歴程日誌 ー創造的無と統合的経験ー

Process Diary
Creative Nothingness & Integrative Experience

無の場と創造性-歴程の自然学 3

2007-04-23 | 哲学 Philosophy

1.究極の範疇としての「創造性 creativity」について

 「創造性」は、歴程哲学では、究極の範疇、即ち、それが究極の普遍(the universal of universals)と言われている。「創造性」を単独にとりだして主語化して、それについて語ることが出来ないと云う意味である。更に、「創造性」は「一」と「多」と並んで、究極的なるものの範疇と呼ばれている。 説明範疇22は活動的存在の自己―創造(self-creation)のプロセスを語る。即ち、活動的存在は「自らの自己同一性を失うことなく、自己自身に関して機能することによって、自己-形成において多様な役割を演じる。」「それは自己創造的であり、その創造のプロセスにおいて、その役割の多様性を一つの整合的な役割へと変換する。」(PR25)

ここで語られているのは、主体が自己に対して「機能functioning」し、自己形成していくプロセスに於ける<創造性>である。それは、あらかじめ主体の中に組み込まれていたプログラムが機械的に自己展開していくことではない。創造とは、主体が既在の自己(=主体の過去の履歴)の基盤の上にたって、既在の他者をうちに抱握しつつ、自己を形成する過程である。従って、このような創造的プロセスにおいては、自己-同一性(self-identity)と自己―多様性(self-diversity)の双方が意味を持っている。自己同一性は、他者を、その他性を解消せずに自己のうちに含むことによって成立する。言い換えれば、「無からの創造」ではなく、既在の自己と他者とを媒介とする自己-創造が、<創造性>の語られる文脈である。

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