今回は、「色絵 鶏(にわとり)文 輪花形小鉢」の紹介です。
この「色絵 鶏(にわとり)文 輪花形小鉢」は、透けて見えるほどの薄造りであることから、有田の土とは違うのではないかとの疑問を抱いているところです。従いまして、有田産のものではないのではないかと思っているところです。平戸(三川内)系のものではないのかと思っているところです。また、製作年代も、江戸後期になるのではないかと思っているところです(~_~;)
前回の「染付 福字文壺」に引き続き、いい加減な紹介になってしまい申し訳ありません。
正面(仮定)
反対面にも鶏文が描かれ、両者は向かい合い、睨み合っているように描かれています。
正面から右に約90度回転させた面
鶏と鶏の間には、草花や蝶が描かれています。
正面の反対面
正面から左に約90度回転させた面
見込面
底部に人物文が描かれています。
見込面底部の人物文の拡大
底面(その1)
正面側から見た底面
底面(その2)
正面の反対面側から見た底面
高台内の銘の拡大
銘:一重角福
生 産 地 : 肥前・平戸(三川内)?
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ : 口径;11.5cm 高さ;5.8cm 底径;5.2cm
なお、この「色絵 鶏(にわとり)文 輪花形小鉢」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で、既に紹介しているところです。
つきましては、参考までに、その際の紹介文を次に再度掲載いたしますので、ご覧いただければ幸いです。ただ、その紹介文は、この「色絵 鶏(にわとり)文 輪花形小鉢」の生産地を有田と、製作年代を江戸中期として書かれていますことをお含みおきください。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー200 柿右衛門様式色絵鶏(にわとり)文輪花形小鉢 (平成27年1月1日登載)
薄作りで上手であり、鶏(にわとり)が描かれているので、一瞬、中国の明・成化のチキンカップを連想させる。
しかし、よく見ると、土は中国のものではないし、絵付けも和風である。
柿右衛門様式の古伊万里ということになろう。
ところで、この小鉢の高台の内側と外側には汚れがみられる。
その汚れは、ゴシゴシと洗っても落ちないし、漂白剤に浸けても落ちない。
おそらく、最初から、つまり窯の中にある時から付いた汚れなのであろう。広い意味で、「窯疵」というものであろうか。
江戸時代中期 口径:11.5cm 高さ:5.8cm 高台径:5.2cm
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*古伊万里バカ日誌129 古伊万里との対話(鶏(にわとり)文の小鉢)(平成27年1月1日登載)(平成26年12月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
小 鉢 (柿右衛門様式色絵鶏(にわとり)文輪花形小鉢)
・・・・・プロローグ・・・・・
今回の対話が、平成27年の元旦に当たること、また、主人のホームページに登場する古伊万里としては200点目に当たることから、主人は、いくらか華やかで、かつ、多少は記念すべき、インパクトのある古伊万里と対話をしようと考えたようである。
そこで、「押入れ帳」をめくり、「何ぞ、気の利いた古伊万里はないかいな!」と捜し始めたが、なにせ、主人の所は貧庫ゆえ、そんな、気の利いた古伊万里は既に登場させてしまっていて見当たらない。
主人は、途方に暮れたようではあるが、そこはズボラな主人のこと、「華やかで記念すべきものと対話をするというようなことは考えず、従来どおり、買ってきた順番に対話をしよう」 と気を取り直し、押入れから次の順番のものを引っ張り出し始めた。
と、その時、「そうだ! 買ってきた順番に対話をしようなどと考えているからみつからないんだ! 先日買ってきたばかりの古伊万里があるではないか! あれなら、まぁ華やかだから、正月にふさわしいし、多少はインパクトもあり、200点目という節目の時に登場させるにもふさわしいだろう」とヒラメイタようである。ズボラな性格も、時にはプラスに作用することもあるようではある。
それで、買ってきたばかりのため、まだ押入れにも入れずに身近に置いておいた古伊万里と対話をはじめた。
主人: お前は、先日、我が家に来たばかりだよね。我が家に来たばかりの古伊万里と対話をするのは珍しいんだよ。
小鉢: それは、それは、例外扱いをしていただきありがとうございます。(「他に気の利いた古伊万里が無かったからじゃないの!」と独白)
主人: お前を買うに至った経緯は、つい先日の暮れの頃のことだから、よく覚えているよ。
私は、お前を見た瞬間の第一印象では、お前を買うつもりはなかったんだ。私は、普通、第一印象でビビットきた物を買ってるんだが、それからすると、これまた、珍しいことなんだよね。
最初見た時、お前は、朝日を浴び、直射日光をまともに受けて、古伊万里とは思えなかったんだ。
透けて見えるほどに薄作りで、第一印象では中国物かなと思ったんだよ。中国の「明」の「成化時代」の「豆彩(闘彩)」の、いわゆる「チキンカップ」かなと思ったんだ。鶏(にわとり)が描かれているからね。勿論、本物の明成化の豆彩(闘彩)の「チキンカップ」は世界に数点しかないと言われているから、清朝あたりの写しかなとは思ったんだけれども・・・・・。
清朝のものなら私のコレクションの対象外だから、それ以上見る必要もないんだが、何か気になったんだよね。
それで、手に取って見てみると、土は中国物とは違うようだし、高台内に「角福」の銘があることがわかった。「中国物には、たしか、角福銘はなかったよな・・・・・」、「とすると中国物ではなさそうだな・・・・・」、「否、むしろ、角福銘は中国が本場だったよな~、やはり中国物なのかな~」、「いったい何処で作られたものだろうか・・・?」と一人ごちていた。
そうしたら、店主が、「柿右衛門ですよ。名品ですよ。」とのたまわった。
それを聞いて、私は、「まさか!」と思ったね。長いこと古伊万里のコレクションをしているので、中国物と古伊万里との違いくらい判別できると自負していたからね。店主がデタラメを言っているのかと思ったよ。
小鉢: それでどうしたんですか。
主人: 「ん?」、「柿右衛門?」、「古伊万里?」・・・・・。
「本当かな・・・?」と思ったが、「そうか、光線の関係かな?」と思い直し、直射日光を避ける位置に持っていって改めて見直してみたら、正に柿右衛門に違いないことがわかり、即座に購入することにしたんだ。薄作りで、なかなかの上手の作であることがわかったからね。
小鉢: 光線の関係でそんなに違って見えるんですか。
主人: そうなんだね。私も初めて実感した。光線の関係で、物は良くも見えるし悪くも見えるんだね。極端な場合は、伊万里が中国物に見えたりもするわけだ。
栗田美術館の故栗田館長さんは、光の魔術師と言われた方だった。陳列した古伊万里達の最高の姿を現出させるため、照明には気を使ったらしいね。今思うと、なるほどと思うね。照明とか光とかは、重要だね。
小鉢: 美術品にとって、照明は重要なんですね。
主人: そうだね。美術館によっては、電気代が嵩むので、節電のために照明を落すというようなところもあるようだが、それは問題だね。陳列品の最高の状態を現出させる観点から、明るくしたり暗くしたりすべきだね。
小鉢: ところで、今年は未(ひつじ)年ですよね。私が登場すべき年は2年後ではないですか。
主人: ははは、それはそうだ。干支から言ったら2年早いな。
でもね、負け惜しみを言うようだけれど、私は、未(ひつじ)を描いた古伊万里というものは見たことがないね。未(ひつじ)を描いた古伊万里がないんなら、あとは、干支にとらわれることなく、何だったいいんじゃないかと思ったわけよ。
その点、お前は、華やかだし、上手でもあるので、正月に登場させるにはふさわしいと考えたわけだね。
小鉢: 私が鶏(トリ)文なので、干支を先ドリさせたというところですか(笑)。
主人: う~ん。まいったね。オチが付いたところで、今日はこの辺で終りとするか。
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