今日の料理(こだわりがないのがこだわり)

フードリテラシーに沿いつつも、なるべく夢のある料理や飲食をジャンル・国境・時代・時間をボーダレスに越えて書いています。

イギリス式の苦い皮有りマーマレード。

2016年11月13日 | 素材
以前、皮無しのイギリス式苦いマーマレード(マーマレードはイギリスが発祥)を作ったが、やはり皮有りも作ってみたくて、無農薬のレモンが安く手に入ったので作ってみた。

今回は果汁を鍋に手で絞って、中を皮無しマーマレードの時に見せた技術で、くり貫いたら、

皮を切るのだが、イギリスでは皮は分厚いのが好きな派や、薄いのが好きという派など、人や家庭によってコダワリがあるらしい。
で、自分は薄いのが好きな派だから、量が多くて、これが中々に面倒。

う~ん、そうだピーラーの皮むきを使おう!!

お、これは尋常ではなく早いぞ!!(但し手を切らないように調子に乗って1回ヤベって思った時がある)
あっという間にこんなに。

果汁の入った鍋に入れて、レモンだけでは足りないと思われるのでオレンジ100%ジュースを足しみて(作れるかなあ?、でも原理的には合っているんだよな)、水を足して、

レモンの種と白い部分をこし袋に詰めてタコ糸で結って(『結って』なんて日本語は中々現代では使わないよなー、久しぶりに使ったら結構、気持ち良い気がする)、

鍋に入れて、

時々アクを取りながら中火で1時間煮て皮を軟らかくするのと皮にジュースの旨味を染み込ます。

コシ袋を出して、手で搾ると熱いから皿で挟んで天然のペクチンを搾り出す。
(この柑橘類の白い部分と種に天然のペクチンが含まれている)

鍋にペクチンを搾り入れ、前回作った皮無しマーマレードがゼリーみたいに硬過ぎたので、そこにポチャンと滑り入れ溶かしてから、味を見ながら砂糖を入れ、

アクを取りながら20分ぐらい中火で煮る。

トロミがついてきたら、冷凍庫で冷やしておいた皿でリンクルテストをして、

完成。

熱いうちに煮沸した瓶に詰める(冷えると固まるし、味も変わる)。

相変わらず、イギリス式は苦いが。

数日置いて、落ち着かせてから食べると随分印象が変わる感じになる。

100円のビスケットとマクビティのビスケットに乗せてみた。

マクビティのビスケットはちょっと美味し過ぎて塩味が絶妙なので、逆にそれを壊してしまうから合わなかったけれど、100円の素朴なビスケットは塩味が強くないので、その心地良い適度な甘さが、マーマレードの柑橘類の風味を引き立たせてくれる。
(これはスゴイ)

それに甘いものと合わせると(日本人でも?)苦くない。

イギリスの小説を読むと、バターをたっぷり塗ったカリっと焼いた10枚切りのトーストにこの苦いマーマレードを塗る描写が描かれている。

で、実際に10枚切りではないけれど、少しカリッと長く焼いて(そのままのモチモチしたパンが好きなのでトーストはあまり好きでは無いのだが)、バターを多めに塗ってこの苦いマーマレードを塗ってみた。

よく解らないので、薄い所と分厚い所と1枚に2箇所検証したが、いやはや、これって美味しい。
イギリス人が伝統的に、バターと苦いマーマレードを合わせるのが美味しいと言って何百年も続ける理由が解った。

以前、お肉のギネスビール煮込みを作った時、多目の油脂分によって苦味が消える(完全には消えないけれど、記憶のずっと向こう、うっすらとまでだったら許される範囲)と解ってはいたが、こんなにも美味しいとは!!
(一気にファンになった)

イギリス人にとって「苦味も旨味」という理由がやっと解った気がした。
だって、本当にマーマレードだけだと苦いんだもの。

日本人の自分は(←別に日本人代表ではないが)、この組み合わせを美味しいと思ったけれどフランス人とか他の国の人はどう思うだろう?

※因みに、このマーマレードでブレッド・バター・プディングを作ってみたら、もの凄い格式ある(高いか低いかは別としてクラシカルな感じの風味)感じになった。






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