ここ数年でしょうか、ちょっと気になる言い回しがあります。
自分の愚痴を言ったり、人の噂をしたり、あまり好ましくない会話を散々した挙句、反省の気持ちが芽生えたのか、『ごめん。今言ったこと忘れて!』とおっしゃる方がいます。
メディアに出てくる方でも、”今のはオフレコでお願いします。”なんてこともありました。
普通、人は記憶してしまいますよ。忘れろなんて無理な注文です。私なんか何十年前に言われた言葉で、忘れたくても忘れられないことがどれほどあるか。
もっとも忘れてはいけないことを忘れてしまっている事も多いかも知れませんが、それは別のお話です。
『今言った事、忘れて』は、言わば相手に口止めを要求する言葉で、こちらとしては溜まってしまいます。同じ言うなら、『今の話は要らぬことを言ってしまった。ごめんなさい。』くらいに収めてくれたら、『ううん、いいよ、無理ないよね』 になるのですが。
反対に聞かされた側の人が”今の話は聞かなかったことにするよ。”と言うのは、有りだと思います。強要されているのではないのですから。
この『今の話、忘れて』という言葉を聞くたびに、人の認知能力を馬鹿にするんじゃないよ、それなら始めから言わんときゃいいでしょ、と思います。
ストレスを溜めないために、愚痴ったり人の悪口を言ったりするのも一つの方策ですが、愚痴った後、後悔に苛まれることは誰にもあると思います。それに気づいた結果の言い回しでしょうが、それを人に押し付けていることにいる事に気づいているでしょうか。
一たび、口に出して言った言葉は、もう独立して歩き始めています。
でもたまに言われるんですよね、同窓会などで。
”あの時、こんなの事言ってたよね” ”えっ、私、そんな事言ったあ?”
でも決して言いません、その話、忘れて、とは。
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