25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

紀勢本線 尾鷲~新宮

2018年04月22日 | 日記
 兵庫県の三田に住み、釣り好きのFさんは曽根に小さな囲炉裏付きの別荘を持っている、来るのに五時間かかるらしい。ぼくが紹介した物件で、彼の物件探しはこの家で終わった。そのFさんが時々誘いがあったが都合がつかないときもあり、昨日は久しぶりに時間も気分も都合がよかったので、彼の誘いに応じる余裕があったのだった。
 のんびりと汽車でいくことにした。普通列車も様変わりしていた。向かい合って座る座席から、山手線のような一列が両側にあるものに変わっていた。
 紀勢本線のうち尾鷲から新宮までの車窓は全国の鉄道の車窓景色ではベスト3くらいにははいるのではないか、といつも思う。尾鷲から大曽根は青色の海だが、九鬼になるとどんよりい陰った濃い緑色になる。三木里では青い海が弧を描くようにある。鮮やかに黄緑色になった木々の葉が間近に通りすぎる。トンネルは景色観覧の一休みだ。
20分ほどで賀田駅に着いた。そこから曽根までぶらぶらと歩いた。躑躅の季節である。25分かかった。
 この区間の車窓風景はもっと宣伝されてよいと思う。
 その夜は美味しいスコッチウイスキーを飲み、洒落たジャズなど聞き、結構静かに語りあったのだった。銘柄は忘れたが、最初に飲んだハイランドの14年物が旨かった。
 彼は神戸、大阪でバーに通っているらしい。そこでうんちくを聞くのだろう。彼の憩いの家にはみたこともないスコッチウィスキーが置いてあった。確か残る人生分を買っておこうと思って、と言ったような気がする。飲み方にもこだわりがあるようだった。
 楽しい、贅沢な時間が過ぎた。帰りは妻に迎えに来てもらった。そうして春の心地よい土曜日が終わったのだった。