差別語としてこの数十年の間にほとんど用いられなくなりました。
長く続いてきた「盲学校」の呼称も、学校教育法改正によって2007年度からは特別支援学校の一部とされ、視覚支援学校等の名称への変更が進んでいます。
※全国盲学校野球大会の名称は、まだそのままです。
このような、障碍者に関する言葉で、日本では差別語として用いられなくなった言葉が、韓国では今もとくに意識されることもなく使われている例はずいぶんあるように思います。
罵倒語でも「病身(병신.ピョンシン)」とか「ミッチンノム(미친 놈.狂ったヤツ)」という言葉はよく使われるし、必ずしも罵倒語ではないのですが、「われを忘れて」という意味で「パボカッチ(바보 같이馬鹿みたいに)」という表現は歌の歌詞等では頻出するといっても過言ではありません。
※「病身舞(병신춤.ピョンシンチュム)という伝統舞踊があります。ハンセン病患者、身体障碍者、小人症の人等の動作を滑稽に模した踊りで、権力者に対する風刺・批判も盛り込まれていたりしますが、一部では「差別だ」との声も上がっているとか・・・。(動画は→コチラ。)
・・・というように、私ヌルボ、上記のような言葉に対しての韓国と日本の年差といったものがあるのかな、と思ったわけですが、古狸案先生のブログ<上級韓国語-ちょんげぐりの世界>を見たら、「漢字とハングルの温度差」という記事で、ちょうどこの컴맹という語の出てくる笑い話を紹介し、そして「韓国で맹がまだおおっぴらに使われている理由を考えてみました」とのこと。そして次のように書かれています。
おそらく韓国人は「盲」という漢字で考えずに,맹というハングルで考えているからだと思います。
「盲」と맹-漢字とハングルの温度差がここにあるのだと思います。
漢字の「盲」はダイレクトに目に飛び込んできます。
これに比べてハングルの맹から受けるイメージはそんなに差別的で暗いものではありません。
ですから韓国人は,맹イコール単にものが見えないこと,または日本語の「何々音痴」ぐらいにしか思わないのだと思います。
・・・なるほど、ですね。あらためてこの漢字を見てみると「亡」+「目」ですからね・・・。
この「○맹」という形の新語は他にもいろいろあって、この<上級韓国語-ちょんげぐりの世界>では、すでに2006年4月の記事「方向音痴」の中で、この컴맹の他に「넷맹(ネンメン)」と「겜맹(ゲムメン)」を紹介しています。internetができない人、ゲームができない人という意味です。
今ネット検索してみると、ヒット件数は컴맹が405万件、넷맹が133万件。十分に定着した言葉といっていいでしょう。겜맹は約2万件といったところです。
この類の新語としては「폰맹(ポンメン)」(9万件)というのがありました。핸드폰(ヘンドゥポン)つまりケータイの폰(phon)ですね。ほぼ同義の「스맹(スメン)」(1万件)というのもあります。스마트폰(スマトゥポン.スマートフォン)の스(ス)です。そして「트맹(トゥメン)」といえば트위터(トゥウィト.twitter)が苦手な人。
別ジャンルで多いのはお金関係。「부동산맹(プドンサンメン.不動産盲)」、「보험맹(ポホムメン.保険盲)」、「돈맹(トンメン.お金盲)」等。どうも、たとえば保険についてよく知らないアナタにお得な情報を提供しますよ、という話の中でよく使われているようです。
それ以外では、「생태맹(センテメン.生態盲)」(14万件)なんて一体なんなんだ?と思いました。たとえば→コチラのブログ記事(韓国)。「문맹,컴맹 보다 무서운 생태맹(文盲、com盲より怖い生態盲」という見出しですが、要するに自然とか環境とか生態系とかについての無知を意味する言葉のようです。
미맹(ミメン.味盲)(3.7万件)という言葉は、日本では一般には味音痴という言葉がやや多く使われているようですが、味盲という言葉も差別語とはされていなくて(?)ふつうに用いられていますよねー、・・・と言っていいのか、よくわかりません。
さらに全然別ジャンルで「예수맹(イエスメン)」(45万件)というのがありました。「イエス様についてよく知らない人」という意味だそうです。
今後さらに「○○맹」という形の新語がいろいろ出てきそうですね。