25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

ソドムの林檎

2016年02月03日 | 映画

  数年前に、練炭で次々と男が殺されるという事件があった。容疑者はえらく太った女木嶋佳苗だった。現在彼女は死刑判決を受け、控訴中らしいが、獄中結婚をしているそうである。

  この事件にインスパイアされて、「ソドムの林檎」という映画ができた。ブスの役ということで、寺島しのぶが演じていた。現代の孤独な中年、老人を婚活サイトで探しだし、近寄り、母性を大いに発揮する。お金がないとわかれば、離れるか、搾り取ってしまえば殺してしまう、というとんでもない主人公であった。この主人公をノンフィクションとして描こうとする女(木村文乃)は、実はブス顔だったのを美形に整形手術をしており、摂食障害ももっていた。一方主人公の犯人は美人顔をわざとブス顔にしていた。ブス顔の方が男は安心していられる、という考えがあった。脚本家はこの点では捻りに捻って、映画としての展開を図っている。宗教、親子関係と踏み込んでいく。取材する女は、美人になってから、内面をみてくれない男に傷つき、精神が荒んでいた。それが実は同じコインの裏表であることにも気づき、知り合った男性記者が顔かたちのことを気にしない男であることにも驚く。そして徐々にこころの傷が癒えていく。主人公はふてぶてしく、ケロリとしている。

  作品としては、ややうんざり系のトラウマドラマになっていた。

  本当の話は藪の中であるが、裁判は状況証拠のみで行われている。これも現代という時代が背景となって起こる事件である。