今回は、「伊万里 染付 格子文くらわんか茶碗」の紹介です。
これは、昭和59年に(今から36年前に)、「東京・平和島・全国古民具骨董まつり」で買ったものです。
当時は、「くらわんか茶碗」というものが、その名前の面白さも手伝って、大変に人気がありました(^-^*)
そのため、値段的にも当然高くなり、江戸後期の有田産の上手の飯茶碗などよりも高かったように思います。
もっとも、当時は、「くらわんか茶碗」も、同じく、有田産と思われていましたが、江戸後期よりも古い、江戸中期のものと思われていたからかもしれません。
それに、「くらわんか茶碗」は、淀川で使い捨てにされていたものなので、粗製なものではあるけれど、残存数が少ないという希少価値から、値段が高くなっていたものと思われます。
しかし、研究が進んだ現在では、「くらわんか茶碗」は、佐賀藩の有田で焼かれたものではなく、有田のお隣の大村藩の波佐見で、江戸後期に大量に焼かれていたものであることが分かってきて、安くなってしまいました。
前置きが長くなりましたが、その「くらわんか茶碗」というものは、次のようなものです。ただ、この茶碗は、保存状態が良く、使用した痕跡などがありませんし、淀川の川底から拾い出されてきたようにも見えませんので、何処かにデスストックされていたものが骨董市場に登場してきたものであろうと思われます。
染付 格子文くらわんか茶碗
立面
下手な作りで、文様も簡素で雑ですし、歪みもあります。
呉須も質の悪い山呉須を使用しています。
見込み面
ちょっと、見辛いですが、底面には、重ね焼きするための蛇の目釉剥ぎがされています。
底面
作る際に丁寧に扱わなかったのか、高台など、かなり歪んでいます。
生 産 地 : 伊万里 波佐見
(私は、肥前地域一帯で焼かれた磁器を総称して「伊万里」と定義していますので、「伊万里 波佐見」と表示していますが、佐賀県立九州陶磁文化館ならば、「肥前 波佐見」と表示することになります。)
製作年代: 江戸時代後期 江戸時代中期
サ イ ズ: 口径;10.8×11.5cm 高さ;5.0×5.3cm 高台径;4.2×4.7cm
(歪みがあるため)
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<追記>(令和2年12月25日)
この茶碗をインスタグラムで紹介したところ、越前屋平太さんから、次のようなコメントが寄せられました。
「くらわんかでも古い物は寛保〜宝暦初頭あると思います。本品は古い手かと、、、。」
したがいまして、この茶碗の製作年代を江戸時代後期から江戸時代中期に変更いたします。
越前屋平太さん、コメントをありがとうございました。
それにしても、高台のゆがみはすごいですね。
波佐見と限定するなら、肥前では広すぎるのではないでしょうか。「伊万里 波佐見」に軍配有り。
生産地で対比するのなら、「有田 波佐見」(^.^)
歪みといい、くすんだ染付の色といい、もう少し大きかったら、侘さびの抹茶茶碗に使えそうですよね(^_^)
高台の歪みなど、故意に歪ませたように思えますよね(~_~;)
伊万里に関する定義というか、用語というか、まだまだ、混沌としていますよね。
まだ、発展段階という感じですが、少しずつ固まってくるのを期待しています(^_^)