今回は、「伊万里 染付 祥瑞丸文蓋付灰落し」の紹介です。
この「灰落し」も、昭和55年に(今から40年前に)手に入れています。
この頃は古伊万里ブームでしたが、当時、江戸時代中期以前の本当の「古伊万里」と言われるものは市場に数が少なく、需要に追いつかなくなってきましたので、ともかくも江戸時代あれば「古伊万里」にしようというような風潮になってきて、それまでは「幕末物」とバカにされていたものも「古伊万里」の仲間入りを果たすようになってきていました。
この「灰落し」は、そんな風潮の中で手に入れたものです(^_^;
でも、結構、高かったんですよ。需要が供給を上回っていましたからね(^_^;
それに、本来、磁器製の「灰落し」は、蓋を伴って作られたようですが、なにせ、日用品ですから、蓋は破損して失われてしまっているケースが多いわけで、この「灰落し」のように蓋まで備わっている場合は少なかったものですから、余計に高かったように思います。
なお、「灰落し」につきましては、このブログでも、既に2点ほど紹介してはいますが(2020年7月24日付け「伊万里 染付 山水文灰吹き(灰落し)」、我が家には、それ以外にも、まだ1~2点は存在するようです。それ等につきましては、追々、また、紹介したいと思います。
伊万里 染付 祥瑞丸文蓋付灰落し
立面
正面(仮定)
正面から右に90度回転させた面
正面の反対面
正面から左に90度回転させた面
蓋を外したところ
本体の口縁の釉薬が拭い去れれて焼かれていることが分かります。
普通、蓋を伴う場合、口縁の釉薬を拭い去って焼くようです。
本体を伏せ、蓋を裏返ししたところ
製作年代: 江戸時代後期
サ イ ズ: 蓋の口径;6.5cm 本体の口径;6.0cm 高さ(蓋共);9.0cm 高台径;4.5cm
むき出しの釉剥ぎだと、可哀想な感じがします(^^;
祥瑞紋は完全に和様化していますね。蓋と本体の模様を律儀に合わせているところも、日本的だと思います(^.^)
そのうち、どうも違うらしいと気付きました、、、(__;)
現代では、よく、夫婦茶碗というのを目にしますものね、、、。やはり、現代の感覚で見たり考えたりしてはいけないんですね(><)
だいたいにおいて、これに、蓋が付いているから間違えるんですよ。
祥瑞文も、江戸も後期になりますと、完全に和様化していますよね。こうなりますと、もう、「祥瑞丸文」などと言わずに、単に「丸文」と言ったほうがいいのかもしれませんね(__;)
丸い柄がかわいいし、白地が美しいからです。
私も、最初はそう思っていました。
でも、よく観察してみますと、本体の口縁の釉薬を拭って焼いているんですよね。
これは、ここで、キセルの雁首をトントンと軽く叩いて煙草の灰を落とすからなんですね。
ここに釉薬が掛かっていると、口縁に傷つくからなんでしょうか、、、。
また、逆に、口縁に釉薬が掛かっていないと、お茶を飲む際に、唇がザラザラと感じて飲みづらいですよね。
なお、最後の写真から分かりますように、蓋裏の外周に釉薬が掛かっていないので、蓋を裏返したとき、見苦しいです。
機能性を考え、わざわざ釉薬を拭い取ったり、わざと釉薬を塗らなかったりして焼いているんですよね。
よく観察して、そんなことに気付きました(^_^;