どうやらこの冬一番の寒さと感じるが、鹿児島や長崎で雪が降っていると聞くとよほど尾鷲は暖かいところのようだ。夏は涼しいし、気温としてはいうことがない。雪かきをしているのをみると、年老いた人は南のほうに行きたいのではないか、やれやれ、と思っているような気がする。
琴奨菊が優勝して、「半年前から始めたトレーニングがよかった」とインタビューで言っていたので、これまでとは違う方法を誰かから教わったか、自分で思うところがあり、開発したんだ、と思った。
彼は大関になる前、大学の先生に自分の相撲を見てもらって、相手方をじっと睨んでいると指摘されたことがある。目 の神経は交感神経が支配する。すると筋肉は収縮する。自分の体から力を伝えていくには、体をゆるめる。すると、体は重くなる。その重さでぶつかって行ったら、圧力が大きくなる。泥酔した人が重いのと同じ理屈である。
この半年間、怪我を克服するのに、どんな稽古をしたのだろう、と興味が湧く。
大関になってから「怪我」に泣かされた。これまでの成績があるから、最後まで信用できなかった。ところが千秋楽も圧倒的だった。福岡柳川では応援する人が集まり、桟敷席には両親がいた。藉にははいったが、披露宴が一週間後だという。思えば琴奨菊は我が息子よりひとつ、ふたつ、年下である。まだ31歳というのだから、相撲取力士は歳さえも大きく見える。不思議なことだ。