秘密保護法案が強行採決されました

2013-12-07 06:18:01 | 議会活動
いま国会では特定秘密保護法案が審議されており、昨夜遅く強行採決されました。この法案には様々な問題点が多くの識者から指摘されています。新聞各社が行ったアンケートでも圧倒的多数の国民が反対ないし慎重審議を求めていました。そんな中、言論の府であるべき国会で国民の声に背を向けて強行採決を行ったことは誠に残念でなりません。

多くの国民が憂慮しているのは「権力は暴走する」ということです。政府自民党は「外交・防衛には秘密がありそれを守るのは当然だ」、「この法案がないとアメリカから情報を提供してもらえない」と主張しています。私も政治において秘密があることは理解できますし、すべて公開すべきとも思いません。しかし法案は一人歩きを始めます。

問題は恣意的に秘密を増やすことができることです。特定秘密に指定されれば国民は何が秘密なのか知ることもできません。特定秘密を漏らした場合最長で懲役10年と罰則が厳しくなり一般の国民も取締りの対象になります。

最終審議の中で政府から第三者機関を設けて運用をチェックするという修正案が示されました。しかしよくよく聞いてみれば内閣の中に置かれるとのこと。これではかたちばかりのチェックになることは目に見えています。

さらに秘密の有効期間が最長で60年となったことも問題です。秘密は未来永劫国民に開示されることはありません。

権力者にとってこれほど使い勝手のいい法律はありません。いったん特定秘密に指定すれば国民に開示する必要はなく、国政調査権も及びません。権力者が「秘密を洩らした」、「そそのかした」と認定した方に対しては懲役10年の厳罰が待っています。国民は委縮しモノを言わなくなります。権力は暴走を始めます。

ですから議論するたびに反対の声は広がって行きました。本来であれば議論する中で理解が深まり、賛同者が増えるはずですがまったく逆でした。衆議院では賛成したみんなの党も参議院では退席し、賛成は与党である自民党と公明党のみでした。いかに問題がある法案であるかを象徴しています。

終盤では自民党の石破幹事長は国民の正当な権利であるデモに対して「テロと同じ」と断じました。国民の声をまったく無視し、それどころかテロと見なすこういう感覚の方がこれから秘密保護法を運用して行くのです。憲法に定められた国民の基本的人権が守られるのかどうか心配です。

思い過ごしだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし歴史は繰り返すと言います。私は先日見てきた満蒙開拓記念館のことを思い出します。お国の言う「五族共和・王道楽土」を信じて27万人もの人々が満州に渡って行きました。最後の開拓者は終戦の3か月前だったと言います。その結果塗炭の苦しみを味わうことになりました。

原発もそうでした。国の安全神話を信じたばかりにとんでもない事故が起きました。さらにスピーディーの情報が開示されなかったばかりに避難の途中で多くの住民が被ばくをするはめになりました。同じことが繰り返さないとどうして言えるでしょう。

権力は必ず暴走します。だからこそ法案制定にはより慎重でなければなりません。残念ながら制定されましたが、今後の運用に目を光らせて行きたいと思います。

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