議会傍聴について考える

2013-11-20 07:31:19 | 議会活動
先日の研修会で元鳥取県知事片山善博氏から議会傍聴規則について「違和感がある」と指摘されたことをブログに書きました。「開かれた議会を標榜するのであれば、傍聴者を取締りの対象とするような規則はいかがなものか」との内容でした。インターネットで調べてみるといくつかの自治体では「傍聴取締規則」となっていました。

確かに主権在民の時代にはふさわしいものではありません。それではどんな規則がふさわしいのかやはりインターネットで調べてみましたら、北海道白老町議会傍聴規則がありました。この優れた点は傍聴に対する手続きは不要で先着順であること、入場に対する制限は傍聴人の責任で行うこと、写真ビデオ撮影は自由、傍聴人への資料提供の義務付けがあることです。

○白老町議会傍聴規則 平成19年8月27日

(目的)
第1条 この規則は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第130条第3項の規定に基づき、傍聴に関し必要な事項を定めるとともに、町民の議会傍聴の利便性を確保し、かつ会議の円滑な運営を維持することを目的とする。

(傍聴席の区分)
第2条 傍聴席は、一般席及び報道関係者席に分ける。

(傍聴人の定員)
第3条 一般席の定員は、30人とする。

(傍聴の手続)
第4条 会議の傍聴に関する一切の手続きは、必要としないものとする。
2 傍聴は、先着順とする。

(議場への入場禁止)
第5条 傍聴人は議場に入ることができない。

(傍聴人の責務)
第6条 傍聴人は、傍聴席にあるときは、静粛を旨とし、議場の秩序を乱し、又は議事の妨害、示威的行為及び他の傍聴人の迷惑になる行為をしてはならない。

(議案資料の提供等)
第7条 議長は、傍聴人に議案の審議に用いる資料を提供又は貸出しを行い、町民の議会傍聴の利便性の確保及び傍聴意欲の高揚に努めなければならない。

(写真、ビデオ撮影及び録音等の自由)
第8条 議長は、傍聴席における写真、ビデオ等の撮影及び録音(以下「撮影等」という。)について、議事の進行の妨げとなっていると認めたとき、又は他の傍聴人に迷惑を及ぼしていると認めたときは、撮影等の方法の変更を求めることができ、これに従わない場合は、撮影等を禁止することができる。

(傍聴人の退場)
第9条 傍聴人は、秘密会を開く議決があったときは、速やかに退場しなければならない。

(係員の指示)
第10条 傍聴人は、すべて係員の指示に従わなければならない。

(違反に対する措置)
第11条 傍聴人がこの規則に違反するときは、議長は、これを制止し、その命令に従わないときは、これを退場させることができる。


東御市における傍聴規則と考え方が根本的に異なっています。市民を主権者として遇していることに感動さえ覚えます。きちんと考えている議会もあるのですね。

写真撮影や録音について当市の規定では議長の許可を得てからとなっていますが、実際はケーブルビジョンやFM放送で流されており、禁止する意味もなくなっています。やはり廃止するのが順当でしょう。議会改革の中で検討して行ければと思っています。

議員研修二日目です

2013-11-20 00:01:58 | 議会活動
今回の議員研修で一番心に残ったのは最後に行われた慶応大学教授片山善博氏の講義でした。片山氏は自治省退職後、1999年4月から2期鳥取県知事を歴任、2010年から1年間民主党時代に総務大臣を努めました。地方自治などについて鋭い指摘をされてきました。最近ではテレビのコメンテーターとしても知られています。

講義のタイトルは「地方自治と議会改革」。以下に講義の概略を紹介します。

いま地域のことは地域で決めるという地方分権が進められている分権を進めるうえで重要なのは議会だ。分権改革にはほとんどの人が賛成する。しかし決めるのが議会だというと落胆する人が多い。議会が信頼されていない。議会が変わらなければならない。

ではなぜ住民は議会に違和感を持つのか。市民に開かれた議会と言いつつ、行ってみると違和感を感ずる。まずなぜ傍聴に来たのか警戒心を持たれる。「よくいらっしゃいました」というところはまずない。

傍聴されるのはいやなのかなと思う。そこで傍聴人の注意事項をもらう。「凶器、銃を持ってきてはいけない。酒気帯びや大声を出してはいけない・・・」などなど。

図書館だって同じだと思うがそんな用紙をもらうことはない。傍聴人取締り規則という名称のところもある。かつては傍聴人は取締りの対象だった時もあったかもしれないが今は違う。

「拍手をしてはいけない」というところもある。議員は拍手をするが傍聴人はいけないとはなぜか。拍手はあたりまえの行動だ。なぜそんなことを禁止するのかわからない。傍聴規則を一般市民の目線で見直すべき。開かれた議会という看板に偽りありと思われる。


確かに東御市の傍聴規則にも同じような記述がありました。

第6条 次に該当する者は、傍聴席に入ることができない。
(1) 銃器、棒その他人に危害を加え、又は迷惑を及ぼすおそれのある物を携帯している者
(2) 張り紙、ビラ、掲示板、プラカード、旗、のぼり、垂れ幕、かさの類を携帯している者
(3) 鉢巻、腕章、たすき、リボン、ゼッケン、ヘルメットの類を着用し、又は携帯している者
(4) ラジオ、拡声器、無線機、携帯電話、マイク、録音機、写真機、映写機の類を携帯している者(第8条の規定により、撮影又は録音することにつき議長の許可を得た者を除く。)
(5) 笛、ラッパ、太鼓その他の楽器の類を携帯している者
(6) 下駄、木製サンダルの類を履いている者
(7) 酒気を帯びていると認められる者
(8) 異様な服装をしている者
(9) 前各号に掲げるもののほか、会議を妨害し、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがあると認められる者

請願についても違和感を覚える。請願とは権力者に対して「請い願う」ということだ。国民主権から見ればおかしい。請願の場合紹介議員を通せということになっている。なぜ議員を通さなければならないのか。憲法にすべからく請願できると書いてある。紹介議員がいなかったら請願できないというのはおかしい。紹介議員がいない人のために請願の当番制をおこなったらどうか。

請願したが議会で趣旨説明くらいさせてほしいという意見もある。現状では会派ごとにおこなうところが多いようだ。委員会で希望があれば発言させたらどうか。市民に開かれた議会と言いつつ、紹介議員を求めるというのは看板に偽りありだ。

議会運営についても違和感を感ずる。議会は何を議論しているかわからない。自分の関心があるテーマについて傍聴したいがいつ行っていいかわからない。そのテーマについてはこの日の、この時間に行けばいいということも何も知らされない。これは議題ごとに議論していないからだ。何をいつ議論したかわからない、これは日本の議会の致命的欠陥だ。

現在のような一般質問中心の議会は議員中心だ。その議員を応援団が傍聴に行き、質問が終わると帰り今度は次の議員の応援団がとってかわる。これは議員中心の議会だ。議題単位に議会をやったほうがいい。

委員会審議もオープンにした方がいい。委員会では今はまとめて採決しているが、案件ごとに採決したほうがいい。そこで市民の意見を聞くことも大切だ。議員はその議案に賛成する人、反対する人の意見を聞き、そのうえでジャッジする。いってみれば裁判官のようなものだ。

議会の議会たるゆえんはみんなの意見を聞き、そのうえで結論が変わるから意味がある。はじめから決まっているのであれば消化試合になってしまう。言ってみれば八百長議会になる。議論をする中で変わることに意味がある。委員会審議の中で参考人質疑や公聴会をやったらどうか。

議論してその上で会派の意向を決めるべきで、最初から会派で賛否をきめてやるのは絶対やめてほしい。議論もズレていることもある。行政の報告を鵜呑みにしない。裏を取ることが必要だ。


私もかつて住民運動を行っていた時議会を傍聴したことがありました。傍聴に行くとまず氏名・住所を書かされます。すごく抵抗がありました。片山さんがおっしゃっているように、開かれた議会を標榜するのであればいかがなものでしょうか。

当市の傍聴規則もまさに市民は取締りの対象となっています。少なくとも主権者に対する対応ではありません。

私自身「市民目線」を大切にしてきたつもりですが、やはりいつの間にか初心を忘れていたようです。市民の皆さんにとって身近な所から見直してみる必要性を感じています。

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