エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

押し花絵という美空間

2011年05月26日 | 
押し花・・・という嗜好の世界は、かつて小学生のころ授業の世界にあった。
それは、学問の世界であって決して美空間として楽しんだものでは無かった。

押し花の世界に遊ぶ。
押し花で絵画的幻想の空間を描き出す。

それはいかにも楽しそうな世界である。



ぼくは押し花というより、色づいた葉を押して「しおり」として使っている。
秋は紅葉したカエデや銀杏。
いまならレッド・ロビンの赤い葉である。



今日、たまたま板橋区の赤塚植物園でユリノキの花が綺麗に咲いているとの情報に触れたので出かけたのであった。
この正面の入口の右手のユリノキである。



ユリノキの花である。
ぼくは初めてお目にかかったのであった。
しばらく、その花の下で空気と空を楽しんだのである。

ユリノキの花が醸し出す空間が素晴らしく甘く、そして豊かな色彩で抒情を作っている。



入口の左手に、こんな看板が立て懸けられている。
「美しき押し花絵展」とある。

美しき・・・という表現がぼくを惹きつけたのである。

会場は赤塚植物園内の事務所横である。
看板など片づけ始めていたけれど、無理を言って観させていただいた。

花の永遠を押し花で現世に留めようとする、心優しき女性たちが丁寧に説明して下さる。
そう・・・感動したのである。
押し花絵工房・美の皆さんである。

押し花というより、まるで水彩画のようにデリケートな筆致が感じられる。
花弁を透す光。
重なって咲き乱れる花々。
屏風絵のような佇(たたず)まい。
雪見窓から覗いた山水のような淡々とした花や葉。
確然として現世と彼岸を描いたような色彩感。

ぼくは、思わず「これって押し花ですか?」と聞いてしまった。
「何か特別な乾燥方法があるのでしょう?」
「そうでなければこうした感じは出ないですよね?」

今考えると、随分失礼な質問であった。
「押し花絵展」とあるのだから・・・。

とまれ、素敵な作品が並んでいるのである。
一見の価値あり!
である。

29日の日曜日まで展示されている。
出かけてみてはいかがだろうか。
土、日曜日には「押し花絵」の体験も出来るそうである。

素敵で上品な女性たちが教えてくれるはずである。



帰り際、ブラッシの花をみた。
ガラス瓶の中や底を洗うブラッシに花が似ているのである。



この花は、咲く直前も鑑賞に耐える。
蕾も、満開の花も楽しめる。

何だか今日は得をした気分である。

赤塚植物園(赤塚5-17-14)
板橋区のホームページでも紹介されている。
アクセスはそのページで確認してから出かけられると良いと思う。 





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 荒野人