平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

LHH-A200の修理

2012-06-09 12:49:47 | アンプ製作と修理
 2010年に書いたことのあるフィリップスのLHH-A200。「電源スイッチを入れたらバチッといって電源が入らなくなりました」ということで修理。試聴会前から修理していたのですが、基板を外すだけでネジ18本を緩めなくてはなりませんwww。それでスピーカーを作っている間に、相撲で言うところの仕切りの繰り返し。ようやく集中力が出てきたので重い腰を上げました。

 電源が入らなくなったのは5Aヒューズが飛んだからですが、ヒューズが飛ぶには相当の電力が流れなくてはなりません。直感的に終段の石が怪しからんと思い、調べてみたら右チャンネルがビンゴ。念の為に、初段から外して調べましたが、他は問題なし。シンプルな回路なのでチェックも楽です。

 さて、終段の石は東芝製MOS-FETの2SJ200/2SK1529のコンプリメンタリー。両方とも死んでいましたが、この石が飛んだ理由はドライバー段のハンダクラック(亀裂)。このアンプはロボットによるハンダ付けみたいで、プリントパターンも狭く、端子間も余裕がなく、当然のようにハンダの量も少なくなっています。その上、ドライバーから終段の石はすべて、足を折り曲げてヒートシンクに固定。このために応力がかかって、ハンダが剥がれやすいのだと思います。

 この石はソニー他で数多く使われた石なので、オークションで安く手に入りました。しかし、トラブルはこれだけではありません。保護回路のリレーもちゃんとカチッというので、安心してスピーカーを繋げたらドカンという大音量。スーパーケルビムのユニットが死ななくてホッとしました ε<`∀´ *>。

 大音量の理由はボリュームが壊れていたこと。そもそも、最初からボリューム固定のネジが固く、ボリュームを外すことができませんでした。そこで、KURE 5-56を吹きかけて放置していたものです。改めて必死に取り外してボリューム交換。アルプスの汎用品と同じみたいですが、秋葉原では同じ5KΩがなく、買ったものは10KΩ。しかも、アルミのシャフトも5ミリ長いのでノコギリで切断しなくてはなりません。

 ちなみに、ボリューム洗浄する時は純粋アルコールの接点洗浄剤を使います。アルコールは蒸発するので安心です。しかし、接点復活剤とかを間違って噴霧すると、抵抗値が最大になるポジションでもゼロΩになり、ボリュームを絞ることができなくなります。オーディオマニアの間でも接点復活剤は万能ツールのように使われることがありますが、僕はほとんど使いません。接点復活剤を使って寿命を短くしたアンプは無数です。使うとしたら、リアパネルの端子だけにしてもらいたいところです。

 これで修理完了と思ったら、電源スイッチのプラスチック製の軸が折れていました。構造的に折れていても問題ないし、折れた部分を取り外して本当の修理完了。バイアス調整とDCチェックをしてからスーパーケルビムで視聴しましたが、スピーカーの存在を感じさせない音場は見事です。ただ、軽めの重量のせいかローエンドは薄いので、コントラマリンバのズシンが食い足りないですね。でも実にいいアンプです。

 欧州危機の真っ最中に壊れたフィリップスのアンプ。オランダ本社ではなく日本フィリップスの製品ですが、タイミングが絶妙でしたね。

     エフライム工房 平御幸

コメント
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