今回は、「白磁 鹿紅葉陽刻文 中皿」の紹介です。
表面
陽刻部分の拡大
裏面
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;20.4cm 高さ;2.6cm 底径;12.8cm
鹿に紅葉というのは色絵柿右衛門では定番ですが、白磁というのは珍しいかもしれません。
美術館や図録等で、これと全く同じで、それに色絵付けがされているものにはよくお目にかかるからです。
ただ、この中皿のような場合、何らかの原因で、たまたま絵付けされないままで残ったものではないのだろうかという問題が生じます。
そして、その場合、そのような白磁を捜してきては後絵を施して高額で売り捌くという後絵の問題も生じます。白磁そのものは古いわけですから、最近絵付けされても、上手にやられると判別が難しいわけですね。色絵柿右衛門で一番注意しなければならないのは「後絵」ものだと言われます。私も何度かつかまされた苦い経験があります。一度つかまされてわかっているんですが、またつかまされてしまうんですよね。実に巧妙です。「後絵」ものは本当に難しいと思います。
その点、この中皿には上絵付が施されていませんので、後絵ものではないのは確かですから、その点では安心です。
ちょっと脱線しましたが、問題を最初に戻します。
私は、この中皿を平成9年に(今から24年前に)買ってきたわけですが、それ以来、この中皿は、色絵を付けるために作られたのに、何かが原因で、たまたま上絵付けされないまま残ってきたものだろうと思ってきました。
ところが、平成12年に「世界をときめかした伊万里焼」(矢部良明著 角川書店 平成12年初版発行)という本を読み、そのP.39に「例えば、この段階で景徳鎮の陶工は、同じ白磁を焼いても、染付用の白磁、白磁を完成品とするときの白磁、上絵付けを施す場合の白磁と、三者三様の白磁を作りわけていた。明王朝の開祖、洪武帝(在位1368~98)が建立した江蘇省南京市の洪武官跡から出土した、宮廷御器の染付・白磁・色絵磁器の三者を観察・比較したとき、その同じ白磁素地の見事な使い分けを知って、筆者は驚愕したことがあった。」と書いてあることを発見しました。
中国では、染付用の白磁、白磁用の白磁、上絵付け用の白磁は使い分けられていたというわけです。伊万里においても、白磁用の白磁と上絵付け用の白磁は使い分けられていたのでしょうか。使い分けられていたとしたら、この中皿は、これはこれで完成品なわけですね。
しかし、私は、その後、不勉強で、伊万里においても、白磁用の白磁と上絵付け用の白磁を使い分けて作っていたのかどうかを知りません(~_~;) 不勉強の謗りを免れません(~_~;)
今回の品は、これだけで十二分に成り立ち、お釣がきます(^.^)
白磁用の白磁、白磁の名品だと思います
Dr.さんの説明を読むまで
これはこれで完成品、美しい皿と思ってみています。
その後、柿右衛門には、陽刻した白磁のままのものも見かけますので、白磁陽刻の完成品というものもあるのだな~と思うようにはなりました。
柿右衛門の場合は、このように白磁陽刻のままのものと、これに色絵を施したものとの2種類があるのかもしれませんね。
白磁の名品との過分なるお褒めをいただき、ありがとうございます(^-^*)
ありがとうございます(^_^)
酒田の人さんによりますと、「白磁が好きな人は美意識が高い」のだそうです(^_^)
つや姫さんも美意識が高いのでしょうね(^_^)
「鹿紅葉文」を陽刻してありますから、柿右衛門白磁の優品で間違いないですよね!
成形も上がりも見事ですから、ある意味、柿右衛門白磁の白眉というべき品かも知れません。
ドクターさんの収集品だけにクオリティの高さはさすがです。
これ、かなり陽刻がはっきり出ていますよね。
確かに、ここまで陽刻が浮き出ていますと、これに色絵まで付けると煩わしいかもしれませんよね。
そのことを考えますと、これで完成品なのでしょうね。
過分なるコメントをありがとうございます。