日々、何もが古くなっていく。
懐かしい新田次郎の山岳小説を図書館で借りてきました。かなりの数を読んだつもりですが、まだ読んでいないかもしれない、すっかり忘れているかもしれないしと思いつつ読み始めた。
小説風ドキュメント、いやドキュメント風小説の作品は、登山愛好家でない私ですが、かなりはまって読んだものでした。今回の舞台は明治40年前後の国土地理院の前身の吏員の剱岳の地図を作成するための足掛かりをつくための苦労話です。
苦労ですよ、経度、緯度、標高を測定するポイント設置の苦労話ですが、今の世の中、グーグルマップでポイントをタップするだけで、北緯~、統計~ 何時、何分、何秒、・・・、と細かく細かく位置が知れる。こんな世の中が来たことをこの本の中の人たちは想像したこともなかったでしょう。
100年くらい前のお話で、事実だったでしょうが、隔世、あまりに隔世すぎる。しばらく読み進めていましたが、しんどくなってきたのです。半分ほどのところで2週間経ったので返却期限が来ました。延長の手続きは簡単ですが、もうやめよ。リタイアーすることにしたのです。
後ろ髪引かれることなく返却カウンターにそっと置きました。1冊だけだったから、ちょっぴり寂しそうに見えました。