やっと気になっていた柳田国男の「遠野物語」を読みました。ただし石井正己の解説付きので。というのは1910年に出版された岩手県遠野地方の地名も事物の名称も時の隔たりも今や古典の域に属しているかもしれないので、現代の私には理解が難しいところが多いと思いましたから。
けれども幸い私には1890年代に生まれた祖父母と10年余り同居していたので、ニュアンスとして理解できるところもあるし、日本昔話によく出てくるお話でなんかで耳にしていたので決して異次元のお話ではない気持になりました。
昔話にまつわる不思議なお話は一言で言えば ”明かり” のなせる結果でしょうか。現代は夜間も意思あらば不自由なく人は動けます。電気の照明おかげです。山男を見た、座敷童がいた、河童を見た等は昼なお暗い深山や家屋内で見えないものを明かりの十分でない昔の人は見てしまう、それが畏怖をもって迷信となってしまう時代が続いていたんですね。
こう言ってしまえば身も蓋もないじゃん、といわれると思いますがこれが真実だと思います。先日もNHK「歴史秘話ヒストリア」で井上円了博士の妖怪研究のことを放送されていたのでまさにその通り、科学的に証明しようとする人がいたことを知って嬉しくなりました。わたしが言うまでもないことですがね。
宗教と占いが苦手!馴染もうと努力したことはあるけど、どうにも無理だったことがある私は、けれども遠野物語の時代に生きていたなら、やっぱりそう染まっていたのは間違いないでしょう。