いつまでも北風が吹く。
日本列島の西では春一番が大分前に吹いた筈であった。
けれども、春一番が吹いた地方も北風の襲来に任せてしまっている。
いつまでも、冬の気配である。
だがしかし、今日の北風は雰囲気が少しばかり違った。
北風は、それなりに冷たかったけれど体感する温度は少し高かった。
春の兆し、というエキスが入り込んでいる北風であった。
春の足音が、そっと忍びこんで来ている。
昨日は葛西臨海公園まで出かけたけれど、今日は自宅でのんびりであった。
ねこは炬燵で丸くなる・・・である。
そうこうしている内に、友人から電話があり平和台の駅まで出かけたのであった。
駅上の喫茶店で待ち合わせた。
駄弁って、二月ほど前に依頼された写真を託した。
合わせて、群馬マンドリン楽団のコンサート・マスターの写真を別途焼増して俳句を添えさせて頂いた。
「ひたむきな音との対話春めきぬ」
コンマスに捧げる 野 人
コンマスのひたむきな音楽への情熱は、胸を打たれる。
音楽の人格形成という作用は、誠に想像を絶する。
同時に「ひたむき」とか「ひたすら」という言葉はこの人のためにあるのではないかとすら思える。
この写真の視線の先には、コンダクター両角氏がいる。
友人と別れ、ぼくは一片の詩を書きなぐった。
強い北風を肌身に感じたからであった。
感じた大気は、しかし優しかった。
風が吹きわたるのだ
かつて
否
毎年体感しているあの風だ
この年初めて感知したのだった
風が薫風に変身するのは間近だと知れる
木枯しが北風と言われ
北風が南風に変わる
暖かさを認知させると春一番になって
やがて人の心を濡らすのだ
風の囁きよ
サナトリゥムの裏の雑木林を揺らし
葉擦れのモノローグを耳元で話しかける精霊は
あなたを抱きしめる時の
あなたの分泌する匂いだ
マンドリンの音色は、春風のように囁く。
トレモロは秋風のお喋り。
夏の木漏れ日と来る涼風は、コケティッシュな君の微笑み。
冬の風花の軽やかさと予感。
マンドリンは、季節とともに進む楽器である。
荒 野人
日本列島の西では春一番が大分前に吹いた筈であった。
けれども、春一番が吹いた地方も北風の襲来に任せてしまっている。
いつまでも、冬の気配である。
だがしかし、今日の北風は雰囲気が少しばかり違った。
北風は、それなりに冷たかったけれど体感する温度は少し高かった。
春の兆し、というエキスが入り込んでいる北風であった。
春の足音が、そっと忍びこんで来ている。
昨日は葛西臨海公園まで出かけたけれど、今日は自宅でのんびりであった。
ねこは炬燵で丸くなる・・・である。
そうこうしている内に、友人から電話があり平和台の駅まで出かけたのであった。
駅上の喫茶店で待ち合わせた。
駄弁って、二月ほど前に依頼された写真を託した。
合わせて、群馬マンドリン楽団のコンサート・マスターの写真を別途焼増して俳句を添えさせて頂いた。
「ひたむきな音との対話春めきぬ」
コンマスに捧げる 野 人
コンマスのひたむきな音楽への情熱は、胸を打たれる。
音楽の人格形成という作用は、誠に想像を絶する。
同時に「ひたむき」とか「ひたすら」という言葉はこの人のためにあるのではないかとすら思える。
この写真の視線の先には、コンダクター両角氏がいる。
友人と別れ、ぼくは一片の詩を書きなぐった。
強い北風を肌身に感じたからであった。
感じた大気は、しかし優しかった。
風が吹きわたるのだ
かつて
否
毎年体感しているあの風だ
この年初めて感知したのだった
風が薫風に変身するのは間近だと知れる
木枯しが北風と言われ
北風が南風に変わる
暖かさを認知させると春一番になって
やがて人の心を濡らすのだ
風の囁きよ
サナトリゥムの裏の雑木林を揺らし
葉擦れのモノローグを耳元で話しかける精霊は
あなたを抱きしめる時の
あなたの分泌する匂いだ
マンドリンの音色は、春風のように囁く。
トレモロは秋風のお喋り。
夏の木漏れ日と来る涼風は、コケティッシュな君の微笑み。
冬の風花の軽やかさと予感。
マンドリンは、季節とともに進む楽器である。
荒 野人